タグ別アーカイブ: 光庭

住み継ぐ「コンクリート打放し H型プランの平屋」‐8‐花は観手に咲く

 能の大成者、世阿弥はこう言いました。

 花とは命がけの熱意

 創り手として、エゴイスティックになったり、技自慢に陥っていまわないよう、いつも心の奥に留めているつもりです。

 コンクリート打ち放しの外壁がようやく全面見えるようになりました。

 H型プランのへこんだ部分は、車寄せでありアプローチとなっています。

 見上げるとコンクリートと空が対象的ですが、空部分はガラス屋根で覆われるのです。

 上から見るとこうなっていますが、中央にあるエントランスホールの向こうも、光庭となっているのです。

 ホールから見るとこのような景色に。

 反対側から見返してみますが、この空間はエントランスホールだけでなく、北棟にある和室、南棟にあるLDKへも光を供給してくれます。

 LDKは南から十分光が入りますが、北側からの光は柔らかく、風通しは各段によくなるはず。

 見上げるとこの地に数百年は鎮座する大楠木が。

 これほど恵まれた平屋は、そうはないでしょう。

 南の大開口からは旧家としての正門と、日本庭園を望みます。

 こちらには深い庇を設け、夏の日差しは完全に遮るのです。

 

 折角の大開口も、都心部の暮らしではなかなかフルオープンにはできないものです。

 それを解決する為、高い塀を設けた後ろに光庭を設けたり、リノベーションにおいては、建物に大きな穴を開けたりもしました。

 光と風という自然のダイナミズムを、いかにして安定した内部に引き込めるか。それこそが、建築設計の命題と言って良いと思うのです。

 しかしこの敷地においては、悩んだり、迷ったりすることは全くありませんでした。

 素直に敷地を受け入れ、必要な空間に、必要な光を風を与えることができたからです。

 そういう意味においては、私の物創りのキャリアの中で、平屋住宅のひとつの完成形だと思っています。

 先述した世阿弥は、こうも言いました。 

 花は観手に咲く

 クライアントの心に花を咲かせることができるのか。審判の時が徐々に近づいてくるのです。 

文責:守谷 昌紀

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

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【News】
■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行に巻頭インタビュー掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

「THE LONGING HOUSE 」‐7‐明るく、素直に、前向きに

 今年の節分は2月2日で、124年振りだったそうです。

 節分はその名の通り、冬と春の境目。カレンダーで決めるものではなく、太陽と地球の関係で決まるから今年のようなケースもあるとのこと。

 宇宙のリズムが全てを内包している訳です。

 「THE LONGING HOUSE 」のファサードは東向きで、定例打合せの始まる午後2時にはあまり光が当たりません。

 道路からアプローチし、建物に入っていきます。

 道路側から見ると分からないのですが、この上部は空が見えます。

 屋根がないのです。

 その部分を2階から見下ろすと、このようになっています。

 現在まだ床はありませんが、グレーチングを取り付けると光庭となります。

 光庭を2階廊下からみると、正方形の窓越しに光が漏れているのが分かります。
 

 1階の階段から見上げると、1階廊下にも光を落としているのが伝わるでしょうか。

 バルコニーであり、光庭であり、アプローチの明かり取りであり、1階の廊下の間接照明。1粒で4度美味しいのです。

 これだけ複雑な形にすると、相応のコストも掛かりますが、東面の光環境を考えると、これが最善の案と考え提案しました。
 

 反対に、平屋棟は南を向くのでかなり恵まれた条件です。


 

 メインの開口をL字に取り、奥深くまで光を送る為のハイサイドを加えました。

 

 更に、最も深い位置に光を落とすトップライトも。

 屋根上から見ると、こうなっています。

 

 この屋根の反射光も、2階の個室へ光を届ける役割をはたしています。

 光と風をいかに建物内に届けるかが、全ての計画のスタートになります。

 それを、クライアントのパーソナリティと照らし合わせてブラッシュアップして行くのが私の設計手法です。

 30代前半までは、ファーストプランに辿り着くまでかなり悩み、時間が掛かりました。

 今も簡単にでてこないことはありますが、それは法規面であったり、コスト面であったりすることが多いのです。

 それで、以前は何に悩んでいたんだろうと思うことがあります。

 しっかり敷地を見て、あとは明るく前向きに。素直に考えれば答えは必ず見つかるはずなのに。

 ただ、完成時に4度美味しいと思って貰えるかは、残り2ヵ月程の頑張りに掛かっています。

 宇宙を私がコントロールすることは出来ません。宇宙のリズム、原則を受け入れることから全ては始まるのだと思っているのです。

文責:守谷 昌紀

■■■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載

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【News】
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行に巻頭インタビュー掲載
■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
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「住吉区歯科医師会館」‐11‐およそ2年、サイトも完成

