「THE LONGING HOUSE 」‐11‐素敵ファサード

 先週末、クライアントから写真が届きました。

 ようやく足場が外れ、外観が露わになったのです。

 「とても素敵でした!!」とのコメントも添えて貰ったのです。

 火曜日の定例打合せの際も撮りましたが、やはり直射を浴びる午前のほうが色合いが鮮やかです。

 入ってすぐの部屋に、クロスの糊付け機が据えられています。

 中をのぞくと、4人ほどの職人が下地処理の真っ最中でした。

 壁紙の仕上がりは、貼る技術も大切ですがやはり下地処理に差がでます。

 いつもの職長が、リズミカルにペーパー掛けをしていました。

 「真っ白になっちゃいますよ!」と気遣ってくれましたが、現場リポートも私の仕事。

 手の動きって連動してるんだな、などと思いながら楽しんで撮影していました。

 キッチン背面の家具が取り付いていました。

 また、LDKのタイルも貼り上がっていました。

 こちらはもうひとつのファサードと言ってよい、LDKを南から見た景色です。
 
 このT字の敷地にどう建物を配置するかは随分考えましたが、手応えは十分です。 

 クライアントからは、「グレーの色調は濃くもなく薄くもなくジャスト」とも頂いていました。

 濃い色と明るい色は、かなりの軒数を建てさせて貰ったので、まず外すことはないと思っています。

 中間色はとても繊細で、難易度は非常に高いと言って良いでしょう。

 しかし過程は嘘をつきませんでした。何枚も、何枚もサンプルを作成し、何度も、何度も確認して貰ったのです。

 先日ラジオで「親、夫、私と、外壁の色の好みがバラバラで、どうしたら良いでしょうか」という質問が読み上げられていました。

 パーソナリティは「外壁は自分では見えないので何色でもいいんじゃない」のような回答でした。

 冗談半分でしょうが、外壁は大切です。

 美しい建物が建ち並べば、街は美しくなります。街が美しくなれば、愛着がわきます。愛着ある街なら、少しでも良くしたい、美しくあって欲しいと思えるはずだからです。

 「The Longing House」は「憧れの家」という意味です。

 憧れるほど好きになって貰えるのか、5月下旬にはその結果が出ます。

文責:守谷 昌紀

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
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住み継ぐ「コンクリート打放し H型プランの平屋」‐10‐雨雨ふれふれ

 ようやく足場が外れました。

 先週土曜日の定例打合せでは、しっかり雨が降っていました。

 建築写真は晴れに限りますが、普段の暮らしにおいてなら、雨の日のほうが差が出るかもしれません。

 アプローチにコンクリートの庇を設けましたが、奥もガラスの庇が連続します。
 
 車が横付けできたり、ゆっくり傘を畳めるスペースは、雨を楽しむためには有効な空間となるはずです。

 エントランスホールに入ると、目線の先には光庭。

 南を向けば、LDKの先にある庭が目に入るのですが、これだけの外部を備えたケースは稀でしょう。

 反対の言い方をすれば、これらの外部を活かし、取り込むためには、このプランの方向性しかないと思っていました。 

 この日から現場はスリッパ着用となりました。

 小さな紺色のスリッパがひとつ。

 監督がお子さん用に準備してくれたものでした。

 大人用の健康サンダルだそうですがサイズはぴったり。
 
 こういった気遣いの積み重ねは、必ず物創りに活かされるはずです。
 

 床がほぼ完成したので、その長男君もようやく走り回ることができます。

 退屈なはずの打合せ中、一人でも楽しそうに遊んでくれ、私としては本当に救われる思いでした。

 彼に報いるには、好きになって貰える空間を創りあげるしかありません。

 そんな彼と、しばらく庭に振る雨を眺めていました。

 深い軒は、雨を楽しむためには何より必要なものです。

 今回は90cm確保できましたが、このくらいあればそう雨は入ってきません。

 軒からぽとり、ぽとりと落ちる雨だれを見ているだけで、全く飽きないものなのです。

 各個室からは緑が見えますが、これは旧母屋に合わせて作られた日本庭園でした。

 反対から見返すとこのような景色ですが、コンクリート打ち放しの家に合うかを親族の皆さんは気にされていたと思います。

 コンクリートの原料はほぼ自然から採れたものですから、どのような庭であっても相性が良いのです。

 やはり雨と言えばカエル。

 こんな立派なカエルが居るのは、旧家ならではのことでしょう。

 八代亜紀の歌った「雨の慕情」は1980年のヒット曲です。作詞は私も大好きな阿久悠さんでした。

 雨雨ふれふれ もっとふれ

 私のいいひと つれてこい


 そんな人は居ませんが、雨だれを見ているとそんな気持ちになるから不思議です。

文責:守谷 昌紀

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「THE LONGING HOUSE 」‐10‐真剣レッドシダー

 2月下旬に高性能断熱材の現場発泡硬質ウレタン吹き付けが完了。

 最難関のヘリンボーン貼も3月中旬に終了しました。 

 現在は内部造作と並行して、外部工事もピッチが上がっています。

 メインエトランスは道路から見て左の車の後ろ辺り。

 そこへ至るアプローチをどうポジティブに解釈できるかが、プランの成否をを分けると考えていました。

 エントランスホールと繋がりますが、この付近までが暗くなりがちなエリアです。

 上階からの光をどれだけ届けられるかに腐心しました。

 階段側面も、出来る限り光を遮らないよう壁は無くしました。

 細い鋼材で、階段を吊るようにして支えています。

 階段を上がると、各個室を結ぶ2階廊下にでます。

 この部分に光庭を設け、階段を通して1階エントランスホールと路地状のアプローチに光を供給しているのです。

 こちらは子供部屋専用の光庭。 

 周辺には店舗や高いマンションが多く、プライバシーを保ちながら、十分に光を確保するために考えました。

 その価値を十分確認できたのです。

 アプローチから見上げると分かり易いでしょうか。

 手前の軒裏に張られているのはレッドシダーです。

 ファサードの開口横も縦張りのレッドシダー。

 クライアント拘りの箇所につき(拘りのない箇所などありませんが!)、並びまで確認して貰って工事に入ったのです。

 が、軒裏の方はそこまで繊細な打合せができておらず……

 実はファーストトライでは上手くいかず、クライアントに再度材をセレクトして貰ったのです。

 自然素材につきなかなかご希望に沿えずでしたが、対象面積の4倍ほどの材を取り、1枚1枚選んで貰いました。

 こちらがいわば1軍。

 しっかり変化があり、しかも単調にならないよう。クライアントも現場もまさに真剣です。 

 その結果がこれです。

 土木工事並の擁壁現場発泡硬質ウレタン吹き付けヘリンボーン、そしてレッドシダー。

 手がかかる子ほど可愛いと言います。

 拘りもマックスなら物語もフルコース。最終の景色がおぼろげながら見えてきました。

 もう可愛いことは間違いないのです。

 文責:守谷 昌紀

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