「下町のコンクリートCUBE」-1-取材下見

 今週の月曜日は、久しぶりに「下町のコンクリートCUBE」へ。

 今は最も太陽高度の低い季節です。

 しかし、中庭を介しダイニングには光が差し込んでいました。

 この建物は、本当に敷地条件に恵まれています。

 目的は、テレビ取材の下見。

 まずはディレクターが、ハンディーカメラで下見の撮影をします。

 そして、実際に取材するかを決めるのですが、更にその映像をみて、本職のカメラマンが、どんな動きで、どんな撮り方をするかを決めるそうです。

 いつも思いますが、テレビというメディアは本当に多くの人が関わって出来るものだと実感します。

 また、決定したらお知らせしたいと思います。

 奥さんも元気そうで、四方山話をしていると、1つ違いに気づきました。

 前に居た、小型犬が見当たらず、若いゴールデンレトリバーが庭からこちらを見ています。

 聞くと、イングリッシュ・コッカー・スパニエルのボブは1年前に亡くなったそうなのです。

 2005年に計画を始めた頃、前の家は今の庭の部分にありました。

 そこで打合せをしていたのですが、ボブがやってきた時の事を明確に覚えています。

 私がくると繋がれるので、よく吠えられたものですが、可愛い犬でした。webサイトにも載せていたのです。

 新たにやってきた彼はボビー。彼が乗っているのは「TRUCK」のイスと言えば、驚く人が居るかもしれません。

 まだ1歳で遊んで欲しい盛り。

 何でも口にくわえて、持ってきます。

 家の中は6年が経たことを、全く感じさせない程、愛情が注がれていましたが、ボブのこと、庭木が、時間の流れを感じさせてくれます。

 諸行無常。時が縷々とした流れを止めることはありません。そして今年も終わりを迎えます。

文責:守谷 昌紀

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「サンルームと吹抜のある家」-11-外構

 クリスマスも終わり2011年もあと3日、外構工事も終盤を迎えています。

 ピンコロ敷、オーバードアの取付けを終え、タイルが貼られました。

 R部分には門扉が付きます。

 一旦建物内を通り、庭にソヨゴを運びました。

 ソヨゴは赤い実を付ける、常緑樹です。

 目隠しとなる位置に植えました。

 庭には芝も敷かれます。

 雑草や乾燥防止の為、木の足元にはウッドチップを敷きつめます。

 アプローチ側にはヒメシャラが植わりました。

 春に葉が付くのが楽しみです。

文責:田辺 幸香

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「頑張れる家(イタウバハウス)」-21-1年点検

 イタウバハウスが完成してはや1年。

 ルーバーの色も落ち着いてきました。

 「大掃除を兼ねて片づけました」の言葉通り、家の中はとても美しく、愛情をひしひしと感じます。

 1年点検の時、出来るだけ聞いているのが光熱費の件。

 夏は電気代が高い時で1万円、ガス代が4、5千円。

 冬は電気代が4、5千円で、ガスが1万円行くか行かないかだそうです。

 こちらの家はガス温水床暖房が入っていますが、冬の朝と夜に使ってこの金額とのことでした。

 工事中に間取りの変更をしたのは、彼の命が宿ったからでした。

 春生まれの7ヶ月です。

 奥さんが皆に「大きいねエって言われるんです」と。

 丸まると太った、どこからどう見ても元気な男の子です。

 抱っこされていても、遊んでいても、時々顔を確かめるそう。

 私の顔を見た後は、お父さんと顔を見合わせます。

 色々なことを急速に学習しているのでしょう。

 2階LDKの前にあるデッキに、非常用の避難口が設置されていました。

 ご主人は工務店に勤めるプロですが、素晴らしいの一言に尽きます。

 加えて、洗濯干しの上部に、ポリカーボネイトの庇も設置されていました。

 ちょっと、雨が……という話もありましたが、非常用と考えれば立派なものです。

 デザインのほうは完璧です。

 元々ご主人の会社は、外部遊具や、デッキの制作を得意にしていました。

