世は「平成最後」とかまびすしいですが、新元号が4月1日に発表されると知りました。
つい先日、娘に教えて貰ったのです。
そんな世間の喧噪とは関係なく、季節は粛々と進んで行きます。
現場の近くの長居公園で、早咲きの桜かなと思って近づくと「アーモンド」と表記がありました。
あのアーモンドなのでしょうか。
工事も残すところ1ヶ月となり、職人の往来も激しくなってきました。
来月、クライアントである歯科医師会の皆さんをお迎えする「現場内覧会」を予定しています。
来客用ヘルメットもすでに準備済。
壁下地の工事も進んでいますが、全て鉄製のライト・ゲージ・スタッドで構成されています。
一般にはLGSと呼ばれるもの。
防火性能に優れていますが、木ではないので加工が簡単ではありません。
大工ではなく専門の職人の手で施工されるものです。
トップライト周りの繊細な部分も、LSGで下地をしているのがみてとれます。
1階の大会議室も随分形になってきました。
2階の会長室は床下地を施工中。
トップライトは転落の危険がないように養生中でした。
「虫歯の鳥などいないのでは」というコンセプトから展開していたったのが、正面の庇です。
「くちばし」と呼んでいますが、この繊細な部分を鉄骨で構成するのは、なかなかに難しい仕事です。
最上部のくちばしをどう納めるか、検討している図。
その直下にあるサッシが、丁度搬入されてきました。
できる限り外壁と一体化させるため、最後の最後まで検討して貰った部分です。
建物にとっての顔は、できる限り美しいものにしたいのです。
バラ科とあったアーモンドの花は、桜に良く似ています。
冬をやりすごし、今まさに咲き誇る瞬間です。
日本における近代建築の祖、建築家・前川國男は弟子にこう言ったそうです。
「自然は美しいね。なぜだと思う。自らに責任を持っているからだよ」
またこうも言いました。
「人間は、はかない存在である。頼れる確固たる存在が必要だ。それに建築は応える必要がある」
建築で一番大切なものは永遠性だと言ったのです。
この歯科医師会館も、私より長く存在してくれるはずです。永く咲きほこる建築であって欲しいと思うのです。
文責:守谷 昌紀
■■■『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日(月)発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
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