「黒壁の家」‐8‐モミジとブルーベリー

 庭木を選びに、堺市美原まで行ってきました。

 こういった場所は、一般的には植木屋さんが買い付けにくる所です。多くの庭木があり、その中から1本を選ぶことになります。

 中庭に植えるイロハモミジ。株立ちで、上品な1本を見つけました。
 

 もう1本は、エントランス前に植えるものです。こちらは、成長がゆっくりという事で、ブルーベリーに決めました。

 この時期、真っ赤に紅葉しています。

 子供達にとって打合せと言えば退屈なもの。

 しかしこの日は屋外。ドングリを沢山拾い、上機嫌で遊んでくれました。

 間もなく足場が外れ、建物の外観が見れるようになります。黒い外壁が大きなかたまりにならないよう、フォルムを検討しています。
 
 来年は、それらを背景に真っ赤なブルーベリーが映えるはず。 

文責:守谷 昌紀

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「黒壁の家」‐7‐Fの字プラン

 9月中旬から、本格的な工事が始まった「黒壁の家」。

 ここまで、順調に工事は進んでいます。

 外部は左官仕上げにつき、現在下地調整中。

 4、5人の左官職人で、一気に仕事が進んで行く感じです。

 ファサードは入念に計画を練りました。斜め屋根は、自転車置き場。

 敷地はいわゆる旗竿型。それに合わせて「Fの字型」のプランとしました。

 Fの字の中にあるのは中庭です。

 LDKとつながる中庭には、植栽もあります。次回打合せは、この樹を選びに行くことになりました。

 犬を飼うなら、どんな種でもいいと言う人はいません。この打合せは非常に楽しいのです。
 
文責:守谷 昌紀

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「滋賀の家」‐2‐地鎮祭、古墳あり

 大阪から現場までは、JRを使って1時間半ほど。朝の大阪駅はごったがえしています。

 

 山科を過ぎたあたりから、景色が開けてきます。琵琶湖の対岸に見えるのは比良山。

 天気の良い日は、ちょっとした旅行気分です。

 旧家屋の解体も終わり、敷地は大きく開けました。12月3日、地鎮祭が執り行われました。

 

 これだけ開放感のある地鎮祭は、なかなかないものです。宮司の動きもいつもより大き目、に感じるのです。

 

 伸びすぎた草木は、クライアント自身が、チェーンソーで伐採します。これだけ敷地に木々があると、本当に手入れが大変です。

 この日で、敷地に訪れたのは11回目。古墳があることを初めて知りました。

 由緒をはるかに超え、人類定住の起源にまで迫る土地でした。まだまだ、私の知らないことがありそうです。

 土地の紹介はこのくらいにして、次回からは建物について。

文責:守谷 昌紀

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「銀座ギャラリー・芝公園ラボ Seven Dreamers 」‐1‐プロローグ

 スーパーレジン工業は、FRP(繊維強化プラスチック)成型のパイオニアである。

 2010年に日本に帰還した惑星探査機「はやぶさ」にも部品を供給。太陽の塔の顔部分も、彼らの仕事である。岡本太郎とコラボレートして出来上がったものだ。

 FRPはガラス繊維など、繊維と色々なレジン(樹脂)を複合して製造される。

 中でも、炭素(カーボン)繊維を用いたものをCFRPと言う。<宇宙、国防機器に関わることで培った高い技術力。  これらを用いたCFRPを使い、宇宙品質のゴルフシャフトを供給することになった。この目的を達成する為、立ち上げられたのが「Seven Dreamers」というブランドである。  

 個々のゴルファーによって、スイングスピード、手首の使い方などは千差万別。

 よって、あるゆる角度からスイングを測定。その上で、最も適切な、シャフトの剛性、しなり、ねじれ剛性まで設計。唯一無二の性能を持ち、かつ宝石のように美しいゴルフシャフト。それを1週間で届けようという計画だ。

 

 銀座ギャラリーはその旗艦店としての役割を担う。また、芝公園ラボは本社と共に、研究所の機能を併せ持つ。そのデザイン、設計をすることになった。

 2月中旬にジャパンゴルフフェアが開催される。その場で、そのシャフトは発表される予定。

 よって、それまでに店舗も完成が求められている。スケジュールも宇宙品質である。

 「Seven Dreamers」が扱うのはゴルフシャフトだけのブランドではない。その夢には続きがある。医療、家電……

 「測定できないものは作れない」という言葉が印象に残る。彼らはどんな夢を見せてくれるのか。それらに相応しい、空間を創造したいと思う。

文責:守谷 昌紀

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「神戸の高台の家」‐1‐プロローグ

 神戸は大変住みやすい街だと言える。

 北には山、南には海。高台は日当たりがよく、人気も高い。よって、多くの住宅が建ちならぶことになる。

 当初、相談があった際、新築、リノベーションの両方を検討しているとの事だった。

 結果、高台の物件が見つかり、リノベーションを選択することに決まった。

 はじめてのデートが住宅展示場だった、と言う話は何とも微笑ましい。しかし、それほど住まいに対する拘りがあるとも言える。

 他の事にお金を掛けるくらいなら、家に掛けるほうがという夫妻だった。

 緑は宅地のすぐそばにまで迫っている。これらを、日々の暮らしに取込みたいと思う。

 南には大阪湾を望む。その景色を十分楽しめるよう、思い切ったプランを考えている。

 竣工は3月下旬。

 春には夫妻の新しい暮らしが始まる予定だ。

文責:守谷 昌紀

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「滋賀の家」‐1‐プロローグ

 2013年も1ヵ月を切りました。電話があったのは3月下旬のこと。

 滋賀県で住宅の新築を考えているという相談でした。

 普段の流れとして、まずは事務所で話しを聞かせて貰います。そして、求めあえる可能性があると感じられれば、次の段階へ進みます。

 これは自分で作ったルールですが、今回はまず伺いました。理由の一つは遠いこと。もう一つの理由は、それ以上に敷地を見てみたいと思ったから。
 
 元城だったそうなのです。

 始めて訪れた時は、梅が咲いていました。しかし、スタートしてから、次々に課題が出てきます。

 まずは市街化調整区域であること。この城は、この場所500年以上存在しているよう。

 それが、後に地図上に引かれたラインによって、次々に規制が出てくることを、納得してくれるクライアントは居ません。

 行政の立場上、そう言わざる得ないのは分りますが「市街化調整区域に建物は建ててほしくない」という言葉をどう伝えればいいのか……

 思い出すと愚痴しか出てきませんが、最終的には行政の担当者も協力の上、何とか母屋を建て替える計画で、進むことになりました。

 山を背にした敷地は、背後に土塁がめぐらされています。高さ5mはあるでしょうか。

 正面には堀があり、合せてこの敷地を守ってきたです。

 この夏まで、堀には鯉が住んでいまいた。しかし、この地域を襲った秋の豪雨で土砂が流入。全滅したそうです。

 自然は過酷で、社会も過酷です。

 この地を守るという強い意思がなければ、この地が脈々と受け継がれることは無かったでしょう。クライアントもさぞかしと思いきや……以外にもさっぱりした方なのです。

 しかし私としては、ご先祖様に顔向け出来るよう、これからも受け継いで行きたいという家を設計しなければなりません。

 次の夏には、建物の奥深くまで光が届く、眺めの良い家がここに建っている予定です。

文責:守谷 昌紀

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