カテゴリー別アーカイブ: C39 「山の手の家〈リノベーション〉」

「山の手の家」-7-今度は検査終了

 前回、延期になってしまった施主検査。

 一昨日、ようやく完成の状態をみて貰うことが出来ました。

 リフォームにつき、外観の形は大きく変わってませんが、色あいは思い切って変えてみました。ダイニングから一続きになったテラスも、この計画の大きな特徴です。

 玄関内は石貼りになっています。扉は外壁と濃淡をつけました。

 茶系と緑は相性が良いのです。

 建物が大きく、ゆとりはあったのですが、玄関まわり、中央廊下の暗さが課題でした。

 リビングの玄関側に、大きなガラス壁を設け、玄関は改善。

 中央廊下の上部に穴を開け、グレーチングの床にしました。

 60cm角のサイズですが、効果がでています。

 ようやく養生が外れたキッチン。

 奥にある濃茶のキャビネットとの対比が効いています。

 前回か課題となっていた、洗面台。

 天板の大理石は存在感、質感ともさすがに秀でています。クライアントと一緒に、各箇所をみてまわり、塗装など課題が上がったところにテープを貼って行きました。

 今週手直しのうえ、翌週が最終の確認。その後引越しという流れです。

文責:守谷 昌紀

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「山の手の家」-6-検査、の予定でした

 1月26日(土)は施主検査の予定でした。

 外壁は、こげ茶と利休鼠(りきゅうねず)の中間をねらいました。利休鼠は、利休が好んだ緑がかった灰色。

 灰色は白と黒という無彩色で出来るだけに、何を混ぜるかで大きく雰囲気の変わる色です。

 バルコニーに濃い焦げ茶の横板がくれば、更に締まった印象になるはず。庭にあるテラスも出来上がりました。こちらも、黒に近い灰色と言ってよいでしょう。

 ちなみにテラスはテル=土から出来た言葉で、2階のテラスは間違いなのです。

 ようやくキッチンが座りました。

 ダイニング、キッチン、リビングは概ね終わったのですが、いくつかの工事が残ってしまいました。

 洗面のカウンターがうまく取付けできず、持ち帰ったとのこと。

 クライアントによる検査を、延期して貰うことになりました。勿論ですが、次回検査までには、完璧に仕上げておかないとなりません。

 その件を別にするなら(別に出来ませんが)、住まい手のセンスが上手く表れている家になったと思います。最終の検査は、来週末の予定です。

文責:守谷 昌紀

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「山の手の家」-5-物づくりの国

 こちらの家の完成予定は1月末。

 大工工事も概ね終わり、工事も終盤に入っています。

 タイル工事もほぼ終了。

 リビングにある独立壁は、割石で仕上げられています。

 これはクライアントのアイデア。

 石、タイルは高い物ですが、流石に存在感があります。

 キッチン、ダイニングの床と壁も一部タイル貼り。

 収納棚が取りつく前ですが、洗練されたイメージになると思います。

 タイルの色はかなり渋め。こういったモザイクタイルのキーワードは「美味しそう」でしょうか。

 この現場の棟梁とは初めて仕事をしました。

 細やか、かつ温和な人で、仕事も丁寧です。 

 塗装工事はいつも終盤。

 親方と若い職人の2人が仕事中でした。若者が現場仕事につかないと「物づくりの国、日本」は過去の話になってしまいます。

 打合せを終え、駅前の小さな中華料理店に入りました。昔ながらのラーメンが、予想以上に美味しかったのです。

 体を動かした後の昼食は格別。若者よ現場で働こう、という感じです。

 物づくりの楽しさと、大変さをどれだけ伝えられるかが、私達の仕事でもあります。

文責:守谷 昌紀

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「山の手の家」-4-採光、通風、景色

 来年1月の完成へ向けて、サッシが概ね取付け終わりました。

 南にある広い庭。
 
 こちらに面しては、可能な限り開いています。「引違い」のサッシなら、換気面積は1/2。「3本引き」なら、約2/3の換気面積が確保できます。

 よって3本引きを選択しました。

 換気のみが目的の窓なら、ガラスルーバー窓なら、ほぼ全面が換気面積です。

 窓は、目的が「採光」なのか「通風」なのか、もしくは「景色を切り取る」なのかで、選択は変わってくるのです。

 ダイニング奥の窓はガラスルーバー窓を選択しています。

 玄関床は、課題となっていました。

タイルから石貼りに変わりそうです。

