「土佐堀川を望むオフィス-SEIUNDO-」‐2‐オーバル・コミュニケーション・カウンター

 株式会社SEIUNDOのwebサイトには、本社移転がすでに告知済。

 プレッシャーは増す一方ですが、「聖地・北浜へ」とあります。

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 NHKの朝ドラで、ディーン・フジオカが演じた五代友厚像があるのは、大阪証券取引所前。まさに北浜の中心です。

 SEIUNDOは株主総会関係の印刷等の専門家で、顧客の多くは上場企業です。

 なかでも特許製品「ワンタッチ入場票」は大規模な株主総会でのシェアが6割以上もあり、彼らに圧倒的な支持を得ているのです。

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 北浜の中でも、土佐堀川を見下ろす環境は更に限られたもの。

 楕円型のカウンターに囲まれた、働らく空間を提案しました。

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 このカウンターを、オーバル・コミュニケーション・カウンター(oval communication counter)と名付けました。

 仕切りのようにも見えますが、このカウンターは、訪れた人と社員の、また社員同士がコミュニケーションをとる、中継点になってくれると考えています。

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 右上からアプローチ。

 門型のゲートをくぐると、一気に中之島を望む景色が広がります。

 そして、奥の空間に応接スペースへ。

 土佐堀川を望む景観を損なわず、隔てず、導き、分けながらも繋ぐ。そんな機能を形にしました。

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 1階には、土佐堀川を望むテラスもあり、環境的には申し分ありません。

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 この本社移転計画において、私達が出来ることは何かを問いました。

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 それもあくまで完成してこそ。

 3月末、サクラサクとなるように。

文責:守谷 昌紀

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「White Eaves」‐3‐現場もやっぱり人となり

 建方が終わりました。

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 この敷地は、比較的正方形に近い矩形です。 

 経済効率から、間口が狭い方が一般的ですが、秀吉が間口に対して課税額を決めたのも、一端と言われています。

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 前面道路の通行量から、車の軌道をデザインの動機としたことは、初回に書きました。

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 シート裏をのぞくと、分かりよいかもしれません。

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 道路は北側にあり、1階の主要な部屋は南の庭に開いています。

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 2階は、中庭のようなバルコニーを、各部屋の中央に配置しました。

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 加えて、北側にもバルコニー。北と南から外部が切れこんでいます。

 正方形に近い平面に、光と風を内部に届ける為に考えたプランなのです。 

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 建方の日は5人程の大工チームでしたが、リーダーはこの2人。

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 副棟梁は36歳。

 「若いね」と言うと「そんなに若い方でも……」と。

 最近の高年齢化が進む現場では、若い方と言ってしまいます。

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 手前が監督で奥が棟梁。棟梁は40歳です。

 監督は「載せるなら横顔にして下さい」と言うのでそうしました。

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 仕事なので、いつも笑ってばかりは居られません。

 ただ、こんな笑顔のある現場が、上手くいかないと想像する方がナンセンスだと思っています。

 笑顔は全人類共通の幸せ。今日も、そんな1日でありますよう。

文責:守谷 昌紀

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「ダイヤモンドカットの家」‐4‐シートが取れる日が楽しみだ

 こちらの家は角地に建ちます。

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 工場、住宅が入り混じる敷地なので、外部は閉じるようなプランとしました。

 道路に面して、窓は最小としています。

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 2階の洗濯干しに光が届くよう、西壁の角度をデザインしましたが、基本は中庭に開くコートハウス。

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 敷地に余裕があれば、コートハウスは常に強い選択肢になります。

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 LDK、和室がこの中庭に面しています。プライバシーが保たれた外部を持つことが、コートハウスの大きな価値です。

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 こちらのご家族は、子供さんが3人。

 この日は、上に2人が遊びに来てくれました。

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 子供にとって、現場は危ないところ。だから見たいのです。

 階段が無い中、お父さん、監督は大変ですが。

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 トラックの通行量が意外に多く、北と西の道路側を閉じたのですが、のっぺりした外観にはしたくないと考えました。

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 監督も相当に苦労したという外壁のディティール。

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 多面体カットは、2008年の「切妻と中庭の家」から取り組んできました。

 どこにでも参考書がある訳ではないので、現場と試行錯誤しながら一つずつ実現してきました。

 シートが取れる日がとても楽しみな計画です。

文責:守谷 昌紀

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「土佐堀川を望むオフィス-SEIUNDO-」‐1‐プロローグ

 2004年11月、株式会社SEIUNDO(当時は青雲堂)の1階に、RED-Labがオープン。

 プロクリエーターへ印刷物を提供する小さな店舗で、赤をメインカラーとすることを提案した。

 コーポレートカラーが青だったこともあり、思い切って対比させたかったのだ。

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 天神橋筋商店街にある本社ビルから、北浜のオフィスビルへの移転計画を聞いたのが昨年の10月。

 内装計画の提案をしてくれないかと言われ、11月から本格的にプロジェクトはスタートした。

 北浜1丁目の新築オフィスビル。

 土佐堀通り北側で、中之島バラ園の川向かいと言えば分かりよいだろうか。

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 7階にある1室は、約200㎡。

 何より素晴らしいのは、北側の景色だ。

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 北西には大阪弁護士会館 梅田の高層ビル群を望む。

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 北東にはOBP。クリスタルタワーが見える。

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 足元に広がるのは大川。

 初めて訪れた時には、川遊びを楽しむ様がみられた。

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 昨春の「セブンドリーマーズ梅田ラボ」もそうだったが、年度末の商業空間には、時間の厳しいプロジェクトが多い。

 現時点で、まだ工事請負契約まで成立していない。しかし、webサイトで3月28日の移転は発表されている。

 よって何とかするしかない。

 どのようなオフィスになるのか。 SEIUNDOとはどんな会社か。なぜ北浜に移転するのか。

 追々書いていこうと思う。

文責:守谷 昌紀

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「高台の家 RC打放しの家」‐9‐家は人となり

 2013年の8月に計画がスタートし、ようやく引渡しが終わりました。

 なかなか金額が合わない時「工事はいつ始めても良いから金額を合わせて欲しい」と施工会社に伝えました。

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 そんな荒業まで使い、何とかここまでやってきました。

 アプローチは西側から。

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 そして東の道路下から見上げた外観。

 南からの光を受けるため、2階では南東の眺望を得る為、階段は擁壁ぎりぎりに浮いています。

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 エントランスには、RCのベンチがあります。

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 1階のダイニング・キッチンにリビングの機能はありません。

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 それらは、全て2階の「P室」が受け持ちます。

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 この部屋、ピアノを置く予定で、当初は「音楽室」と呼んでいました。

 しかし、左奥に見える扉の中に、小さなピアノ室を設けることになりました。

 ご主人から「今、パンダのぬいぐるみが目に入ったので、この部屋を仮に『P室』としておきます」というメールがありました。

 以来、この部屋はP室になったのです。

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 明確な用途がある訳ではなく、空を見たり、星を見たり、時には雨だれを見たり。

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 その為に深い庇を設けました。

 庇の上には、簾が掛けられるように、フックもつけてあります。

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 「P室」の横に並ぶ部屋は「視聴覚室」。

 映画を見たり、音楽を聴いたりする空間です。

 「テレビは存在感が強いので、P室に置きたくない」と、明確にイメージを伝えて貰っていました。

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 坂のある街に家を建てることを決め、コルビジェのファンズワース邸、メキシコのバラガン自邸まで足を運んだクライアント。

 半面、ユーモアを忘れない人でもありました。

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 取り扱い説明の日、お子さんのテンションは上がりっぱなしでした。それを見る夫妻の眼差しが何とも優しい。

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 高台から見下ろすこの景色は、私達からのプレゼントです。

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 「ダイニングには、花を活けておく小さな棚があればいいなと思うんです」

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 家は人となり。そんな会話の積み重ねが、家を形作って行きます。

 生活が本格的に始まったら、また撮影に来たいと思うのです。

文責:守谷 昌紀

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