現場での定例打合せも11回目となりました。
梅雨の晴れ間で、かろうじて晴れと言う天気でした。
2階LDKの西面にバルコニーがあります。
バルコニーの腰壁は、奥さんがぎりぎり家族を見送れる高さというオーダーでした。
引き違い窓が隠れ、すました表情を演出してくれています。
引戸の上にある庇は、この時期、特に価値を発揮してくれるでしょう。機能を出来るだけ美しく演出したいものです。
LDKにキッチンがすわりました。「ミストピンク」というカラーです。
ピンクと聞いた時、ちょっと主張が強すぎないかなという気持ちもありました。
クライアントには、心から好きなものに囲まれて暮らして欲しいのですが、踏み外してしまいそうな時は軌道修正するのも私の仕事です。
計画をスタートしたのが2019年の1月で、キッチンのカラーを決めたのが2020年の1月。
その1年間、奥さんの好みを色々拝見してきたのでお任せして大丈夫かなと思い、口を挟まないことにしました。
それで結果はこの通り。とてもこの空間にあっています。
お子さんの部屋にはピンクのアクセントクロス。
寝室には柄物のクロスにコーディネイトカウンター。
壁に服を掛け、カバンや小物を置いて、コーディネイトを楽しむ空間です。
奥さんが、ペットボトル等を置いてその機能を確認されていました。
茶目っ気タップリなのです。
このモザイクタイルも奥さんのセレクトで、職人の手待ちの状態です。
ここが完成すると、工事もほぼ終わりです。
屋根裏から出てきた梁に、埋め木をしてある箇所です。
私は「リノベーションなので、柱が取りついていた穴は残しておいて良い」と現場に指示していました。
しかし、ベテランの大工が気を聞かせてこんな細工をしてくれたのです。
25年経った木と同じ色にすることはできないのでそう指示したのですが、夫妻は「これも大工さんの気持ちですものね」と言ってくれました。
「らしい」空間をつくることに腐心してきました。
押し付ける訳でなく、誘導する訳でなく、かといって任せっきりにするのでなく。
この舵をとる面白さが、リノベーションの醍醐味なのです。
そのご家族らしい空間が創造できれば、計画は成功と言えます。全てのベースにあるのは信じる事と受け入れる事だと思っているのです。
文責:守谷 昌紀
■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行に
巻頭インタビューが掲載されました
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