「土佐堀川を望むオフィス-SEIUNDO-」‐5‐覚悟と空間

 土佐堀川を望む、SEIUNDOのNew office。

 3月28日(月)のオープンが、3日後に迫ってきました。

01 - コピー

 New officeは9階建ての7階部分にあります。

 大川の桜を見下ろしながら、オープンを迎えるのです。

03 - コピー

 夜間仕事も多く、現場には苦労を掛けましたが、ようやく完成の目途が立ちました。

 ロゴが入ると、エントランスゲートもぐっと引き締まります。

05 - コピー - コピー

 そして、オーバル・コミュニケーション・カウンターがやってきました。

 左に見える、黒のイスは社長席。

07 - コピー - コピー

 船に例えるならブリッジです。

 全体を見渡せる所に配置しています。

11 - コピー

 背後にある曲面壁は回転し、裏面がホワイトボードになります。

09 - コピー

 全ての収納扉もアール状。

 現場が、散々苦労したのがこの楕円なのです。

06 - コピー

 しかし、そんな細部に神は宿り、応援してくれるのだと信じています。

13 - コピー

 打合せスペースは、マリオ・ベリーニの名作、キャブのアームチェアを選択しました。

 来客を迎える準備も整いました。

 オーバルとは変化し続ける曲線です。立ち位置によって同じ景色は1つとしてありません。

 機会があれば、SEIUNDOの覚悟とそれを具現化した空間を、是非体験下さい。

文責:守谷 昌紀

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

「White Eaves」‐4‐働く夫妻の上棟式

 3月12日、上棟式を迎えました。

 大安、かつ快晴の下、絶好の式典日和でした。

19 - コピー

 建方から1ヵ月経ちましたが、共働きの夫妻が揃うタイミングはなかなかありません。

 よって、快晴の有り難さもひとしおです。

21 - コピー

 白い防水シートがまだ貼られていない、くちばし状の庇が見てとれるでしょうか。

 その間には、ガラスが入ります。

23 - コピー

 横から見ると、分かりよいでしょうか。

 寝室と浴室をつなぐサービスバルコニーを、ガラスが覆うのです。

 くちばし状の庇が、斜めの壁に貫入するところが、この建物の印象を決定付けます。

25 - コピー

 車の軌道を確保する為、斜行する壁。

 寝室から見ると良く分かります。

27 - コピー

 寝室の更に南にあるのがLDK。

 門型の開口の前に、祭壇が準備されました。

33 - コピー

 2階に住むご家族の全員が参加予定でしたが、上のお子さんがインフルエンザに罹ってしまい……

 この日から、ようやく小康状態になったとの事で、奥さんも何とか参加してくれました。

29 - コピー

 3人で、四隅を清めて回って貰いました。

37 - コピー

 初めは少し照れる下のお子さん。

35 - コピー

 しかし、監督も同じような年頃の子を持つ親です。

 波長が合いだせばエンジン全開でした。

 当たり前の話ですが、家族の頑張りによって、こだわりの家は実現して行きます。

 その頑張りに応えるのが、私達の仕事。

 マラソンが終わってから、いくら頑張りたいと言っても、頑張る場所はありません。

 今、ここで走るしかないのです。

文責:守谷 昌紀

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

「土佐堀川を望むオフィス-SEIUNDO-」‐4‐楕円という思想

 この空間の核になるのは、オーバル・コミュニケーション・カウンター

 オーバル(oval)は楕円を表します。

11 - コピー

 そのカウンターに切れ込むように独立するエントランスゲート。

 カウンターは最後に搬入される為、現在はゲートのみの状態です。

12

 建築工事においては、現場制作と、工場制作とに分かれます。

 壁は勿論現場制作ですが、カウンターに呼応する曲線となっています。

 ようやくフォルムが浮かび上がって来ました。

13 - コピー

 消防法により、燃えない軽量鉄骨(ライトゲージ)で組まれます。

 監督と話すのが、その工事の責任者。

 「楕円の壁がなんとかできてほっとしてます」と言っていました。

15 - コピー

 楕円は、円と違って、均一な変化ではありません。

(C:\Users\marco\Desktop\export\2016_0224 SEIUNDO202oR225

 数学の時間に戻ります。

 楕円は、2つの焦点からの距離の和が、一定となる曲線です。

(C:\Users\marco\Desktop\export\2016_0224 SEIUNDO202oR225

 このオフィスの壁は、3つの楕円で構成されています。

 現場では、2つの焦点にビスを打ち込み、伸びない釣り糸を結びつけ、監督が直接床に描くのです。

17 - コピー

 そのラインに合わせ、スリットが入ったライトゲージを床に敷き。

16 - コピー

 そこに柱材を立て、両面に石膏ボードを貼り付けて壁は完成。

 「ほっとした」の言葉通り、難易度の高い工事です。

(C:\Users\marco\Documents\2016_0224 SEIUNDO202o221310211

 カウンターは、更に4つの楕円が組み合わさって、出来ています。

(31SEIUNDO202o216G217332215327.jww)