 9月下旬に撮影をした「住吉区歯科医師会館」のページが完成しました。

 先週末から、当社のサイトで公開しています。

 建物の正面は人で言えば顔にあたります。

 少しでも良い顔で撮ってあげたいと思うのが創り手の心情です。

 この日も天気は素晴らしく、うっすらと掛かる雲も僅かに夕日を受けて淡い色を映しこんでいます。

 写真家と「普段の行いが……」などと軽口をたたくのです。

 webサイトの構成は「分かりやすく」がまず一番ですが、建物の内部を歩いているような気持になって貰えたらとも考えています。

 加えて、より美しく、ドラマティックな写真があれば尚嬉しいのです。

 写真のアングルも色々ない考え方がありますが、基本「真正面」と思っています。

 しかし、それではどうしても伝わり難い空間もあります。

 この大会議室などもその例でしょうか。

 少し斜めから撮ったアングルのほうが、全体は伝わりやすいかなと思います。

 しかし、トップライトとmariane maiko matsuoの作品は、正面からとらえ直してもらいました。

 トップライトの上は、このような光庭です。

 言葉通り、採光専用に庭ですが、一番奥や側面にはルーバーも配し、風の流れもつくってあります。

 これらを囲むように、会長室、事務室、小会議室が並んでいます。

 会長室は、執務机から光庭を望むことができます。

 日々、忙しい診察の合間を縫って館に訪れる会長が、少しでも「気分がいい」と感じてくれたなら良いのですが。

 女子トイレ。

 男子トイレ。

 そして共用トイレ。

 このトイレは事務の方が使われるはずで、少し広めに設計しました。

 広い館を、いつもケアして下さる訳ですから。

 ご本人から、写真掲載のOKも貰いました。

 息をのむほどの繊細な筆使いで描かれたこの絵が、この会議室に品格を与えてくれます。

 銀箔が自然光を反射し、四季折々の表情を見せてくれるのでしょう。

 夕景に関しては、トラブルもあり再撮影をしました。

 事務の方に無理を言ってお願いしたのですが、その甲斐はあったと思っています。

 2018年の2月初旬にスタートしたので、2年近くの月日が経ちました。

 時間と命は等価です。作品が生まれることは、まさに私の生きた証しなのです。

 webサイトが完成したなら、ようやく一区切りを迎えます。

 会員の方々と、地域の方々が、この建物を愛してくれると嬉しいのですが。

文責:守谷 昌紀

■■■ 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』2019年12月3日で「「中庭のある無垢な珪藻土の家」」が5位に選出

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【News】

『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』2019年9月30日発売に「回遊できる家」掲載
『大改造!!劇的ビフォーアフター』7月21日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました

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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
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「住吉区歯科医師会館」‐9‐トラブルはネタにする

