カテゴリー別アーカイブ: C58 家事動線がコンパクトな「白のコートハウス」

家事動線がコンパクトな「白のコートハウス」‐5‐取説とエピローグ

 木曜日の昼から「取り扱い説明」、いわゆる「取説」でした。

 引渡し前に、キッチン、ガス給湯器などの担当者が順に現場を訪れます。

 キッチン担当は、少し早めに来て準備中。

 この住宅のメインコンセプトは「家事動線がコンパクト」。

 キッチンとダイニングテーブルは横並びなので、動線は最短です。

 階段の向こうにあるのは洗濯室。

 洗濯機は引っ越し時に据えられますが、その上にあるのは簡易アイロン台です。

 洗濯室からは脱衣室、洗面へとアプローチできます。

 エントランスからの並びは、シューズクローゼット、クローゼット、洗面、脱衣室、浴室。

 脱衣室は洗濯室とつながり、洗濯室とキッチンがつながります。

 更に全てに廊下からもアプローチできるのです。

 そうこうしているうちに奥さんがみえ、説明が始まりました。

 正面に見えるのは中庭。

 コートハウスはやはり光が優しい。

 6畳ほどの空間ですが、2階の窓から1階とコンタクトできるようになっています。

 奥にあるのは当面は土遊び場、将来は緑を植える予定です。

 中庭は2階においても価値があります。

 1、2階ともですが、全ての部屋が中庭に向いて開いているので、完全にプライバシーが守られています。

 こちらの住宅の公開は現場まで、よって今回が最後。

 これもストーリーの1つなのです。

文責:守谷 昌紀

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家事動線がコンパクトな「白のコートハウス」‐4‐家の中の大動脈

 10月中旬は、雨の日が続きました。

 前々回の現場行は10月初旬。秋晴れの一日でした。

 こんな日は、1階の光庭も価値が増します。

 この時は、まだ階段ができておらず、現場で打合せをしてきました。

 今回行くと、階段がほぼ出来上がった状態に。

 この階段は繊細に設計しました。

 10段目の下を通って家事室に抜けるため、出来るかぎり薄く仕上る必要があります。

 また、階段を上がるとファミリールームがあり、キッチンに立つ奥さんとお子さんが、互いに気配を感じれるよう考えました。

 それで、段板を鉄筋で吊ることにしたのです。

 階段は、上下階を繋ぐいわば大動脈です。

 LDKが少しでも大きいほうが高く売れるだろうと、階段を軽視したプランは、中央に方形でまとめられがちです。

 それでは、家の中での縦方向の繋がりが分断されてしまい、ひいては、血流が悪くなるのです。

 血の流れは勿論人の流れ。階段のよい家はやはり元気で健康な家なのです。

文責:守谷 昌紀

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家事動線がコンパクトな「白のコートハウス」‐3‐徹底的に静かを目指す

 現場での打合せは、概ね2週間に一度行います。

 前回は9月の始めで、この時は大所帯で訪れました。

 スイッチ、コンセントの位置を決めるのに、型紙を貼っていくからです。

 施工会社からは監督ともう1人、電気工事の担当者に、当社からは2人。

 加えて、オープンデスク生も連れて行きました。

 この打合せは、電気などの配線の前で、しかも壁を塞ぐ前に行います。

 よって、タイミングが限られます。

 昨日訪れると、すでに壁の前面に繊維状のシートが張られていました。

 そこに小さな穴を開け、断熱材を吹き込んでいくのですが、1階はすで施工が終わっていました。

 断熱材は古紙を粉砕したもので、「セルロースファイバー」といいます。

 断熱性能とともに遮音性能が優れているのです。

 一般的な断熱材よりは高くなりますが、静かな環境を求める人には合った工法なのです。

 コートハウスなので、開口部は全て中庭に向いています。

 閑静な住宅街のうえ、この工法を用いているので、かなり静かな室内環境になるでしょう。

 環境、プラン、性能がかみあってこそ、それらは実現できるのです。

文責:守谷 昌紀

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家事動線がコンパクトな「白のコートハウス」‐2‐中庭の効用

 台風の通過で、建方が3日ほどずれこみました。

 何とか、盆休み前に上棟した「白のコートハウス」。

 エントランス周りは、家族用動線が別にあり、家事動線をコンパクトにしています。

 なぜコンパクトになるかは、もう少し工事が進んでから説明します。

 玄関から中庭を見ながらLDKに入って行く景色は、コートハウスならでは。

 近隣の視線を気にせず、開放できるのが最大の長所です。

 LDKはL字になっており、2面が中庭に接します。

 中庭に対しては、天井面まで開口部としました。

 建物の中心に行灯(あんどん)が差し込まれている光景をイメージしてもらえればと思います。

 直射光ではない、優しい光が常にそこから漏れてくるのです。

 2階は、中庭を囲むように4部屋を配置しました。

 主寝室には前室をもうけています。

 ゆったりとした空間になると思います。

 外部からの視線を気にしなくてよいバルコニー。

 この空間を使うのは主にご主人か。この用途も追々。

 中庭の足場がとれるのは10月頃か。

 その時に差す光が楽しみな計画なのです。

文責:守谷 昌紀

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家事動線がコンパクトな「白のコートハウス」‐1‐プロローグ

 敷地は閑静な住宅街で、近くにコンビニもない。

 この便利で忙しない時代、静かさは何にも代えがたいということがわかる。

 息を止めては大げさでも、見ず知らずの人が歩けば、周囲からの視線を気にすることになるだろう。

 金額調整も終え、6月から本格的に工事はスタートした。

 配筋検査を終えると、建物と敷地の関係がよく分かる。

 特徴は、何といっても6畳ほどの中庭だ。

 この建物は、外には完全に閉じている。

 そして全ての部屋がこの中庭に開いている。

 コートハウスも、L型、コの字型とバリエーションがあるが、ロの字のコートハウスは、最も大きな敷地を必要とする。

 反対のいい方をすれば、各部屋へのアプローチを要するため、面積効率が悪いともいえるのだ。

 夫妻は共働きで大変に忙しい。

 その中で、家事動線を限りなくコンパクトに、そして気楽に開ける屋外を求めた結果、このプランに行き着いたのだ。

 家事動線については、奥さんと細に入り打合せをした。

 とてもコンパクトで、スムーズな動線になったと自負している。

 プライバシーが保たれ、家族だけの空がある家。

 ミニマルな箱の中に、豊かな空間を生み出したいと思う。

文責:守谷 昌紀

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