 壁紙は、変化をつけるところ、オーソドックスな組み合わせでいくところ。部屋ごとに検討中です。

 お寺という空間が大嫌い、という話は滅多に聞きません。自然素材のみで作られた建築に、失敗はないと言えるのです。

 しかし、現代建築は限りなく自由で、選択肢は無限にあります。

 クライアントの好み、センスを引きだした上で、最上の空間に仕上げるのが私達の仕事なのです。

文責:守谷 昌紀

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「山の手の家」-3-ヴィスタ

 山の手だけあり、12月に入ると気温はかなり下がってきます。

 現場の方は、既存躯体の補強、歪みの調整等が進んでいます。

 庭を見ながら棟梁も一服。

 環境が良いので、日が当たっている時は爽快です。

 12月4日は、キッチンやスイッチ位置の打合せがありました。

 クライアントに現場で体感して貰えるよう、準備して行きます。

 キッチン背面の収納キャビネットは、なかなか高さ設定が難しい箇所です。

 お腹あたりや、目の位置というのは、3cm違えばかなり印象が変わってくるものです。

 この日も、課題を順に相談していると、あっと言う間に日が暮れました。

 「ヴィスタ」とは眺望を意味します。

 建築用語として習ったのは大学1年の時でしょうか。

 その時、支配的眺望という意味も含まれている、と聞きました。

 私が街を支配しているのではありませんが、夜景にはそんな気持ちにさせる何かがあります。

 この眺めが日常に。

 結構テンションが上がっていましたが、クライアントは意外に冷静でした。

 しかし坂が景色を一変させるのは間違いありません。

文責:守谷 昌紀

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「山の手の家」-2-解体調査

 先週の前半、概ね解体が終わったと、監督から連絡がありました。

 木曜日の午前中はクライアントと打合せをして、昼から現場に行くことに。打合せの際、奥さんから「一番高い所に『福の神』のようなのが飾られていました」と聞いていました。

 確かにありました。増築側の新しい棟のところに。

 この地域の風習なのでしょうか。

 クライアントも家族で見に来たとの事で、何とも幸せな気分になりました。

 これは残しておくことにしたのです。

 閑静な住宅街にある一戸建てにつき、解体作業も慎重です。

 私はずっと現場に居る訳ではありませんが、片付けの、職人の身のこなしを見ていれば、大方の仕事は想像できます。

 丁寧に解体されていました。

 古い棟の屋根下地がバラ板だった他は、想像以上ダメージを受けているところは無く、一安心しました。

 改修の仕事は構造体の躯体調査が全てなのです。

 1階のLDKは、その広さと、南の庭に面する環境が素晴らしいのです。
 
 午前中の打合せで、キッチンの仕様も確定しました。

 大きなアイランドキッチンに立ち、ダイニング、リビングを見渡すその景色は。

 きっと素晴らしいものになるはず。

文責:守谷 昌紀

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「山の手の家」-1-プロローグ

 昨年のクリスマスイブ。相談メールが届きました。

 早速事務所で会い、年末にバタバタと調査を始めたのです。

 それから9ヶ月。随分時間が掛かってしまったのですが、ようやくここまでたどり着きました。

 阪神間で山の手と言えば景色の良いところです。土地の区画も大きく、建物もかなりの面積があります。

 1階は和室を中心に4部屋あります。

 全ての部屋がゆったりと大き目で、以前の住まい手の豊かさが感じられます。


 
 キッチンは壁付けですが、長さはかなりのもの。

 設置された当時は、かなりの値段だったと思います。

 ただ、残念ながら場所がもう一つなのです。

 2階は主に家族の個室だたったようです。

 子供部屋だったのか、扉にRがついていたりして可愛い感じ。 

 階段も絨毯敷きで、非常に豪華な感じ。

 廊下などの床はワインレッドで、こだわりが感じられます。

 何と言っても特徴は「山の手」。

 2階から遠くに望む大阪湾は、近くで見るのとは全く違う美しさを見せるのです。

 何と言っても、見せ場は1階のLDK。33畳あります。

 さらに南面する庭が大きく、芝敷きになれば見違えるはずです。

 工事は10月初めからスタートします。

文責:守谷 昌紀

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