歯科医院を開業すると、地域の歯科医師会に入るのが一般的だ。
住吉区歯科医師会のwebサイトには以下のような説明がある。
歯科医同士で情報を共有し、歯科治療に関する知識を深めるための講習を開催しています。時には、地区の医療・福祉団体や他地区の歯科医師会と合同セミナーを開催するなど、積極的に技術向上に取り組んでいます。
小学校で歯科検診を受けたことがある人も多いと思うが、これらも歯科医師会が窓口となっての社会貢献活動のひとつである。
旧会館は築38年となっており、耐震基準を満たしていないことが建て替えの動機となった。
パブリックな建物ゆえ、コンペで設計者を選ぶことになったそうだ。
新築住宅ガイドというサイトからコンペ開催の連絡があり、当社も参加させて貰うことにした。
まずは書類選考で10社に絞られ、当社が2次選考に提出した案は以下のようなものだ。
歯科医師会館なので黒はない。やはり、白く清潔な建物がよい。
白い箱状の建物中央に、大きな開口を開け、くちばし状の庇を設けた。
「虫歯の鳥などいないのでは」というメッセージだ。
旧会館は暗く、寒いとお聞きしていた。
隣地も迫り窓を開けることもままならない。
光と風に満ち、地域の歯科医師の皆さんが足を運ぶ際に、楽しみにして貰えるような会館を模索した。
プランを決定する上で、最も影響を与えたのは大会議室だ。
多くの方々が訪れることもあり、非常時の避難経路を考えると1階が適切だと考えた。
建築基準法上の「採光」を確保するのが難しいのだが、2階の一部を光庭とし、トップライトを採用する案を提案した。
これらが、1階の北奥の最も暗い部分に、安定した光を与える。
ドラマティックな風景を演出してくれるはずだ。
2階においては、その光庭を囲むように各室を配置。
季節の良い時期には、隣地を気にせず掃き出し窓を全開にできる。また、夏の暑い時期には裏路地の冷たい風が通り抜ける。
歯科医師会館だけに健康な建物を目指したのだ。
白いくちばしをくぐってエントランスホールへ。
オープンな階段からは光が落ちてくる。
再び、住吉区歯科医師会のwebサイトから引いてみる。
「地域の皆さまの歯の健康を守ることができるのは私たちだけ」という誇りをもって、より歯科医療現場の最前線で活躍できるよう努力していきます。
その気概にお応えできるような、建築を目指したい。
また地域の皆さんとの交流の場となればこれほど嬉しいことはない。
住吉区は、これまでに一番多くの仕事をさせて貰った地域でもある。
仕事人としての気概をもって、歯科医師会の皆さん、地域の皆さんの幸せに何とか貢献したいと思うのだ。
文責:守谷 昌紀
■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm「回遊できる家」放映
■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
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■ 『住まいの設計05・06月号』3月20日発売に「回遊できる家」掲載
■『関西の建築家とつくる家 Vol.2』2月1日発売に「阿倍野の長家」掲載
■『homify』6月29日に「回遊できる家」掲載
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