「高台の家 RC打放しの家」‐7‐やっぱり青空が良くにあう

■10月10日(土) 3:30pm~6:00pm 京都BAL 地下2階
丸善<京都本店>にて
「無料相談会」に参加■

 前回、打放しは雨もいいと書きました。

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 しかし、青空は尚いい。

 僅かですが、上部が見えるようになりました。

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 10月初旬、1階ダイニング・キッチンの奥深くまで光が差し込んでいます。 

 左手にある階段を上ると、2階には「P室」と名づけられた、部屋につながります。

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 ル・コルビジェは「建築それは陽光のもとでの形態の正確かつ壮麗なるたわむれ」と言いました。

 秋の陽光が、壁、天井とたわむれているのです。

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 2階にある「P室」は、目的が明確な部屋ではありません。

 本を読んだり、光が壁に当たる様を眺めたりする部屋。いわば余白です。

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 余白は、更に外部の余白と深い庇でつながっています。

 日本建築で言う、縁側にあたる空間なのです。

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 現在は足場があるので、屋根上にも上がって来ました。

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 梅田の高層ビル群、阿倍野のハルカス、空気が澄んでいる日は、りんくうゲートタワーまで見えるそうです。

 簡単に、1時間位は経ってしまいそうな景色でした。

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 正面は西側ですが、階段のある東側は3mから4mの擁壁になっています。

 こちらの姿も、なかなか刺激的なものになるはず。足場が取れるのは、11月中盤あたりでしょうか。

 晩秋の陽光とたわむれる姿を、心待ちにしているのです。

文責:守谷 昌紀

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「ダイヤモンドカットの家」‐1‐プロローグ

 2013年の1月、住宅新築の相談があった。

 「施工会社が決まっている場合も、設計を依頼することが出来ますか」という電話だった。

 私が不在だった事もあり「そのような、建て方の実績もあります」とスタッフが応えている。

 その後連絡は無かったが、2014年の10月、ある所で偶然お会いすることになる。名刺交換をした際に気付いて貰ったようだ。

 現在、仕事の多くは、webサイト、書籍、テレビ等、メディアを通してがきっかけのほとんどだ。

 多くの建築家の中から、選び、声を掛けて貰えるのは光栄なことだし、遣り甲斐もある。

 しかし、人はバーチャルな世界で生きている訳ではない。

 きっかけとして、メディアは大変優れているが、最終的に、仕事とは人間学だと考えている。

 この両極端にある世界を合わせて生きているのが、現代人と言える。

 2014年の11月から企画の提案をし、私達が設計させて貰うことになった。

 施工会社は値段があわなければ「やらない」という選択肢がある。しかし、設計事務所は、スタートしたなら、必ず結果を出さなければならない。

 よって、今回も競争見積りとさせて貰った。

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 敷地は物作りの工場が建ち並ぶ中にある。

 その中に、白いダイヤモンドを浮かび上がらせたいと思う。

文責:守谷 昌紀

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「阿倍野の長屋」‐10‐アドリブのジャムセッション、それが現場監理だ

■10月3日(土)13:00-15:00高槻高校(母校)文化祭の相談コーナーに参加します■

 何故か綱渡り竣工が続いた2015年の前半。

 引越し屋さんが引くくらい工事をしていた前回。「阿倍野の長屋」も、ようやく竣工検査を迎えることになりました。

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 2ヶ月前から、生活が始まっているので、今更検査もないのですが。

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 しかしけじめは肝心です。

 この計画、若いご夫妻がのセンスを、形にすることに拘りました。

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 レンガ、タイルの貼り方なども、奥さんが響き、選んでこられたものを尊重しました。

 全体のバランスを私が取ったという感じです。

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 クライミングウォールのホールドも「カラフルは止めて、淡色のグレーで行きたい」というのも、クライアントからのアイデア。

 1も2もなく賛成しました。

 こういったところで、少し主張を抑えると、空間のまとまりがとても良くなります。

 手前に見えるのは光庭。四軒長屋の中央に外部を挿入しているのです。

 反対に、こういった空間構成や、環境を紐解くのは私達の仕事です。

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 1年生になったばかりのお兄ちゃんは、早速、練習の成果を披露してくれました。

 こういった、プラスのオプションは、減額の際に無くなる場合が多いのですが、これも、夫妻のこだわりによって実現した箇所です。

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 四軒長屋の中央二軒。加えて北向き。

 それを解決するには、この方法しかないと考えていました。

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 ロフトとLDKはスキップフロアとなっており、緩やかに繋がっています。

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 中学生くらいまでは、子供部屋として使えると思います。

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 静かになったなと思ったら、お兄ちゃんはロフトで本を読んでいました。

 ここは、何となく目線が切れる空間です。家族の個性にもよるのですが、こういったしつらえが、とても大事だと考えています。

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 奥さんが最後まで迷っていたのが、キッチン横にある洗面壁の目地。

 最終的には、私の推した白目地にしてくれました。これは、とても感謝してもらいました。

 リノベーションの場合は、特に全てがコントロール出来る訳ではありません。

 現場は刻々と変化しますし、施工者の考え方もあります。

 そこに立ち、空間を感じ、クライアントが喜べる、最高の答えを求めなくてはなりません。

 アドリブのジャムセッション。それが設計に対し、監理という仕事なのです。

文責:守谷 昌紀

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「高台の家 RC打放しの家」‐6‐写りすぎ注意

 先週の木曜日、現場での打ち合わせでした。

 高台の家は、何故か雨の日が多いのです。

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 1階部分の強度が十分でたので、ポスト(支柱)がほとんど撤去されていました。


 雨につき、光量が少なかったのですが、そのほうが陰影がよく分ります。

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 1階ダイニングキッチンの南面は、全面が窓になっています。

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 その隣にあるのが子供部屋。

 躯体が1.2m張り出し、更に1.2mの庇があります。この部分のポストは、念の為残したまま。

 この部分は、駐車場となります。

 明るさ、暗さとも楽しめる。RC打放しとはそんな素材だと考えています。

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 その表情に影響を与えるのが、このセパ穴とかPコンと言われるものです。

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 雨の中、2階はまさに脱型中(型枠を外すこと)。

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 作業は大変ですが、雨ぬれたコンクリートも美しいもの。

 壁に穿たれたスリットは、大阪平野の夜景を楽しむ為の開口です。

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 この日はCANONの5D-MARKⅡで撮ったのですが、やはり小さなデジカメと比べると、質感が全く違います。

 前回の打設の風景を「ゲツモク日記」に上げたのですが「しっかり顔が写り過ぎて、恥ずかしいので……」とクライアントから。

 ちょっと調子に乗りすぎました。

 以後、写り過ぎには注意します。

文責:守谷 昌紀

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