「伊東内科クリニック」-25-木の葉が揺れる

 建物のコンセプトは「木の葉が揺れるクリニック」。

 その植栽工事を残して、建物は完成しました。

 現在は開院を案内するカンバンが建っていますが、ここにはオリーブを植えます。

 診察室は、机の形状にこだわりました。

 待合は、1/4円を描きます。

 こげ茶の円筒型の空間がここにあたります。

 前列から受付を見ると、後ろにあるのが光庭。

 ここにイロハモミジを植えます。

 2本の木が、25日(月)に古川庭樹園から届きました。

 雨の中、職人2人で植え付けをしてくれます。 
 

 雨に光るモミジは、なかなか風情があるものです。開院を控えて、今週末は内覧会が開かれます。

【内覧会】
日時:2010年10月30日(土) 10:00am~1:00pm
住所:大阪市城東区野江4-10-22
詳細は「伊東内科クリニック」のwebサイトをご覧下さい
http://www.itonaika.com/
(※クリニックという性格上、建築関係者の方はご遠慮下さい)

 その2日後、いよいよ開院です。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「伊東内科クリニック」-24-オリーブとイロハモミジ

 クライアントの院長と待ち合わせて、大阪府を南下。南河内郡へ向かいました。

 古川庭樹園は山裾に広大な敷地をもち、主には植木屋さんへ木々を販売しています。しかし、アポイントを取れば、直接木を選ばせて貰い、販売もしてくれるのです。

 大阪府を足の形に見立てれば、丁度かかとのあたり。

 すぐ隣は、南北朝時代の武将、楠木正成で有名な千早赤阪村です。

 今回は社長自らが案内してくれました。

 どの人も、緑の中で暮らしているからか、何とも大らかで気持ちの良い人達ばかり。

 同年代くらいのスタッフも、ずっと一緒に回ってくれました。

 色々考えた末、まずは1本。オリーブにしました。これは建物の道路側に植えます。

 これからも実を付けて貰うには、もう一本必要です。鉢植えを置くなど、対策を考えます。

 光庭の木は悩みました。日陰に強い、カクレミノか、社長が提案してくれたイタヤカエデか。

 最終的には、イロハモミジに決めました。思い切って大きめの木にすれば、上部の葉は光を受けれると判断したのです。

 実際の森でも、下の方はそんなに光が当たらないはずですから。

 開院が近づいてきた、院長は次から次へと来客があり、横から見ていても大変だと思います。

 建築も若干残工事が残っており、気苦労を掛けています。

 それでも、木々選びは良い気分転換になったと言って貰えれば、連れ出して良かったと思えます。クリニックまで送ると、すっかり日は暮れていました。

 木々が入れば、いよいよクリニックに命が宿ります。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「頑張れる家(イタウバハウス)」-8-建方検査

 昼一番、建方検査前のチェックに行って来ました。

 2日後の検査に向けて、黙々と作業中です。

 金物の種類、数、位置の確認をしました。

 土台や梁と柱を緊結するホールダウン金物には、緑、赤、青、オレンジの色が付いています。

 柱頭部は高い位置にあり、型番が読めないので色で見分けます。

 合板に使用する釘も色付き。打ち込んでも長さが分かります。

 事務所内でも、プロジェクトごとにイメージカラーを。「頑張れる家」のカラーは水色です。

 当日の朝に修正箇所を最終チェック。合板も、筋交もOKです。

 審査機関による検査も終了し、当日合格証を頂きました。

 残すは完了検査のみです。

文責:田辺 幸香

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「伊東内科クリニック」-23-光庭のルーバー

 昨日、角度の調整に手間取っていると聞いていたので、朝一番で現場へ寄ってきました。

 アルミ製のルーバーを75本取り付けるのですが、全て手仕事。全ての産業で機械化が進む中、建築現場は職人の手仕事がものを言います。

 時代と逆行しているようですが、人手が多く加わるほうが建築は熱を持つと思っています。

 この金物は、5度刻みで角度が設定できるのです。目的を達するよう、緩やかに変化させました。

 図面通りになっていない箇所が少しあったので、角度の修正をお願いしました。

 近隣と待合にいる患者さんが、互いに気を遣わずともよい、光庭にするのが目的です。

 何本か、ルーバーは残っていましたが、外観はほぼ完成です。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「頑張れる家(イタウバハウス)」-7-クライアントより

 一昨日、上棟式を終えた日の夜。クライアントから、メールが届きました。

 大変嬉しいものでしたが、加えて、家創りの苦労や楽しみが、率直に語られているものでした。クライアントの了承を得て、原文のままここに掲載します。

 初めての来所から3年。ご夫妻は共に下戸(お酒があまり飲めない)なのです。

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 守谷様へ

 お世話になります。本日はありがとうございました。

 無事に上棟式を終えることができ大変喜んでいます。やっと今子供も寝たので、妻と二人で乾杯といきたいところですが・・・。
こういう時はお酒が飲めたらと思います。

 家(土地)を探し始めたころ、建売はいややなあ、建築条件付の土地も嫌やなあ、一生住む家やし、4000万もかけるんやったら自分たちの好きなように
そしてオシャレな家が建てれたらいいなあと漠然と思い、色々と雑誌を買い見ればみるほど自分たちで建てたいと思うと同時に予算的にはやっぱり無理やなあと思う日々でした。
そんな時にアトリエmのホームページと出会いました。

 守谷さんが『設計事務所に来る方には自分で建てることをあきらめる為に来る方もおられます』とおっしゃってましたが、まさに私も半分ぐらいはそうだったのかもしれませんでした。

 ですが、守谷さんに初めてお会いさせていただいた時に、こちらのなんとかなるんですかね?という問いに『建築は自由なのでなんとかなります。またなんとかするのが私たちの仕事ですから』とおっしゃいました。

 もちろんその言葉だけではないのですが、そう言って頂いたことが、なんとかなんねんやったら、あきらめずに土地を探そう、そして守谷さんになんとしても設計してもらおうと決心したことを、今日の上棟式が終わった後、守谷さん、妻、母の4人で話している時に守谷さんが初めて会った時のことを話されている時に思い出しました。

 この上棟式を迎えられたのは守谷さんにお会いできたからだと思います。本当にありがとうございます。そして竣工まであともう少しですがどうぞよろしくお願い致します。

 現場日記、拝見させいただきました。毎回楽しみに拝見させていただいてますのでどんどんUPしていってください。

 長くなりましたが、田辺さんにもよろしくお伝えください。

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文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「頑張れる家(イタウバハウス)」-6-上棟式

昨日に続いて、今日も気持ちの良い天気になりました。


昨日の夕方より、建物の輪郭がはっきりと分かります。

さあいよいよ、と言う気持ちになります。


クライアントには御幣に、名前を書いて頂きました。


それを3階の柱に取り付けます。前にお酒を供えて、参列者の皆で、二礼二拍一礼。


四隅の柱に、お酒を。最後にご主人に挨拶して頂き、私が乾杯の音頭をとりました。

式典は滞りなく終了しました。


ご両親も含め、参列者全員で記念撮影。

クライアントはご自身も工務店をされています。はじめは、お互いにやりにくい部分もあるかなと思っていたのですが、とても良い距離感でここまで来ました。

この先、クライアントの施工もあるのですが、全く心配していません。全体写真もクライアントの希望なのです。

上棟式のあと、事務所で打ち合わせをし、外壁の色を決定しました。

木製ルーバーが風雨にさらされ、変色した色との相性を尊重しました。その相性が発揮されるのは1年以上経ってから。

それでこそ、この家のコンセプトが貫かれると思うのです。


お土産に、赤飯を頂きました。本当に有難いことです。

当事務所のスタッフは、早速昼に頂いていました。すでに1/3は残っていません。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「頑張れる家(イタウバハウス)」-5-建方

 月曜日が雨の予報で、建方の予定を一日ずらしました。

 そのかいあって昨日、今日は晴れ。

 昨日は3:00pm頃現場へ行くと、2階の柱を立てこんでいました。

 監督に今日は2階の梁まで予定と聞き、事務所に戻りました。この現場はとても近いので助かります。


 今日は、他の現場の完了検査があった為、現場に着いたのが6:00pm頃。

躯体は無事完成していました。前に張り出している部分にルーバーが付きます。


その部分を上から見下ろすと、手摺が無いだけにちょっと腰が引けます。

明日は上棟式。からっと晴れてくれそうです。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「Shabby House」-9-冒険1

建方検査から随分時間が空いてしまいました。

正面側の開口部がスチールサッシで、時間を掛けて検討していました。

空はすっかり秋の装い。

内部間仕切りも出来上がってきました。

間仕切り壁も木造でなく、軽量鉄骨下地です。

2階の奥にあるこの入り口。かなり小さいです。

3階の寝室からは光庭を通して、空が見えるのです。

繰り返し検討した、ファサードのプロポーション。

こげ茶のレンガに連続する白い窓。窓の部材も実際の寸法に合わせてあります。

スチールの白いサッシが冒険1です。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「伊東内科クリニック」-22-グリーン

 クリニックのオープンも11月1日に決まり、現場はいよいよ最終段階に。


一ヶ所を残して、外観はほぼ全体が完成。

 イメージ通りのフォルムです。残す一ヶ所は、繊細に大胆に仕上げたい所です。

 光庭のタイルが貼り終りました。中央には木を植えます。

 待合のソファが搬入されてきました。メーカーの方も自ら陣頭指揮をとっていました。

 R形状なので、かなり精度が要求されます。

 僅かに合わない部分があり、1ピースだけ修正されることになりました。 それでも、イメージを決定付けるには十分なボリュームです。ぐっと引き締まりました。

 仕上げ、色、形状と、徹底的にこだわった座り心地の良いソファです。

 2軒隣に建つのが、グリーン調剤薬局。

 伊東内科クリニックの計画が決定してから、この地に建つことが決まりました。

 途中で追い抜かされ、1ヶ月先に完成したのです。

実は3日程前から私は風邪気味でした。薬局の方から、風邪薬を頂いたのです。本当に有難いことです。私が一番目のお客さんになれました。

 その名前の通り、徹底的にグリーンに統一されています。経営者の薬剤師さんに「なぜこの名前にしたのですか」と聞きました。

 すると、現場日記の第一回目に「コンセプトは、木の葉が揺れるクリニック」とあったからと言われたのです。

 背中がゾクッとする位の嬉しさと、身が引き締まる思いがしたのです。

 大変溌剌とした女性で、かつ人当たりが優しく、気持ちの良い方でした。

 内部を撮影しても良いですかと聞くと「どうぞ、どうぞ」と言って、そそくさと皆で奥に入られたのです。出来れば人物有りが希望だったのですが。

 光庭に植える木は、来週クライアントと買い付けに行ってきます。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm