「私の家」-3-古家に学ぶ

 今住んでいる家から学ぶことも色々ありました。

 3年住んだ我が家を総括してみます。まずは悪いところから。

 最も大きな問題は、やはりプランです。従来からの木造住宅のグリッドは0.91m。私の家もこのモジュールが守られています。しかし、これは対応能力を欠きがちです。

 例えば6畳間の短辺は壁芯で2.73m。壁厚を引いた有効幅は約2.6mです。例えばここに巾0.8mのテーブルを置くと残りは1.8m。両側にとれば0.9mずつです。

 一見十分な数字にも見えますが、ダイニングにはサイドボード的なものが来ることがほとんど。

 それが0.45mだったとすると、それぞれが0.675mずつとなります。

 主動線でなければ、何とかならない数字ではないですが、快適とは言い難いのです。

 もう1グリッド大きくすれば8畳。壁芯3.64m角になります。

 有効は3.51mなので、同じ計算をするとそれぞれが1.355m。かなりの広さになります。広すぎるとも言えるのです。

 グリッドのある事で、建築資材を共通化できるというメリットはあります。しかし、一生の使い勝手を考えると、ここはこの基準から外れるべきとこるなのです。

 また、敷地がかなりあれば何とでもなりますが、一般的な敷地では、もっと繊細なプランが必要になってくるのです。

 今度は反対に良いところ。

 いわゆる個室は2部屋しかないにも関わらず、庭はそこそこの大きさがあります。更に縁側と庇つき。

 これは日本の住空間が世界に誇れるものだと実感できます。

 少々雨が降っていても、掃出し窓を開け、縁側に座れば、私だけの静寂な外部になるのです。

 毎朝ここに座り、5分ほど目を閉じます。瞑想と呼べるかどうかはわかりませんが、それでもこの時間があると無いとでは、1日の始まりが全く違います。

 この外と内をどう考えるか。これが最も大きなテーマです。建築とは宇宙を切り取る作業とも言えるのです。

【ここまで掛かった費用】-単位は円-
【A】<土地その他諸費用小計(税込)> 28,768,797
【B】<建築工事費>
【C】<施主支給>

□□□以下は明細□□□
【A】-1 <土地> 27,500,000
【A】-2 <土地関係の諸費用> 1,268,797
———————————————————————
小計 【A】28,768,797

【A】-2 <土地関係の諸費用>の明細
固定資産税精算 80,347
土地仲介手数料 929,250
司法書士 事務手数料 105,000
不動産売買契約書印紙代 15,000
登記費用(土地移転) 244,200

文責:守谷 昌紀

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「私の家」-2-土地購入まで

 今回の計画は、改修ではなく建て替え。

 築37年の木造住宅は、改修で住めないことはありません。しかし、子供、孫と3代は住める家にしたいと思っています。本人たちが望めばですが。

 反対に言えば、そのスパンで建てられているとは言えないのです。

 2009年1月中旬、現在住んでいる家が売りに出ているのを、新聞広告で見ました。土地108.88㎡(約33坪)、築昭和50年10月の古家付きで2980万円。

 購入までの流れを時間経過と共に書いて行きます。

2009/1/18(日) 不動産会社の店長、担当者と共に現地視察。「物置、エアコン3台、照明器具撤去で2600万円なら買うと」伝える。

2009/1/20(火) 担当者から「売主が2650万円で買付証明(10万円)を出して欲しい」と連絡あり。※「買付証明」は、その値段なら買う人が居ることを書面とお金を添えて伝えるもの。

2009/1/29(月) 担当者より「2800万円なら売る」と連絡あり。

2009/1/31(土) 現地にて再度担当者と会う。実測。「エアコン撤去無し、照明器具と物置撤去で2750万なら即決する」と伝える。

2009/2/4(水)  担当者から「照明器具と物置はこちらが撤去、エアコン3台はそのままなら2750万でOK」の返事あり。購入の意思を伝える。

2009/2/9(月) 担当者に、契約書、重要事項説明書の書式を先に貰い下見。

2009/2/12(木) 10:00am 不動産会社にて契約。※法律で資格の看板を掲げた場所でしなければならない。

2009/2/26(木) 11:00am 銀行で決済。後輩の司法書士、売主、仲介にはいっている互いの不動産会社。その後、法務局東住吉出張所で抵当権の抹消。

2009/3/20(日) 引越し。

 あれから3年3ヶ月。本格的に設計を開始します。

【ここまで掛かった費用】-単位は円-
【A】<土地その他諸費用小計(税込)> 28,768,797
【B】<建築工事費>
【C】<施主支給>

□□□以下は明細□□□
【A】-1 <土地> 27,500,000
【A】-2 <土地関係の諸費用> 1,268,797
———————————————————————
小計 【A】28,768,797

【A】-2 <土地関係の諸費用>の明細
固定資産税精算 80,347
土地仲介手数料 929,250
司法書士 事務手数料 105,000
不動産売買契約書印紙代 15,000
登記費用(土地移転) 244,200

文責:守谷 昌紀

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「四丁目の家」-22-赤坂→写真撮影

 前日は赤坂のホテルに泊まり、6月6日(水)は朝から「四丁目の家」へ移動。

 赤坂プリンスホテルが解体される事を、地元のレストラン経営者は非常に憂いていました。営業していないだけでも堪えるのに、工事が始まれば客足は更に遠のく。

 一旦遠のいた足は、簡単には戻ってこない。何とか今の建物を活かす方法はないのでしょうか、と。

 1984年開業の、40階建てのホテルが30年足らずで解体されること自体、大きな社会問題です。更に、地域に与える影響が大きいことも実感しました。

 計画は変わらないのでしょうが、事業体はこの声に耳を傾ける必要があるはずです。

 話を元に戻して、現地までは地下鉄で20分程。まずは内部から撮っていきます。

 2階は若夫婦世帯の住空間。

 キッチンに立つと、間口11.5mが見渡せます。

 東からキッチン、ダイニング、リビング、階段、一番西側に書斎という配置。

 一番奥の書斎は、ご主人たっての希望でした。

 リビングにはソファを置かず、直接床に座って使っているそうです。

 と言うのも、この日は平日で夫妻は共に仕事。1階の親世帯のご夫妻が、立ち会ってくれたのです。

 2階の住人が居ない中、撮影を許容して貰い、本当に有難いと思うのです。

 居間の北隣には子供部屋と寝室が並びます。

 ラグの若草色がとても良い感じです。

 この家の特徴は、何と言ってもウンテイと大きなバルコニー。

 今は吊り下げイスが下がっていますが、縄梯子もありました。

 遊び道具であり、運動器具でもあるのです。

 塀の間にあるのはゴーヤだそうです。

 夏には青々としたツルが2階へ向かって伸びているでしょうか。

 この日の天気は生憎の雨模様。この家は白が基調なので、何とか青空を背景に撮りたいところです。

 もう一度、ここに来る理由が出来ました。

文責:守谷 昌紀

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「私の家」-1-プロローグ

 4、5年前から、そろそろ私達の家を……と考えていました。

 実家の近くで古家が売りにでており、それを買ったのが3年前。2009年2月の事です。

 私にとって建築設計とは。

 誰かの幸せに貢献する建築を創る事です。

 それが感謝に値するものなら、その対価こそが報酬だと考えています。

 コスト、敷地条件等、様々な要望を受け入れ、何とか実現するのが私の仕事で、どの作品ひとつとっても簡単ではありませんでした。

 25歳で独立した私に、人生の中でも最も大きな決断を要する家や店舗の設計を任せて貰った事には感謝しかありません。

 それ故「目的は自分の家を建てる事」という建築家志望の若者に「それが人生の目標だという設計者に、大切な家を任してくれるだろうか」と詰問したことは一度や二度ではありません。

 仕事とは、あくまでも他者との関わりあいの中にあり、その緊張感こそが自分が求めていたものだったのです。

 それが自邸となると。正直に言えばまだ整理しきれていない部分もあります。しかし子供も色々な事が分りだし、これより後ろにずらすと、妻、彼らの為に創るこの家の意義が薄れてきます。

 仕事の合間に進めて来たこの計画を、本気で進めることに決めました。

 そこで問題になるのが「私」です。私自身は何を望んでいるのか。

 実はまだコンセプトが固まった訳ではありません。その葛藤から、掛かった費用に至るまで、全てここに書き綴って行きたいと思います。

 次回は、まずは古家付の土地を購入するまでの流れを。

 計画名は「私の家」とし、2013年の1月竣工を目指します。

文責:守谷 昌紀

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■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』■■■
7月8日(日) 7:58pmから8:54pm「匠」として出演します

【Events】
■6月1日~6月30日までハービスPLAZA(大阪)4階にて
「イタウバハウス」のパネル、模型を展示
【News】
■『建築相談ハンドブック』6月1日発行に「Shabby House」掲載

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