軒が深いから「おいでよHOUSE」‐7‐ ? or !

 10月着工から3ヵ月が経過し、いよいよ終盤戦です。

 完成まではあと1ヵ月半くらいでしょうか。

 養生シートの越しですが、冬の晴れは空気の澄んでいる感じが伝わってきます。。 

 1階は3部屋の個室が集まっているので、空間としては小さなものになります。

 廊下に本棚スペースを準備したり、ニッチや鏡を設けたりと、敷地巾を最大限い活用できるよう、色々なことを試みています。

 2階のトイレも壁下地が貼り上り、埋込の手洗いが付いていました。

 現在大人気の「乾太くん」はリンナイが発売したガス衣類乾燥機ですが、右のくぼみに設置されます。

 材工で15万円前後はしますが、評判は上々のよう。当社としての初採用がこの「おいでよhouse」になりました。私も楽しみにしているのです。
 

 しかし見せ場は何と言っても2階のLDKです。

 1階での打合せが終わり、先に2階に上がった奥さんの「わ~!すご~い!」という声が階下にいる私にも聞こえてきました。

 接道が北なので、南と東はかなり思い切って開口を取っています。

 特に東の高い位置にある窓は、最後の最後まで迷い、現場で打合せをしてから採用になったのです。

 一度建築確認申請が下りたなら、本来はそう変更をするものではありません。

 しかし、この仕事だけをしてきた私でも、現場を見てみないと判断し辛いことは多々あります。

 この辺りは、確認申請を一からやり直しにならない限りは、少々のことはお引き受けしているのです。

 この日も監督と大工のAさんを交えて、ああでもない、こうでもないと3時間半ほど打合せしていました。

 Aさんが、いつもより腰を入れてクギを打ち込んでいるなと思ったら、金物取り付け用のより硬い下地を張っている箇所でした。

 道具が進化したとしても、へっぴり腰では良い物は出来上がらないのです。

 建築は大きく、人手もかかるので金額もかなりのものです。それゆえ完成前に実物を見ることは出来ません。

 ショールームやモデルハウスとて、実際の環境に持ってくることは出来ないので、全てはイメージの世界です。 

 その時に、楽しむベースの人と、そうではない人では、私の判断もやはり違ってきます。

 「それなら行ってみましょう!」

  そう言えるかは、良い物にしたいという気持ちと同じくらい、クライアントのパーソナリティが大きく影響するのです。

 外観のフォルムは概ね出来上がりました。

 打合せの度に、クライアントの顔が「?」にならないよう、「!」となるよう全の瞬間にベストを尽くす覚悟なのです。

文責:守谷 昌紀

 

■■■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載

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【News】
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行に巻頭インタビュー掲載
■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

住み継ぐ「コンクリート打放し H型プランの平屋」‐7‐祭だ、祭

 2021年の現場日記。

 初回はコンクリート打設の風景からスタートです。

 12月28日(月)、29日(火)の2日に渡っての打設で、28日(月)の朝方まで降っていた雨も完全に上がりました。

 コンクリートは生ものにつき、出来るなら1日で打ち上げたいところです。

 しかし、こちらの敷地はアクセスが非常に厳しいのです。

 前面道路は4m、かつクランクして幹線道路に繋がります。途中、商店街も通過しなければならず、昼間は車両進入禁止という厳しいの3乗です。

 警察署に相談へ行き、近隣とよく話し合った上で、商店街の一部をミキサー車が通ることを許可して貰いました。

 苦労をして、ここまでやって来たミキサー車です。

 ミキサー車、ポンプ車、そして圧送工へ。

 様々な工事種別がある中で、コンクリート打設は最も人手がかかる工事と言えます。

 はっきり言って祭です。

 圧送工はこの日の主役。

 誰だってそうですが、一生懸命働く姿はやはり美しいものです。

 この道具はトントンと呼ばれるもの。

 圧送工が主役なら、コンクリートを円滑に打ち込むため、この木槌で型枠をトントンと叩くのは、裏方仕事と言って良いでしょう。

 建築現場は、常にチーム戦なのです。

 打設したあとを追いかけるように左官職人がコテで押さえていきます。

 コンクリート面に高低差があるのが分かるでしょうか。

 時間とともに硬化する特性があるから、こういった形状を形成できるのです。

 更にベテランの職人が平滑に仕上げて行きます。

 最後にトンボのような道具で広い面を押えるのですが、コンクリートが波打つ景色を是非ご覧ください。

 徐々に硬化して行く特性と、最後に水分が浮き上がってくることまで踏まえ、更に気温、湿度なども経験に照らしあわせながら、鉄筋コンクリートの躯体は形作られて行くのです。

 庇の端部も美しく仕上がっていました。

 11時過ぎ、午前の部が終了し、最後のミキサー車が現場を後にしました。

 職人たちも安堵の顔で、三々五々昼食へ向かいます。

 体を動かした後の昼食は、間違いなく美味しいはず。

 生コンのしずる感。

 人の手では成しえないことを実現する重機。

 そして、各職人の熟練の技術。

 職人にとっては日常ですが、物創りの現場は全てが非日常。毎日が祭だとも言えるのです。

 動画が簡単にUPできるようになり、そんな彼らの日常を伝えるのも私の仕事かなと思うようになりました。

 現在はゲツモク日記と同じサイトにUPしています。

 現場で写真を撮っていて、腰の据わっている職人を見ると、美しいとさえ感じます。

 トップアスリートの映像が美しいのと同じですが、彼らはほぼ一生現場で働きます。

 そんなフレッシュで、美しく、祭な現場を、今年も届けて行きたいと思いますので、宜しくお願い致します。

文責:守谷 昌紀

■■■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載

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