(仮称)トレジャーキッズたかどの保育園‐10‐いよいよ開園、その全容をお伝えします

 明日からは、2018年度が始まります。

 「トレジャーキッズたかどの保育園」もいよいよ開園です。

 4月8日(日)10:00am~11:00amには内覧会が開催されます。

 住所:大阪市旭区高殿7丁目16-29

 ハクモクレンも道路沿いに植わりました。

 もう書いてよいと思いますが、本当にタイトなスケジュールでした。

 1ヵ月で法的申請関係を全てクリアし、実施図面を描き上げました。今までで最も厳しいスケジュールだったと思います。

 しかし、のど元過ぎれば熱さ忘れるで、今は懐かしい思い出です。

 アプローチ横にあるのは、通称「ソロバン」。

 親御さんがお迎えに来たとき、先生方、ママ友と話をしたい場面があります。

 その時間を、子供達が退屈しないよう考えたものです。

 着想は、運営会社の担当者さんから。現場を知り、いつも子供のことを見ている人でなければ出てこない要望です。

 広い園庭には、芝生と砂場があります。

 古タイヤは、園長先生が自ら持ち込んだもの。

 泥んこになったらすぐに足が洗え、シャワーも浴びれるのです。

 ホール正面には500色の色えんぴつが飾られる予定。

『人はひといろじゃない。白木の園で自分色をみつけてください。

たっぷりの太陽を浴びて、立派なげん木に育ってほしい』

というメッセージを込めました。

 中に進むと事務室と調理室。

 各部屋には、木製の室名札が掛ります。

 エントランスホールから、調理室が見えるような窓を設けました。

 業務用の機器は、見るからにタフそう。

 機能美と言ってよいでしょう。

 1階は、園庭に沿う形で廊下が伸び、それを介して南からの光が差し込んできます。

 丁度「くの字」の折れ点にあるのが「ほしぐみ」0歳児室。

 この部屋は、廊下からの採光が厳しい為、トップライトを設けました。

 お昼寝には、丁度良い自然光になるはずです。

 見上げた景色は、さながら教会のよう。

 家具や建具は最も淡い白木としました。

 最奥にある隣の部屋は「つきぐみ」1歳児室です。

 少し淡いナチュラルな木の色としています。

 0歳児室のと間にあるのは児用トイレ。

 5歳児室で使う、最も濃い木の色としました。

 ここではお兄ちゃんお姉ちゃんを目指そう、という意味です。

 事務室に最も近い「にじぐみ」は2歳児室。

 この日は、仮の打合せ室になっていました。

 さらに少し濃い色に。

 エントランス前の階段を上がって2階へ。

 奥には調理室、左手にはエレベーターが見えます。

 2階は、園庭とは反対側に廊下があります。

 ホール周りにあるのは、まず「あおぞらえほんしつ」。

 この部屋もトップライトから光をとりました。

 向かいにあるのが「もりのひみつきち」。

 大きな園の中にある小さな空間は、色々な場面で役だってくれるはず。

 一番手前にあるのが「だいちぐみ」5歳児室です。

 トイレでも使った、最も濃い色にしました。

 しっかりした木へと成長して欲しいのです。

 隣にあるトイレは、3歳から5歳児仕様です。

 小さな便器がかわいらしいもの。

 2階の折れ点にあるのは「こもれびひろば」。

 0歳児室のトップライトの光を、木漏れ日に見立てました。

 左手にある可動間仕切を開くと、最奥にある3、4歳児室と繋がります。

 「かぜぐみ」と「そらぐみ」です。

 広さおよそ50畳。

 「こもれびひろば」と合わせると、約75畳あります。

 カーテンは仮のもので、最終的にはレース+緑になります。こちらからも木漏れ日が。

 4月2日の入園式はここで行われます。

 2階は園庭に向いて屋外廊下があり、まさに縁側として使って貰えれるはず。

 開園に向けて、続々と荷物が運ばれてきました。

 手前に写っているのは、運営会社の担当者の方です。

 毎週現場では、3時間から5時間掛けて定例会議が行われました。

 他園の担当、採用という仕事があるにも関わらず、最終回以外全て同席して頂きました。

 そして、全ての相談、質問に対して、ほぼ即断、即決で返答してくれたのです。

 通称「ソロバン」も、この方から提案を受け、考えデザインしました。

 勿論のこと、現場監督をはじめ、現場に関わった全ての職人の頑張りがあってこそ工期内に完成しました。

 しかし、即断、即決がなければ、また、良い園にしたいという愛情がなければ、このスケジュールで完成しなかったと思います。

 先日、住宅誌で付けて貰った作品のタイトルは「光と風と笑いで満たす」でした。

 6年間の間に、泣いたり、べそをかくこともあるでしょう。そんな時は「もりのひみつきち」へ。45年前の私が一番欲しかった空間でした。

 しかし、それらも含めて笑いで満ちた園となることを確信しています。

 多くの大人が、沢山の愛情と情熱を注いだんだよと、胸を張って伝えてみたいのです。

文責:守谷 昌紀

■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「回遊できる家」放映

■■■『住まいの設計05・06月号』3月20日発売に「回遊できる家」掲載

■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました

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「中庭のある無垢な珪藻土の家」‐11‐守谷さんに怒られるデ

 「中庭のある無垢な珪藻土の家」の撮影でした。

 竣工は2017年の3月末なので、1年越しの撮影になりました。

 天気がもうひとつで、2度も延期していたのです。

 3度目の正直で、青空に恵まれました。

 撮影中に、中庭のチューリップが満開になるくらい、気温もぐんぐん上昇。春の陽気となったのです。

 この計画のテーマは「不自然でない家」。

 「例えばカロリーゼロって不自然じゃないですか」と言われ、心底納得したものです。

 外壁は、自然な風合いの塗り壁を選択。

 敷地形状、光のとりかた、そして中庭との関係。

 全て必然性をもとめ、模索しました。

 内部の壁は全て珪藻土塗りです。

 自然素材なので当然といえば当然ですが、やはり空間が優しいのです。

 床材も、天然の檜を選んでいますが、これはご主人のこだわりです。

 2階の子供部屋にも南から光が差しこんできます。

 南西角地の長所を存分に引き出したつもりです。

 ちなみに、こげ茶の塗装は全てマグネットペイント。こちらは奥さんのセレクト。

 午後3時にお子さんが帰宅してから、ご家族にも撮影に参加して貰いました。

 熱心にお絵かきをするお姉ちゃん。

 一心不乱に、ショベルカーで遊ぶ弟君。

 人はこれだけ何か打ち込めるのかと感心します。

 弟君は帰ってくるなり、私に向かって「もうショベルカーで壁をガリガリしません!」と宣言してくれました。

 どうやら、壁に落書きをしたりするとお姉ちゃんが「そんなことしたら、守谷さんに怒られるデ!」と言ってくれているようです。

 どんな役回りでも、覚えてくれていたなら、ただただ嬉しい限りです。

 夕景を撮り終えると、夜の7時過ぎになりました。

 ご主人は私の著書も購入して下さり、「サインをしておいて下さいね」と。

 本当に有り難いことです。

 お姉ちゃんは、覚えたての文字でこんな手紙を渡してくれました。

 こんな瞬間があると、全てを忘れて笑顔で帰宅できます。

 そんな場面に立ち会えるよう、年度末に向かってラストスパートを掛けるのです。

文責:守谷 昌紀

■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「回遊できる家」放映

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築80年の長屋を「碧の家 」に〈リノベーション〉‐10‐エンジンは常に2馬力

 昨年末に完成した「碧の家 」ですが、4ヵ月点検に行ってきました。

 正面には小さな花壇があります。

 左の青い花はブルーデイジー。碧はこの計画のテーマカラーでもあります。

 花弁の形で分かるように、他の花もキク科の種でコーディネートされています。

 クライアントと監督が、花屋さんでセレクトし植えてくれたもの。近所の園に通う園児が「かわいい花壇」と言ってくれるそうです。

 一通りの点検を終え、コーヒーを煎れてもらいました。

 キッチン奥にある窓には、面格子がついています。

 設計者とは、間違いのない選択をしたくなる生き物です。

 とても主張の強いデザインなので、私がこの面格子を勧めることはありません。

 しかし、この空間にとても合っています。

 レンジ、炊飯器、トースターに加えて、ネスカフェバリスタまで、全てワインレッドで統一されています。

 また、それらを置くこのフロアキャビネットは造り付け。

 向かいのキッチン前も同じタイルで合せました。

 このケトル、2006年公開の映画「かもめ食堂」で使われたものだそうです。

 こういったサイドストーリーが、空間の味をより濃厚なものにしてくれます。

 「かもめ食堂」は、フィンランドのヘルシンキに実在する日本人経営の食堂で、そこが映画の舞台となっています。

 2016年のフィンランド行きの最終日に寄ってみたのですが残念ながら定休日でした。

 リビングの隣にあるお母様の寝室からは、通り庭がみえます。

 もとはモルタル塗りの予定でした。

 工事中に私が「通り庭」と言ったのを機に、タイル貼りにしたいという要望がありました。

 変更、トラブルは大歓迎。

 沢山のタイルサンプルを取り寄せ、チョコレートと白の組み合わせを選んで貰いました。

 2階のロフトにはチェアが届いていました。

 アルネ・ヤコブセンデザインのドロップ。

 ベルギーから届くのに2ヵ月掛かったそうです。青い壁にそのフォルムが引き立っています。

 この計画のテーマには、「碧」や「北欧」がありますが、これらは私が提案するものではありません。

 クライアントとよく話し、好きの中心にあるものを純化し、結晶化させていくような作業だと思っています。

 クライアントは多くのお金、時間を掛けて家を建てるので常に本気です。

 これまでの人生で、経験した空間、素材、景色をこの機に一気に思い出し、語ってくれます。

 その中で、幹になる部分を見つけ出せれば、もう計画は成功したのと同じだと思っています。

 また、私が「これ大丈夫かなあ」と迷う部分が少しくらいあったほうが、住まい手の個性が醸し出されるものなのです。

 あくまで一般論ですが、創り手は自分のしたい事をさせてくれるクライアントを求めている傾向があります。

 そういった方も大歓迎ですが、むしろ自分の価値観や主義主張を持っている人と仕事をしたほうが、面白いとも思っています。

 その時に心掛けているのはぶつかり合うのでなく、同じ方向を向くこと。

 そうすれば、エンジンは常に2馬力。仕事をさせて貰いながら応援までしてもらえるのです。

 「碧の家 」劇場はひとまずここで一区切り。

 4月初めに撮影する予定ですが、これが私たちにとって答え合わせのようなもの。

 正解だったと信じていますが。

文責:守谷 昌紀

■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「回遊できる家」放映

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(仮称)トレジャーキッズたかどの保育園‐9‐街角のペインター

 今日は、最後の定例会議でした。

 天気は生憎でしたが、園庭も大分出来上がってきました。

 外壁の杉板工事も概ね終わり、感じがでてきました。

 内部は、家具の取付が始まっていました。

 0歳児室では取付の最中でした。

 この部屋は、ヘの字のプランの角にあたるため、トップライトから光をとることにしました。

 柔らかい光が優しい雰囲気を醸し出していると思います。

 見上げた2階部分の反対にあるのが「こもれびひろば」です。

 トップライトの光を、壁の上部に設けたハイサイドからおすそ分けしてもらいました。

 その光を木漏れ日に見立てたのです。

 3、4歳児室のパーティションを開ければこの大空間に。

 外観を印象付ける杉板ですが、淡い白の塗装をしています。

 庇の下とはいえ、外部にあるので保護を兼ねて塗料を塗るのです。

 塗装チームの職長が「とってもいい感じですねエ。普通は焦げ茶なんかに塗るところを、こんな色合いで仕上るんですね。とっても遣り甲斐があります」と。

 同年代の彼に、なぜここを白木にしたのか説明しました。

 塗装職人は、自分で色を調合できなければ商売になりません。

 街角のペインターは、色に対して繊細な感覚をもっているのです。

 言ってみれば、プロ中のプロから褒めて貰ったことになります。

 その顔をみれば、お世辞ではないと思います。

 これがもしお世辞だったら、もう人間不信に落ちいってしまうのです。

文責:守谷 昌紀

■■■毎日放送『住人十色』4月14日 「羽曳野の家」放映

■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
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【News】
『関西の建築家とつくる家 Vol.2』2月1日発売に「松虫の長家」掲載
『MY HOME 100選vol.19』12月16日発売に「野洲の家」掲載
『ESSE』11月7日発売に「松虫の長屋」掲載
『建築家カタログ2016』8月29日発売に「遠里小野の家」掲載

『homify』1月2日「切妻と中庭の家」掲載
『homify』(インドネシア語)1月1日「白馬の山小屋」掲載『homify』(スペイン語)9月26日に「松虫の長屋」掲載
『homify』7月21日「白馬の山小屋」掲載

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