「White Eaves」‐5‐タイルを決めるのは本当に難しい

 前回のUPが3月15日。

 上棟から、あっと言う間に2ヶ月半が経ちました。

 その間の現場打合せは5回。さぼっていたというよりは、現場日記が追いついていないのが現状です。

01 - コピー

 前面道路は一方通行で、それがデザインにも影響を与えています。

 また、工事請負契約が成立した段階で、熱源はプロパンガスとしていました。

 ところが工事が始まってすぐガス管が敷設されることが分かり、都市ガスへと変更。これはランニングコストに大きなメリットがあります。

 その敷設工事も終わり、新品の前面道路になりました。これはかなりついています。

03 - コピーのコピー

 日の光も強くなり、クチバシ状のファサードは何とも言えない表情を見せてくれます。

 シートが外れる日がとても楽しみ。

07 - コピー

 道路が北側で、各部屋は裏の南を向いています。

 一階の親世帯は、南の庭から光が差しこんでくるのです。

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 この2ヶ月半の間、下のお子さんが何回か遊びに来てくれました。

15 - コピー

 彼の部屋は、希望通り薄い青がテーマカラーに。

 本人が居れば即決即断です。

17 - コピーのコピー

 一番の課題はタイルでした。

 2階世帯は、寝室等の個室を除き全てタイル。現場で見て貰ったサンプルはおよそ20種類。

 中でも、メインのLDKは難航に難航を極めました。どのくらい難航したか。数枚貼ってから変更になったのです。

 フローリングは木なので、人の意思が入り込む余地がありません。しかし、タイルは人が作るもので、無限の選択肢があります。

 質感、色味、コストをよりどころに絞って行くのですが、もっとも大事なのは「響くか」です。

 本当に、あちこちへ行きましたが、最後は一番初めに選んだものに戻りました。初めに「響いた」ものです。
 
 ここに戻った理由には、コストの件も絡んでいます。

 このタイル、値段が高すぎるので一旦ボツになりました。しかし、色々なメーカーを当たるうちに、全く同じものが、半値で買えることが分かったのです。

 楽ではないですが、面倒だとは思っていません。それら全てがストーリーとなり、愛着に繋がるからです。

 もっと言えば、このくらいのトラブルがあった方が、家創りは面白いのです。

 勿論、理解あるクライアント、ついてきてくれる施工会社があってこそなのですが。

文責:守谷 昌紀

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「四世代で暮らす家」‐1‐プロローグ

 クライアントと一番初めに相談するのは「テーマ」である。

 何に幸せを感じるかは、住まい手によってそれぞれ。

 テーマとは、それを表現するキーワードのようなものだろうか。 

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 この計画も「暖かい」「耐震性」「かっこいい」「ゴージャス」など色々なキーワードが上がった。

 それらをまとめたり、離してみたりしながら計画は進んで行くのだが、言葉には上がらなかったキーワードがある。

 「大きい」である。

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 敷地は約360㎡で110坪ほどある。

 1、2、3階に各居住空間があるのだが、この家は1歳から80代まで、四世代が住むのである。

 大きな空間というのは常に憧れだ。

 2階のLDKは40畳以上ある。それが大味にならないよう、空間構成には特に気を付けた。

 既存建物も相当な規模で、かなりの盛り土をしていた。その分、解体作業にはかなりの時間を要したのだ。

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 打合せには第一世代の長男君も何度が参加してくれた。

 一番下のお子さんは1歳。第四世代の「曾祖母が見てくれているんです」ということも多々あった。

 昔の日本ならごく普通だったのかもしれないが、最近では稀なケースかもしれない。

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 そういった規模だけに、工期も8ヶ月みている。

 全ての世代が幸せだと思えるような家を目指し、工事はスタートする。

文責:守谷 昌紀


『住まいの設計07・08月号』5月21日発売「松虫の長屋」掲載■

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【Events】
■5月21日~5月29日曽根崎地下歩道PRコーナー(大阪市北区梅田1丁目)「宝塚の家」「松虫の家」のパネル、「宝塚の家」の模型展示
■5月30日~6月30日住まい情報センター4階
「宝塚の家」のパネル展示

【News】
『住まいの設計05・06月号』3月19日発売に「野洲の家」掲載
『homify(アラビア語)』5月20日「加美の家」掲載
『homify(韓国版)』5月18日「宝塚の家」掲載
『日刊住まい』「野洲の家」掲載
■『関西ウォーカー別冊「大阪ライフウォーカー」』3月22日発売に
「住之江の元長屋」掲載
■3月23日フジテレビ『みんなのニュース』「灘の高台の家」紹介
■2月23日フジテレビ『みんなのニュース』「松虫の長屋」紹介
『月刊ハウジング4月号』2月20日発売「野洲の家」掲載

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「高台の家 RC打放しの家」‐10‐冒険は一旦終わり

 昨年の11月に完成した「高台の家 」

 SEIUNDOに続き、当社webサイトにUPしました。

101西外観 (2)

 先に自分でも撮ったのですが、はやりプロに依頼しました。今回は平井美行さん。

103北西外観

 2月11日だったか、この日は雲一つない快晴。

 全く雲の無い時間が、これだけ続いたのは数十年振りと聞きました。

 又聞きで、裏は取れていないのですが。

105北西からの街並み

 時折、薄い霞のようなものは出ましたが、本当に雲の無い空。

 利休だったか、一筋の雲が月に掛かるのが良いと言いました。

107南東外観

 その意味で、写真家は「少しくらい雲があってもいいかも」と言いましたが、それはそれ。

 特別は良いものです。

109北東外観

 足を止める人も、何人か居ました。

203ダイニング・キッチン夜景

 今回は人無しの写真ですが、落ち着いたら、家族に入って貰いたいと思っています。

205ダイニング・キッチン

 1階にはリビングを置かず、ダイニング・キッチンとしました。

 これが、プランに大きな影響を与えています。

209ダイニング

 大は小を兼ねますが、豊かは大のみには宿りません。

301エントランス

 コンクリートという、金額的にも高い躯体がゆえ、ボリュームは徹底的に拘っています。

303階段

 建築は、コストという縛りがあります。

 拘ったと言うよりは、精査に精査を重ねたというのが、本当の所でしょうか。

305ホール

 コンクリートと木という素材は、対比が本当に美しいのです。

307子供部屋

 キッチンの北にある子供部屋。

309寝室

 エントランス近くにある寝室。

 いずれも、大きすぎない適正なサイズを探りました。

401P室と縁側

 そして2階の縁側とバルコニー。

403P室西から

 ここを併せてリビングとしたのです。

 その室名は「P室」。その所以はここでは割愛します。

405縁側から

 霞のような雲がある、2階南側の景色。

409縁側の夕景

 そして夕暮れ。

507

 この空間が、幸せの景色を生んでくれると期待しています。

605

 坂のある街に浮かぶ。コンクリートBOX。

 シンプルで、抽象化された空間は、気持ちを投影しやすいという側面があります。

 ただ、ここには捨てる勇気が付いて回ります。

 クライアトと私達の冒険は、一旦終わりました。これからの暮らしが、それらを醸成してくれるのだと思います。

 そして、素晴らしい暮らしが醸し出されることを信じています。

文責:守谷 昌紀

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