築80年の長屋を「碧の家 」に〈リノベーション〉‐9‐あと一歩

 2017年も間もなく12月に入ります。

 引越しを間近に迎え、「碧の家」も追い込み段階に。

 玄関横の自転車置場スペースの屋根が出来上がってきました。

 1階ダイニングスペースから奥にみえるのは通り庭。

 ここは、最後の最後にチョコレート色と白のタイル貼りへと変更になりました。

 ダイニングからエントランスを見返すと、追い込み感が伝わるでしょうか。

 階段を上がると、2階の中央は客間を兼ねた空間です。

 奥にある、南に面した部屋は主寝室。

 収納の一部をパソコンスペースとしました。

 南面する窓の下枠を大きくし、碧にしています。小さなカウンターのイメージです。

 チェアは今回購入した、アイブルーのセブンチェア。

 階段横にあるハシゴでロフトに上がります。

 このハシゴのディティールもかなりこだわりました。

 建物すべてで碧がテーマになっている通り、ロフトにも碧。

 ここから南の空を望めるのです。

 設計を始めるとき、「今回の計画で、必ず叶えたいことは何でしょうか」と尋ねます。

 その中に「月を見ながらくつろげる、勉強できる」がありました。ロフトはそれを具現化したものです。

 建築は未来の幸せの形。

 の実現まであと一歩のところまでやってきました。

文責:守谷 昌紀

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(仮称)トレジャーキッズたかどの保育園‐3‐土の中と壁の中

 11月に入り、基礎工事が急ピッチで進んでいます。

 先々週は、配筋検査でした。

 この園の躯体は鉄骨造ですが、基礎は鉄筋コンクリートでつくられます。

 鉄筋コンクリートは、その名の通りコンクリートの中に鉄筋が組まれたもの。

 それぞれの長所、短所を補い合った構造体です。

 鉄筋が構造設計書通りに組まれているかをチェックするのは、監理者である私の仕事。

 そして先週はコンクリートの打設でした。

 生コンを運んできたミキサー車から、ポンプ車を経由して型枠内にコンクリートを流し込んで行きます。

 かなりの広さですが、夕方には終わる予定とのことでした。

 そして昨日は、鉄骨の製品検査。

 制作工場にて、横たえられた柱の寸法、品質をチェックしていきます。

 鉄骨で難しいのはその接合部。

 溶接によって繋がれるのですが、その溶接部に割れや隙間がないかは、専用の機械で調査します。

 担当者が、2日掛かりで調査を行い、その確認を行いました。

 音波を発信し、その反射で溶接部内を調査するのですが、魚群探知機と同じ原理です。

 土の中と壁の中に隠れてしまう、基礎と鉄骨。

 これらが建物を支えるのですが、おもて舞台にはでてきません。

 しかし、そういったところが、建物の安全、ひいては美しさに大きく影響してくるのです。

文責:守谷 昌紀

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築80年の長屋を「碧の家 」に〈リノベーション〉‐8‐本当に好き

 今週、唯一の雨だったのが14日の火曜日。

 「碧の家 」はこの日が現場打合せでした。

 ようやく足場がとれ、碧の外観が見えるようになりました。

 曇天は曇天で映えますが、晴れの日はまた違った印象になるでしょう。

 正面にあるのは花壇。

 ここは、碧、白、グレーのタイルをランダムに貼っています。

 キッチンと外部の碧は同色です。

 壁のタイルは、水色、白、アイボリーをこちらもランダムに貼りました。

 ランダムではあるのですが、位置は1枚1枚指定しました。

 数枚違うところもありますが、概ね展開図通りです。時間があるひとは間違い探しを。

 2階の収納内は、棚を細やかにレイアウトしています。

 収納でありながら、家具のように仕えるはずですが、この景色の中にも、後で「碧」が入ってきます。

 大工工事もほぼ終了。

 最後に製作して貰うのは、ロフトへのハシゴです。

 この景色の中にも「碧」は入ってきます。

 いつも「碧」が中心にあるのです。

 ルネサンスの天才、ミケランジェロは彫刻するとき、大理石の中に居る人を掘り出してあげるイメージでノミを振るったといいます。

 格好をつけて言えば、その感じ少し分かる気がするのです。

 私の最も重要な仕事は、「本当に好き」をさぐりあてることだと思っています。

 この厳しい世間を生きて行く時、錆びや澱のようなものがまとわりついてきます。

 それらを削り落とした中に「本当に好き」はあると思っているのです。

文責:守谷 昌紀

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(仮称)トレジャーキッズたかどの保育園‐2‐子は宝

 「トレジャーキッズたかどの保育園」の工事が本格的に始まっています。

 まずは地盤改良工事。

 本格的に建物の設計をする前には、地盤調査をします。

 そのデータに基づいて地盤に改良が必要がどうか、どんな改良をするかを設計するのです。

 この土地は、表面から柔らかい粘土の層が続きましたが、砂礫の良好地盤が見つかりました。

 その層まで穴を掘り、セメントミルクを注入しながら撹拌していきます。

 地面の中に太い電柱を現場製造していくイメージです。

 ちなみに、このオペレーターの人は、新・国立競技場の地盤改良杭を施工してきたとのこと。

 この道のエキスパートなのです。

 大阪は、上町台地を除いて5000年前は海だったところが大半です。

 今回の良好地盤は、砂に礫の混じった層でした。

 砂に丸い礫が混じっているということは、川から運ばれてきたものだと想像できます。

 弱い地盤面を無視すれば、数千年前の地面の上に、コンクリートの柱をたて、その上に保育園が乗っているという図になります。

 過去が現在を支えているのです。

 園の名前は「トレジャーキッズたかどの保育園」となる予定。園の名前の通り、子供は間違いなく人類の宝なのです。

 園の運営会社の方がこんなことを言っていました。

 「大阪で庭を持つのって大変じゃないですか。

 保育園では思いっきり外で遊んでもらいたいですよね。

 近くにウチの園があれば是非通わせたいですもの」

 仕事の基本は人の気持ちになること。

 自分の会社の仕事を、ここまで好きになれることは素晴らしいことです。

 なんとか私たちの思う、理想の園を創り上げたいと思います。

文責:守谷 昌紀

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緑を囲む京都のオフィス「山本合同事務所」‐5‐主役登場

 10月の最終週からようやく天候も回復。

 「山本合同事務所」もようやく外部工事の目途がつき、内装工事が本格化しています。

 壁、天井の塗装がはじまりましたが、1階駐車場はまだ下塗りの段階。

 2階ワークスペースはほぼ塗装も終了です。

 このオフィスは壁紙を使っておらず、エマルジョンペイントという、漆喰のような肌合いの塗装を仕上げとしています。

 空間が優しくなるのです。

 ワークスペースの吹抜けは、タワー状の足場があるうちに仕上げなければなりません。

 11月に入ってから再び現場へ行くと、家具が搬入されてきました。

 オーバルカウンターがワークスペース中央に据えられ、空間が引き締まります。

 夕方、クライアントも交えて、LANのネットワーク、電話等の打合せ。

 それぞれの席に、どのような配線を送るかを、1席ずつ確認して行きます。

 3階は吹抜けと繋がる、リビングのような空間。

 休憩室、打合せ室など使い方は様々です。

 小振りな無印のキッチンが入り、イメージが明確になってきたと思います。

 舞台なら、主役、ヒロイン、仇役、脇役があるように、建築にも配役があります。

 このオーバルカウンターはこの建物においてはまさに主役。

 ワーキングデスクという機能を満たし、中央に緑を内包する形状は、この空間のためだけにデザインしたもの。

 現時点での手応えは十分です。

 このあと、続いてヒロインも登場します。

 山本合同事務所劇場はクライマックスに向かうのです。

文責:守谷 昌紀

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