「阿倍野の長屋」‐9‐間に合った、のか

 先週金曜日。引越し当日は快晴でした。

 強い日差しで、作業は大変だったと思いますが、雨だったらと思うとぞっとします。 

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 朝一番、現場はまだ作業をしており、ひとまず家の前に荷物は待機。

 怒られても仕方ない中、いつも笑顔で、現場に対して寛容だったことに、どれだけ救われたことか。

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 家具を据付け、電気配線をつなぐ。

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 据え付けられた家具に塗装。

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 荷物は来る。塗装を急ぐと。

 もうアメリカンコメディーみたいな状態です。ともて笑っていられませんが。

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 アリさんマークの養生が済み、いよいよ大物、冷蔵庫の搬入です。

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 若い2人が、大汗をかきながら、まず2階へ搬入。

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 キッチンに隣接するパントリーに何とか納めてくれました。

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 1階への明り取りも、まだ仮置き状態のようです。

 現場の職人も、アリさんマークの人たちも、本当に大変だったと思いますが、何とかんとか終了しました。

 最近、何故このような綱渡りが多いのか。

 多くの物がユニット化する中、加えて、職人の高齢化、人手不足と、全く楽観できません。

 何かを創り、それを世に出す以上、その責任と覚悟を、関わる全ての人が持たなければなりません。
 
 物が100円で買える時代、その作成に関わりたいのか、何千万円というお金が掛る、一点物の創造に関わりたいのかを、改めて自分に問う必要があります。

 30年前なら当たり前だったことが、当たり前で無くなって来たのです。

 しかし言い訳無用。ご家族の皆さんには、お詫びしかありません。月見台が据え付けられたら、伺います。

 まだ、残っているのです。

文責:守谷 昌紀

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「阿倍野の長屋」‐8‐イメージのまんま

 引越し前日、最終の打合せに来ました。

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 正面にさほどの変化はありません。

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 内部のクロス工事はひと段落したよう。

 小学1年生の長男君お気に入りの窓。真っ先にロフトまで上がってきて、お父さんが来るのをここから眺めるのです。

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 1週間前からすると、塗装工事もかなり進みました。

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 とは言え、予断は許さない状況。塗装会社からは、社長直々の登場です。

 切羽詰っている証拠でもありますが。

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 床にある光取りの開口部。

 お子さんも明るければお母さんも明るい。

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 ここには、厚さ25mmのアクリル板が入りました。

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 こんな使い方をしてくれたらいいな、という想像と期待で設計は進んで行きます。

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 クライミングウォールは、ホールドこそ付いていませんが、グレーの塗装で仕上がっていました。

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 ここも、想像以上にお気に入りで、創り手としてはほくそ笑むしかありません。

 奥さんも「こんな家に住みたかったという、イメージのまんまです」と言ってくれました。

 そこを目指して来たので、当然と言えば当然ですが、私達にとっては自信になる言葉です。

 あとは、最後の追い込みで、明日の引越しが無事終ることを祈るのみ。

 朝一番から、家具の据付工事が残っているのです。

文責:守谷 昌紀

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「阿倍野の長屋」‐7‐間に合うのか

 元の竣工予定は5月末でした。が、未だ工事中。

 大規模な遣り替えもあり、クライアントには大きな理解を示して貰いましたが、引越しは7月10日に決定。待ったなしです。

 最近こんな事ばかり書いている気も……

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 昔から上町台地には、塚、古墳が多くありました。

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 通りがかりの旅人が、虫の声に聞き入り、命絶えたことを哀れんで、供養したことが始まりとあります。

 この季節の夜、古来なら想像できない程大きな、虫の音が聞こえてきたことでしょう。

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 歴史情緒に慕っている間もなく足場が取れ、塗り壁の外観が表れました。

 奥の最上部にあるのが、ロフトの窓。

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 窓枠塗装の最中でした。

 手前のLDKの正方形窓も見えます。

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 LDKとつながるロフトエリアは、この建物のテーマをよく現します。

 ロフトは子供部屋として使われ、その下に彼らの祖母の昼寝部屋があるのです。

 その段差が5段。

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 ロフトは高い位置でもLDKとつながります。

 ここから、クライミングウォールを伝って降りることが出来るのです。

 ここはこれからの楽しみ。

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 現場は、何とか7月10日に間に合わせようと、全力です。ただ、急いでいるからと言って、質を落とす訳には行きません。

 設計・監理という仕事は、この監理部分で、総合力を問われる気がします。

 しかし、良いイメージしか持っていません。この現場、兎に角面白いのです。

文責:守谷 昌紀

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