 それらをいくつかのパーツに分解。

 7階にあるこのオフィスに搬入できるよう、通路幅を検討し、サイズを決定しました。

 何故そんな面倒な楕円を使うのか。

 人の世は、全てが関係性です。自分ひとりで完結できることはありません。

 特に仕事においては、対象者があり、無限の選択肢が常にあります。

 中心と半径を決めれば、1つの形に限定される円より、焦点を決めたとしても、距離を和の選択が無限にある、楕円の方が、適しているのは間違いありません。

 しかし、面倒には常にコストが掛かります。それに納得して貰った場合のみ、実現へと至るのです。

 感謝の気持ちを持ちつつ、楕円という思想が、この新しいオフィスに活気と変化を与えてくれると信じているのです。

文責:守谷 昌紀

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

「ダイヤモンドカットの家」‐5‐真っ白

 外壁の塗装が終わり、ようやくシートが取れました。

11 - コピーのコピー

 「どうせ白で行くなら、混じりっけ無しの白で」

 クラアントの言葉通り、真っ白な外観です。

13 - コピー

 白という色は、素直に陰影を反映し、他の色を映しこみます。

 同じ白でも、それぞれの面によって全く違う色になるのが良く分かります。その陰影が、建物のフォルムを明確にしてくれるのです。

 言ってみれば究極の色。

19 - コピー

 もっとも、お子さんが喜んでくれるのは、もっと細部のこと。

21 - コピー

 先日の現場訪問で、期待通りにのぞいてくれた小窓群も、ほぼ仕上がりました。

 ご主人から「もう少し、遊びがあってもいいのでは」と、最後に実現したものです。

23 - コピー

 このファミリースペースは、3つの子供部屋の中央にあります。

 トイレと手洗いも備え、兄弟が自然に顔を合わせるような、空間になればと思っています。

トップライトから落ちる光が、価値を高めてくれるはずです。

25 - コピー

 北西の道路対し、出来る限り閉じているのは、トラックの通行量が多いからです。

 万全を期す為に、1階部分は少し下がり、窓も高い位置に切りました。

 住まい手にとって、外観へのこだわりは様々です。しかし、建築は街をの一部を担っていますし、子供にとっては原風景となりえるもの。

 最後の最後まで、しつこく検討を重ねました。

 この計画も、3月下旬の引っ越しを控え、残すところ2週間程。

 最後まで、しつこく行きたいと思います。

文責:守谷 昌紀

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

「回遊できる家〈リノベーション〉」‐3‐活かし、歩み寄る

 内部解体が終わり、大工工事が始まりました。

23 - コピー

 従来の構造体を補強したり、柱位置を変えたりしながら、新たな空間を創造して行きます。

 この段階になり、抜けないと分かる柱が出てくることもあります。

 今回も、1ヶ所出来てきました。

25 - コピー

 リノベーションは、従来からの構造体と、新たな構造体のコラボレーションです。

 よって、一方側の論理では解決できないことが起こります。

 監督、棟梁、そしてクライアントに相談し、最も良いだろうという答えを探るのが私の仕事。

 互いを活かし、歩み寄る。それがリノベーションです。

27 - コピー

 また、現物確認にはこだわっています。

 現物と言っても、この段階ではスイッチも、コンセントもまだなく、原寸大の紙を貼り付けます。

29 - コピー

 鏡や、洗面カウンターの高さも、現場で、実寸を確認して貰うことにこだわっています。

21コピー

 模型も、同じことかもしれません。

27 - コピー

 設計図面がCAD化され、手描き図面はほとんど無くなりました。

 パース、3D、ウォークスルー(3Dの世界を歩いているような動画)と、データなら万能のような時代。

21 - コピー

 なおさら、縮尺こそ違えど、現物である模型が大切だと考えます。

29 - コピー

 視点を再現すれば、かなり正確に建物を把握することが出来るのです。

 データは簡単に変わりえます。現物は簡単に変わりえません。

 変わりえないものを、変わりえるもので設計する。この矛盾を理解していないと、物創りにおいての、深みにはまってしまうのです。

文責:守谷 昌紀

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

「土佐堀川を望むオフィス-SEIUNDO-」‐3‐水上から

 北浜が、なぜ聖地なのか。

 SEIUNDOのストロングポイトと合わせて、前回書いてみました。

10

 北浜の象徴でもある、大阪証券取引所と向かい合うのが難波橋。ライオン橋で知られます。

 右の像は口を閉じた吽形像。反対に、左側が口を開いた阿形像。

 車や飛行機が流通の主力となる20世紀まで、街にとって、川の役割は別次元の重要度を持っていました。

 八百八橋は、商人の街の誇りだったでしょう。

11 - コピー

 北浜一丁目平和ビルは、その難波橋から東へ180m。

 工事請負契約前に、見切り発車した現場日記ですが、ようやく契約が成立。本格的に工事がスタートしました。

12

 まずは、オーバル・コミュニケーション・カウンターの墨出し。

 楕円のカウンター、楕円の壁位置を、監督が直接床に描くのです。

 この複雑で、細やかな仕事が、ロボットに出来る時代がもしやってきたとしたら。果たして、人類はまだ生かされているのだろうかと思います。

 全ての場所で、一つとして同じものがない建築は、人における手仕事の砦だと私は思っているのです。

15

 土佐堀川の北側を走る阪神高速の環状線。

 中之島の中央公会堂を過ぎれば、このビルが見えてきます。

17

 時々、眼下を走るアクアライナー。ここからは目の前で、見上げる形になります。

 4月2日、社員のご家族をアクアライナー招待する、本社移転イベントが開催されることが社長から発表されました。

 桜が盛りの中、水上から本社を見上げるという趣向とのこと。

 3月27日の引っ越しもそうですが、この日には完全に仕上がっていなければなりません。

 SEIUNDOの社長は田畑さん。seven dreamersの社長は阪根。S率がやたらに高いのは、勿論偶然のはず。

文責:守谷 昌紀

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記