「伊東内科クリニック」-21-白、茶、灰、桃

 いよいよ工事は終盤です。曲面壁の塗装が終わっていました。

 金属よりは、木のほうが好き、しかしアップル製品が好きというクライアント。

 建築、家具、医院のマークの色や、素材選びにはしっかり時間をかけました。

 サンプルを貼っているのは前々回も書いた学生。鳥取の大学院生で、友人宅に住み込みながらオープンデスクに参加中です。

 先週で研修は終了したのですが、クライアントや現場監督に声を掛けて貰ったのが嬉しいかったようで「今月いっぱいまで延長したい」と申し出がありました。

 聞けば、始めの数日間は、兎に角辞めたかったそうです。3日目には、更に続けるかを問うので、彼も「頑張ります」と言っていたのですが、若者の心は複雑です。

 どんな仕事でも、いきなり遣り甲斐があれば良いのですが、そうはいきません。

 辛い、しんどいの先に何かがあるのですが、これを説明するのは難しい。面倒なので「常に面倒なほうを選択しなさい」と言います。

 そんな効率の悪い、という考えもありますが、事務所の基本方針は変わりません。聖書にも「狭き門を選べ」と書かれていると聞いたのです。  

文責:守谷 昌紀
建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「伊東内科クリニック」-20-外壁塗装

 大阪もすっかり涼しくなり、夜は寒いくらい。

 昨日、天気は生憎でしたが、やっと足場が外れました。

 初めて養生シートが取れた日。遠くから建物に近づいていく時の気分は、なんとも言えないものがあります。

 「やっと!」と「大丈夫?」という感情が交錯するのです。

 光庭のルーバーがまだですが、これが付くと外観のイメージはほぼ決定します。

 外壁はケイカル板で大きな壁面を構成し、塗装で仕上げます。

 下地処理がすべて終わると、曲面壁部分にも色をつけます。

 塗装仕上げは、その下地処理が最も大切なのです。

 照明器具も取り付けが始まりました。

 計算上の照度は出るのですが、壁の仕上げ、壁の形状、床の仕上げなど等の条件に大きく影響を受けます。

 点灯してみないとなんとも言えない所があります。

 待合室の雰囲気も、イメージ通りに仕上がりました。

 この曲面壁にそって、ソファが入ります。

 後は家具関係を残すのみです。

文責:守谷 昌紀
建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「伊東内科クリニック」-19-サイン

 夕方は秋らしい雰囲気がやっと漂いだしました。

 外壁の曲面部分が形になってきました。

 この曲線が待合室まで続きます。

 現場は、家具などの詰めの段階に入っています。

 クライアントより「診察券などの事があるので、ロゴやマークの先に決められれば」という話しがありました。

 前回は全体の打合せを済ませたので、今回はマークのイメージを見て貰いました。

 元のイメージから、改善を加えて行きます。

 最後は実物大で、現場に貼り付けてチェック。

 デザインイメージは、患者さんの話しに耳を傾けるお医者さんです。

 最終形ではありませんが、とてもいい反応を貰いました。

 設計の途中で、ロゴなんかはどうすれば良いですかと質問があった時「気に入って貰えるかは別にして、まずは提案させて下さい」と言います。

 建築に係わるものは全てデザインしたいと思っています。

 勿論、餅屋は餅屋なので、グラフィックデザイナーを上回ることが出来るとは思っていません。

 しかし、全体を設計しているからこそ見える部分もあると思っています。

 出来る事は何でもやります。その言葉に、一切嘘はありません。

文責:守谷 昌紀
建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「Epic Games Japan New Office」-6-残工事

