「四丁目の家」-5-初めての解体スタート

 週末から週明けにかけて、大阪もかなり雪が降りました。

 しかし、関東地方は更に大雪のようです。

 いよいよ始まった解体も、何度か中断しました。

 東側棟は無事完了しました。

 残念ながら解体中は、現地へ行く予定がありません。

 よって今回の写真は、施工会社から送って貰ったもの。

 携帯電話、E-mail、スカイプと本当に便利になりました。

 今から13年前、1997年の年末に、「白馬の山小屋」という改修計画の仕事が始まりました。

 当時で築30年の山小屋を改修する計画で、大学時代の先輩からの依頼でした。何とか一作目の住宅が完成した頃だったのです。

 現場は長野県小谷村。もちろん施工会社は一社知らず。村役場へ行き、何社かを紹介して貰いました。

 現地へは経費を抑えるため、大阪を夜9時頃出る、夜行「ちくま」で。早朝に白馬へ着くのです。席はリクライニングしませんが、乗客も少なく横になって寝られました。懐かしいのですが、現在は運休されているようです。

 現場監理が始まると、監督が「デジカメ」で撮った画像を送ると言うのです。私はメールなど使ったことがなく、弟のアドレスに送って貰いました。これがデジタル画像初体験でした。
 
 初めてのクライアント、初めての土地、初めての建物。建築は初めてのことばかり。それはクライアントも私達も施工会社も同じ。建築の大きな特徴かもしれません。

 初めての事でも、困難に見える課題でも、必ず何とかなると思っています。実際に何とかなってきたからです。極端ですが、私が中学から持ち越している課題は一つもありません。

 次回現地へ行くのは、3月初めの予定。地鎮祭の予定です。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm
守谷昌紀のゲツモク日記
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「Shabby House」-24-ファサード

建築の正面側をファサードと呼びます。

住宅は個人のものですが、ファサードは街の景色を形作るもの。よって、半ば公的なものと考えています。

美しいファサードが街をより良くするはずだからです。

コンセプトはパリのアパルトメント。

その表情を持ち、まねごとにならないよう検討を重ねました。

住宅街にパリのアパルトメントが現れても……という考えもありますが、純粋にそれを追求するのは意味のあることだと思います。

ただし近隣に迷惑をかけないというのが、絶対条件。

判断は道行く人にゆだねます。

建築は勿論ファサードだけではありません。

新たにチェアも到着しました。

キッチンから見たダイニングを見返した時、クライアントの思い描いていた空間になっているのか。

この判断は本当の暮らしが始まってからになります。

文責:守谷 昌紀

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「頑張れる家(イタウバハウス)」-17-ジューンベリー

 年末に建物が完成し、やや落ち着いた頃。そろそろ、庭木をと言うことになりました。

 いつも通り古川庭樹園へ行って来ました。

 こちらの専務は造園の世界では相当に有名な人です。先日は秋篠宮ご夫妻と話されたとのこと。
 
 しかし気軽に樹を探すのに付き合ってくれるのです。 

 クライアントは、桜とジューンベリー(セイヨウザイフリボク)とで迷っていました。

 良い機会なので、専務に色々と聞きます。

 結果、三拍子揃った、ジューンベリーに。

 花、実、紅葉が楽しめるのです。

 沢山の樹の中から、少し枝分かれした愛嬌のある一本に決まりました。

 クライアントが、大型のバンで来ていたので、今回はそのまま持ち帰ることに。

 帰り際に、あることを知った専務が、下草類を少しプレゼントしてくれたのです。

 本当に嬉しいことですが、その理由は、またの機会に。

文責:守谷 昌紀

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「四丁目の家」-4-模型と想像

 近所に仮住まいも見つかり、間もなく解体が始まります。

 実際の、ここまでの流れは以下の通りです。

 企画の提案→設計・監理請負契約の締結→基本図面の作成→実施図面の作成→見積徴収→見積調整→施工会社と工事請負契約の締結

 住宅展示場をを持っている、ハウスメーカーや施工会社は別ですが、建築設計という仕事は、未だない建築を提案し、更に一緒に仕事を進めるか、判断を仰がないとなりません。

 無いものを何とか伝えるよう、手を尽くす必要があるのです。最も難しいのは、やはり「企画の提案」でしょうか。

 3D画像も進化していますが、模型に勝るものはないと考えています。S=1/100の模型で全体のボリューム、プランを提案するのです。

 大切なのは環境。

 周辺敷地も合わせて模型を作成します。

 そして、太陽の当たり方や、建物と街の関係を詰めて行きます。
 
 今回もそうでしたが、一度で方向性が決まることは中々ありません。

 無事契約となり、基本計画が固まれば、図面も模型もS=1/50に移行します。

 ここから実施図面の作成です。

 実施図に合わせて、出来る限り細部も作って行きます。

 この時に、テレビや電話、パソコン等、どこに置くかが決まると、設備の面でも精度が違ってきます。

 大切なのは「仮でも良いから決めること」です。

 縮尺こそ違え、目を近付けてその気で見れば、出来上がりのままの視界が開けます。

 とは言え、最後まで実物のない状況は変わりません。

 しかし、ネガティブに考える必要はありません。

 無いからこそ、人の頭は最大限の想像力を発揮するのです。

 共に想像し、一緒に造り上げていくことこそが、建築そのものと言えるのです。
 
文責:守谷 昌紀

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