 6月は、撮影においては最も気を使う季節です。

 ギリギリまで悩んで決めた6月13日(木)は、快晴となってくれました。

 これからは気象庁の予報を最重要視すると決めました。

 道中、長居公園の外周は多くのランナーがアップをしているようでした。

 何かの大会が催されているようです。

 長居公園が快晴なら、住吉区歯科医師会館も勿論晴れ。

 写真家の平井美行さんにお願いしていました。

 竣工時より、ジューンベリーの葉が青々としています。

 まさに撮影日和です。

 この建物のプランの中心は、2階の北東にある光庭です。

 この部分の工事は難易度が高く、ようやく最終形を載せることができました。

 奥と右の壁下部にあるのが、視線は遮り、風は通すルーバーです。

 そして中央には3つのトップライトが並びます。

 光庭の周りに、会長室、事務室、小会議室が並びますが、会長室の執務机横から、光が差し込んでくるようプランしました。

 仕事の合い間をぬって公務をこなす姿をいつも見ていたので、少しでも良い空間を提供したいと考えたものです。

 1階の大会議室には机と椅子が入っています。

 トップライトの真下に入るとこのような景色。

 先月末、すでに一度公演があったのですが、プロジェクターを使う際、ブラインドを閉じても少し明るいとのこと。

 明るいことは喜んで貰っているのですが、この点は課題です。

 絵の正面に入るとこんな景色です。

 marianeさんの絵も、前回より活き活きと見えるのは、私の気分からでしょうか。

 エントランス右に、館のロゴも取りつきました。

 この竣工写真の撮影まで終えて、私の仕事はワンクールなのです。

 しかし若干のトラブルが発生し、夕景の撮影だけが持ち越しになりました。

 間違いなく防げた問題で、かなり腑に落ちていなかったのですが、平井さんには梅雨が明けた頃を狙って、再度来て貰うことになりました。

 撮影においては天の気分に影響されます。

 その意味で、昼景の撮影は120点だったので、良しとなければなりません。

 トラブルをネタにする。

 これはいつも心掛けてきたつもりです。

 しかしこの日は、正直久し振りにカリカリきていたのです。まだまだ修行の日々は続きます。

文責:守谷 昌紀

■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』4月7日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
■■■『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載

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【News】
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
■『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました
大阪ガス『住まう』11月22日発行に「中庭のある無垢な珪藻土の家」掲載
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載

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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
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「住吉区歯科医師会館」‐7‐開館間近

 ゴールデンウィーク前は、くちばしの上唇が出来上がったところでした。

 その後も現場は動いており、ようやく下唇も揃いました。

 たかが庇、されど庇です。

 建築においてのデザインとは、ただの装飾であってはならないと思っています。

 必要なものを、「美」へと高める行為だと解釈しているのです。

 外構工事は残っているものの、その全体像を現してくれました。

 エントランスの扉が入り、その抜け感がよりはっきり分かります。

 「模型通りに仕上がったな」はよくありますが、「模型よりいいな」と思うことは稀です。

 手前味噌かもしれませんが、この建物は後者だと感じていました。

 エントランスホールを入ると階段があります。

 その右手に、青をテーマとした男子WC。

 反対側には、赤をテーマとした女子WC。

 当たり前の配色と言えばそうですが、床と奥の壁を統一することで、無垢感がでればと考えました。

 2階にある共用WCは間をとって黄緑です。

 大会議室から階段を見返すと、大きなガラスの開口を中央に切ってあります。

 大会議室なので、不透明のフィルムを貼る予定でした。

 ですが、あまりにもマッチしているので、医師会の皆さんに、ブラインドを取り付けるという方法を提案してみようと思っています。

 一番奥のトップライトはまだ覆いがついているので、手前2ヵ所から光が落ちています。

 かなり迷った床の色合いも、これで良かったと確信がもてたのです。

 工事も終盤、美装に2人の職人が入ってくれていました。

 ピカピカの状態で、引渡したいとの思いは、私達も現場も同じなのです。

 昨年の2月にスタートしたこの計画も、残すところ1週間となりました。

 来週、2階のガラス手摺がとりつけられ、大会議室の絵画が飾られると、全てが完成です。

 名残惜しくも、楽しみでならないのです。

文責:守谷 昌紀

■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』4月7日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
■■■『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載

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【News】
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
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■『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました
大阪ガス『住まう』11月22日発行に「中庭のある無垢な珪藻土の家」掲載
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載

