2012年の年末、バタバタと引っ越しをお願いしたのが、随分前のような気がします。
あっという間に1年が経った「8.8坪の家」。
こちらの家は、夫妻と4匹の猫が暮らします。引っ越し時は2匹だったのが、子を産み4匹になっていました。
子猫は警戒心が少なく、人懐っこいのです。
猫と暮らす家は、爪とぎの話が良くでます。こちらの家では全く無かったそうです。
しかし、3階の手すりの角には体を擦りつけるよう。若干塗装が落ちていますが、これも暮らしの手あとです。
幅3m、12坪の敷地に、駐車場のある幅2.7mの家を設計しました。
かなりのローコストゆえ内部扉がなく、夏の暑さと、冬の寒さは多少こたえるもの、とても楽しく暮らしているとのこと。
「友達に写真を見せたら、びっくりするんですよ」とは奥さんの弁です。
テレビ番組のオファーもあったのですが、ご主人が「自分が映らなければ、何でも協力しますよ」と。「取材に来た日に、出張だといって消えてしまいましょうか」とも。
そこまで無理強いはできないので、勿論断ることになったのです。
3階の浴槽前には緑も置かれ、なかなかの解放感です。
一緒に家を建てたので、他人事ではありませんが、人は逞しいものだと思います。
この逞しく、小さく、豊かな家を、できれば世間へ問うて見たかった、というのが偽らざる本音です。
しかしまだ諦めてはいません。
まだ家具も検討中とのことで、雑誌なら大丈夫ですかと、ご主人に問う私。逞しい人と仕事をし、私たちも少逞しくなって行くのです。
文責:守谷 昌紀