6月にも関わらず、暑い日が続きます。
しかし天気予報を見ると、関西もそろそろ梅雨入りでしょうか。
LDK南のサッシ枠が取りつきました。
開口部が景色を切り取りますが、南に広がる田園風景は、想像を上回る爽快さです。
田んぼには水が張られ、さながら平等院のようと言えば少し言い過ぎでしょうか。
打合せは、作業台とアウトドアチェアの仮設リビングで。
この景色を堪能してもらいたいので、クライアントの席は北側に準備します。
ご主人は「これからの季節、カエルが煩いんですよ」と、やはり環境には無頓着でしたが、それでもこの大開口を体感して貰いたかったのです。
階段を上がった2階のホールにあるハイサイド。
緑を切り取る、まさにピクチャーウィンドウです。
その下に、下屋がぶつかってくるの壁があります。
壁をめくってみて、大工の技を感じることが出来るのです。
寝室、子供部屋の南にあるバルコニーについては、前回触れました。
環境には無頓着だったご主人も、広いバルコニーには納得でした。
この日課題は、スイッチ・コンセントの位置決め。
結構時間が掛かってしまい、1階は次回に持ち越しとなりました。
朝来た時、前の水田に苗が置いてあるなと思っていました。
昼頃から、トラクターで田植えがスタート。
帰る頃にはすっかり景色が変わり、私にとっては、一日限りの平等院となりました。
「バカの壁」の作者、養老猛司は「ヨーロッパと比べて、東南アジアの自然は強い」と書いていたと思います。
強い日差し、長い雨、すぐに生えてくる雑草、そして蚊。
自然が強い分、扱いにくいところもあります。それをどこまでコントロールし、室内に質の良い光と風を取り込めるか。それこそが建築にとっての命題だと思っています。
温暖化が進む中、夏を制するものが一年を制すと言っても過言ではないのです。
暑い時期に目の前に水盤があれば、風は冷やされます。
藤原頼道は水面に映る鳳凰堂を愛でたのですが、その涼やかさも分かっていたのかもしれません。
文責:守谷 昌紀
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