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「住吉区歯科医師会館」‐6‐くちばし現る

 明日からはゴールデンウィークが始まります。

 令和を迎えることもあり世は10連休。告知としては当社もそうしていますが、流石にそこまでは……

 それでも4連休×2の8日間は、過去最長タイでしょうか。

 5月中旬の引き渡しに向けて、「住吉区歯科医師会館」のくちばしがついに現れました。

 玄関回りの塗装はまだですが、足場がほぼなくなり、この建物のフォルムがよく分かります。

 現場と相談して決めたディティールに間違いはないはずです。

 1階の大会議室も仕上げ工事がほぼ終わりました。

 作家の画が飾られるくぼみも仕上がっています。後は作品の設置を待つだけなのです。

 絵画のかかる壁は東面ですが、低い位置に3つ開口があります。

 向かいにある西面の壁では最上部に開口を切りました。

 入口側を振り返るとその高低差が分かりやすいでしょうか。

 昼時に行ったので、職人の皆さんは食事中。失礼して声を掛けると「風がよく流れて気持ちいいね」と。

 高低差のある窓は、積極的に採用してきた手法です。

 2階の廊下においても同じ。

 西面は高い位置にあり、事務室の室内窓を介して光庭へ風が抜けて行きます。

 光庭の先にある東面の外壁も、低い位置に開口を切ってあるのです。

 西面の建物が3階建てなので、その間にある路地で冷やされた風が期待できるので、夏はかなり気持ちよいはずです。

 AI時代ですが、それらの力を借りずとも、空間はよくなると思っています。

 そこまでAIを敵視しなくてもよいのですが、電気もいらず、人工知能がなくとも、自然や環境と真摯に向かい合えば、建築は更に良くなるはずなのです。

 エネルギーが要らないということは、お金も要りません。

 財布にも優しいのですから、少しくらいは言わせて貰ってもよいのかなと。

文責:守谷 昌紀

■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』4月7日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
■■■『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載

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『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
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「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
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大阪ガス『住まう』11月22日発行に「中庭のある無垢な珪藻土の家」掲載
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載

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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

「住吉区歯科医師会館」‐4‐それでも時間は止まらない

 現場には常にシートが掛かっているので、外からみるとあまり変化はありません。

 しかし、内部は違います。

 ようやくサッシが取りつきました。

 洗面、トイレの窓はガラスルーバー窓。

 オペレーターを回すと、ガラスがブラインドのように動く窓のことです。

 また、大会議室のトップライトも取付けが終わりました。

 2階の光庭に上がるとその大きさが良く分かります。

 いずれも、まだガラスは入っていませんが、サッシというものは、建築の中でも非常に重要な部分です。

 窓はどこにでもあるので、特に意識することはないと思いますが、光と風を取り込み、水を止めるということは、実は至難の業です。

 その中で、錆びに強く、成型しやすく、軽いアルミサッシは現代建築では必須となりました。

 特に、屋根面となって雨を受けるトップライトにおいて、その価値はさらに高いのです。

 2階は3人が作業中でした。

 こちらは、会長室から中庭を見た景色。

 事務室も光庭に面しています。

 そして小会議室も。

 平面的にも、立体的にも、光庭を中心にこの建物は構成されているのです。

 2階では、監督が養生のシートを張っているところでした。

 こちらはトップライトの仕舞をしているところです。

 こちら電動ノコギリでボードを裁断しているところでした。やはり、現場は職人が沢山いて、活気があってこそです。

 しかし、ここにいる皆がおそらく皆40オーバー。48歳の私も含めてですが(笑)

 最近の現場で、20代、30代を見ることが極端に減りました。

 また、新聞にもボルトとナットが足らず、鉄骨の建物は工期が何ヶ月も遅れているという記事がでていました。

 こちらの会館では何とか確保できましたが、それでもギリギリ。

 人は足らず、物は足らず、消費税UPの駆け込み需要もあり、現場は40オーバー。

 もうコントの設定レベルですが、それでも時間が止まることはありません。

 何度も、何度もこんな場面を経験してきましたが、人生は困難克服成長ゲームです。

 ここからの2ヵ月。現場には、120%で頑張って貰わなければなりません。

文責:守谷 昌紀

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『関西の建築家とつくる家 Vol.2』2月1日発売「阿倍野の長家」掲載
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『homify』6月2日「イタウバハウス」掲載
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家事動線がコンパクトな「白のコートハウス」‐4‐家の中の大動脈

 10月中旬は、雨の日が続きました。

 前々回の現場行は10月初旬。秋晴れの一日でした。

 こんな日は、1階の光庭も価値が増します。

 この時は、まだ階段ができておらず、現場で打合せをしてきました。

 今回行くと、階段がほぼ出来上がった状態に。

 この階段は繊細に設計しました。

 10段目の下を通って家事室に抜けるため、出来るかぎり薄く仕上る必要があります。

 また、階段を上がるとファミリールームがあり、キッチンに立つ奥さんとお子さんが、互いに気配を感じれるよう考えました。

 それで、段板を鉄筋で吊ることにしたのです。

 階段は、上下階を繋ぐいわば大動脈です。

 LDKが少しでも大きいほうが高く売れるだろうと、階段を軽視したプランは、中央に方形でまとめられがちです。

 それでは、家の中での縦方向の繋がりが分断されてしまい、ひいては、血流が悪くなるのです。

 血の流れは勿論人の流れ。階段のよい家はやはり元気で健康な家なのです。

文責:守谷 昌紀

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