 時間とともに、木が白っぽくなる様を「木が白ける」と言うそうです。

 その自然な変化もこの計画のコンセプトに入れようとなりました。

 垂直材のルーバーより、水平材のデッキのほうがより白けていました。太陽光の力はすごいものです。

 1年点検は概ね木製建具の微調整のみ。とても快適に暮らしていると言って貰いました。

 奥さんの友人が、来宅した時のこと。家の前で「○○さんの家だけ、周りの家と全然違うやん!」と言われた時は、少し焦りましたと。
 
 まずはクライアントの幸せ。次に、建築は自由なものだと知って貰いたい、そして街に貢献したいという気持ちで、建築設計をしています。

 しかし、このような話を聞くたびに、近隣の人はどう考えているのか、何とも表現し辛い気持ちにはなります。しかし、未だ明確な答はありません。

 今のところは、勇気を持って、自分らしい家を創りたいと言ってくれる人と、幸せで、誇りに思って貰えるような家を創り続けるしかないと思っています。 

文責:守谷 昌紀

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「四丁目の家」-18-施主検査

 先週の土曜日は、「四丁目の家」の検査でした。

 午前中は私達、設計検査、昼からは施主検査。

 残念ながら外部の塀などは、少し残ってしまいました。

 しかし、快晴の空に穴あきバルコニーは気持ちよさそうに見えます。

 キッチンから、リビング・ダイニングを見返すと、黒板とウンテイが見えます。

 黒板の暗緑色が床のウォルナットによく映え、この空間の印象を決定付けます。

 思った以上に良かったのが、コルクタイルを貼った階段室。

 家族の写真をいくらでも止められるよう、全面貼りにしました。

 見ているだけで、素材の柔らかさ感が伝わってくるから不思議です。

 階段の1段目は、玄関の段差と合わせて、ベンチのような扱いにしました。
 
 1階は親世帯ですが、早速使って貰い、ともて座り易いとお墨付きが出ました。

 1階和室は、居間兼寝室。

 南の大開口からの光を、障子が和らげています。

 2階に戻って、階段を上がり左奥にあるのがご主人の書斎。
 
 計画中は「こもり部屋」と揶揄されていましたが、良い感じで繋がっています。

 ここから一番奥のキッチンまで、目線が抜けているのです。

 そして子供部屋からバルコニーまで続くウンテイ。

 この計画のシンボルでもありました。

 奥さんの要望は、気持ちよく洗濯物が干せるバルコニー。

 一番奥には、ユーティリティーシンクもあります。

 リビングには勉強カウンターがあります。

 ドアの前にありますが、この部分は取外し可能。

 出来るだけ姉妹が、長く一緒に勉強できるよう考えました。

 いつも元気に、私を迎えてくれた元気な三姉妹。「まるも」のダンスを踊ってくれた時もありました。

 この日も思い切り嬉しさを爆発させ、あちこちと走り回っていました。創り手としては本当に嬉しく、設計者冥利につきます。

 それもこの日で最後、になる予定でしたが、1ヶ月点検にも伺う事になりました。ご家族には、迷惑を掛けますが、もう少しお付き合い頂きます。

文責:守谷 昌紀

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「サンルームと吹抜のある家」-10-取扱い説明

 日曜日の昼過ぎから、キッチンの取扱い説明がありました。

 現在は引っ越し直後。よって最も片付いている部屋、サンルームの写真を載せてみます。

 南向きのこの部屋は、明るく、床のタイルもあって、異国の雰囲気が漂うのです。

 プロジェクト名にもある通り、この部屋が果たす役割は大きいと思っています。

 階段仕上げはカーペット。

 色はボルドーです。

 これは奥さんのセンスですが、大きな玄関にピタリと合っています。

 キッチンの収納に、キャンベルスープストックされていました。

 ポップアートの先駆者、アンディー・ウォーホールがその題材に使ったことでも有名です。

 奥さんいわく「ちょっと独特な味がするけど、牛乳で割るととても美味しいですよ」と。

 ウォーホールが使ったのはトマトスープですが、その理由は好きだったから、だそう。

 2缶頂いたので、今度食べてみます。

 キッチンハウスの担当者が、順に説明を進めて行きます。キッチンというのは、洗う、切る、焼く、収納する等、沢山の機能が集中する箇所です。

 しかも毎日使うものなので、タフさ、便利さも求められます。必然的に金額も張ってくるのですが、このあたりの頃合いを見極める事は、家づくりの中でも大変重要な部分になってきます。

 食器というのは、好みがはっきりでます。

 シンプルなものが好きな人、かわいいものが好きな人。

 色々好みがありますが空間の好みと若干違うことが多い気もします。

 夕方まで居ると、リビングのハイサイドから、奥深くまで光が差し込んで来ました。

 午前中はやや光が入り過ぎるので、対策を練っていますが、明るく、開放感のある空間になったと思います。

 

 外部床に使われる御影石。ピンコロが現場に入ってきました。

 少しピンクがかった、ものにしています。

 数日間、車を外に駐車して貰うことになりますが、仕上りを楽しみにしています。

文責:守谷 昌紀

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「四丁目の家」-17-ファサード

 一昨日、監督より写真を送って貰いました。

 外壁工事が終わり、足場が取れたと報告があったからです。建築用語で、外観の正面をファサードと言うのです。

 外壁は目地の無い、フラットな仕上げにしました。

 屋根が大きく張り出しているのは、思う存分洗濯物を干いたいという要望から。

 奥に開いている穴は、ここでテントを張れば星が見えるようにという設計意図です。

 屋根は南に向かって登っており、2階の天井は高いところで3.2mあります。

 屋根形状こそがこの建物を物語っているのです。

 この計画、第1回目の現場日記は2010年11月27日でした。

 3月の大震災もあり、工事は大きく遅れました。しかし、それも良い思い出と言えるかは、最後の仕上がり次第です。

 計画がスタートした当初、ご主人は大阪に単身赴任でした。途中からご主人も東京へ転勤すると、よりメール、電話でのやり取りが多くなります。

 昨年の「Epic Games Japan」に引き続き、私達はどこに居ても仕事ができる、という大きな経験になりました。

 しかし返す返すも最後が肝心です。

 残すは外構だけになりました。来週末は現地へ最終の検査へ行く予定です。

文責:守谷 昌紀

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「あちこちでお茶できる家」-6-山並みのように

 12月に入りました。この計画も竣工まで残すところあと2ヶ月。

 計画名の通り、家の中が楽しい空間になるように設計したのですが、もちろん外観にもこだわっています。

 屋根勾配は左右で違い、更に棟(屋根の一番高い部分)の高さが、正面より裏側の方が低いのです。

 屋根のラインが、山並みのように柔らかで、見る方向によって、違う勾配を持たせたかったのです。

 加えて、1階の平面も南へ開く、「へ」の字型のプランとなっています。

 では、それによって構造体にどんな事が起こっているか。

 全ての柱の長さが変わり、直交しない梁が多く出てくるのです。

 これらの加工は、工場では出来ず、現場で大工の手加工によって、納められました。

 屋根の高低差を活かし、ロフトも設けています。

 手刻みの出来る大工が減っているという声を、良く現場でも耳にします。

 出来るだけ工場で加工しておけば、工期も短縮でき、ミスも減るのですが、やはり出るだけ人の手が加わって欲しいと思うのです。

 それでこそ、職人という仕事に皆が敬意を持ち、物づくりの楽しさ、やりがいを伝える事が出来ると思うのです。

 現場では、審査機関の中間検査も終了しました。

 これからは仕上げ、納り等の詳細を詰めて行きます。

 出来上がった時、柔らかな稜線のような形となっているか。楽しみにしています。

文責:守谷 昌紀

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