 工事としては、ほぼ終わっていましたが、製作期間のかかる電気錠のみ残っていました。

 丁度横浜へ来る予定があったので、立ち会ってきました。

 ちょっと気難しそうな職人さんが、色々と設定をしてくれました。

 「これじゃあ、いけねーよ」みたいな言葉遣いが、職人かたぎをより強く感じます。

 カードキーで出入り出来るようになり、工事は全て完了。

 船便で取り寄せている、イス2脚が来週届くと完成形です。

 来週は、東京ゲームショーがあり、Epic Games Japan は大変忙しい時期です。

 webサイトの新着記事に「iPhone, iPad, iPod touch用にアンリアル・エンジン3をリリース」とありますが、実物を見せてくれました。

 長らくゲームをしていませんが、架空の都市の中をさまよっている気分です。
 
 3D画像を作成するソフトがアンリアル・エンジンですが、アメリカではスタジアムの設計時などにも使われるそうです。

 この席からはどんな景色が見えるかなど、プレゼンに使われるのです。

 戻ってこちらは現実の話。

 どこでも打合せが出来るよう、壁は白いガラスの壁になっています。前面ホワイトボードのイメージ。

 先週本国から出張があったそうで、山手線の絵が。

 横には何故か「OKONOMIYAKI」の文字も。 

 ミーティングルームのイスも全て揃っていました。

 思っていた順番に、並べなおしました。

 早く撮影に来たいのですが、来月初めくらいでしょうか。

文責:守谷 昌紀
建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「頑張れる家(イタウバハウス)」-4-イタウバ

 基礎の配筋検査、コンクリートの受入検査と進み、現在は木材のチェックに進んでいます。

 初めて会った時、まず話題に出てきたのが「ローコスト」でした。誰もお金の事が一番気になります。

 直訳すれば「低予算」ですが、真意はこうだと考えます。決まった予算の中で、あきらめずにベストをつくす……ちょっと意訳しすぎでしょうか。

 ローコストを目指すと言ってもる理由がなければ金額は抑えられません。手法は色々ありますが、今回取り上げるのは「自分で出来ることは自分でする」です。

 ご主人は、公園やアスレチックの遊具を作ったり、メンテナンスする会社で働きます。経営者一家なのです。

 普段から堅木を扱っていることから、当初よりファサードにあるルーバーは自身で施工することになっていたのです。イタウバと言う木で正面が覆われます。

 誰でも出来る事ではありませんが、大小を問わなければ、可能性は無限にあります。

 イペ、イタウバ等の堅木は、雨などに対する耐性がとても強い木です。

 それでも日にさらされると、変色してきます。

 灰色っぽくというか、白っぽくというか、色が抜けて変色して行くのです。これを「白ける」と言います。

 クライアントは、塗装はせず、白けた木の色で成立させたいと言ったのです。

 この話は、いたく感じ入りました。塗装で美しく見せるのでなく、自然の変化にあわせて行く。

 素晴らしいコンセプトです。

 変化しないことが良しとされる、現在の建築材料を使い、美しい建物にするのは簡単では……いえいえ、何とか成立させてみせます。

 事務所の前に置いて、変化を見ています。

 日光、紫外線の力は凄いものがあります。

 左から、室内に置くイタウバ、3ヶ月屋外に置いたイタウバ、1年3ヶ月屋外に置いたイペ、です。

 プロジェクト名をつける時「白けても白けない家」を真剣に考えました。

 ゴロが悪いので辞めたのですが、この計画をよく表していると思います。

文責:守谷 昌紀
建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「頑張れる家(イタウバハウス)」-3-基礎配筋、受入検査

 9月に入りましたが、残暑は続きます。

 昨日、今日と2日続けての現場検査でした。

 まずは審査機関による、基礎配筋の中間検査です。

 今回は木造3階建なので、「建築基準法」「住宅かし保険」ともに検査があります。

 保険会社に報告する為、検査員は写真を撮ります。合格証を貰いました。


 そして本日はコンクリートの受入検査です。

 スランプ、空気量は規定値内で合格。

 塩分量と強度試験については、後日結果が出ます。 

 ミキサー車が着く前に、打設高さが分かるよう、鉄筋に印を付けました。

 バイブレーターを使って、この高さまで生コンを流していきます。

 夏季につき、スラブ打設後は養生しました。

文責:田辺 幸香
建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm