月曜日に「中庭のある無垢な珪藻土の家」をUPしました。

私も建築専用のレンズで撮りますが、やはりプロの仕事はプロの仕事です。
右手の中庭をあわせた構図になっていました。

何カットもこの方向から撮りましたが、やはり平井さんに撮って貰ったものが一番美しい。

建物の形状は、敷地から検討して行きました。
ワールドカップ寸前で、日本代表に返り咲いたサッカーの本田圭佑選手。
「ゴールはケチャップみたいなもの。出るときはドバドバ出る」言っていましたが、設計も同じかもしれません。
いくら悩んでも、出てこない時は出てきません。
この敷地を見せて貰ったあと、すぐにプランのイメージは浮かんできました。

そこからクライアントと修正を重ね、ここに至ったのですが、くびれの部分が真っすぐだと建ぺい率がオーバーします。
このくびれの部分に、納戸やトイレの開口部を切り、その形状を強調しています。
ピンチはいつもチャンスです。

床は全て無垢の檜で、壁は全て珪藻土です。

リビングは比較的コンパクトにまとめました。
軒のある中庭に面しているので、暑すぎず、寒すぎない空間となっているはずです。

一方、ダイニング、キッチン、家事スペースはゆったりと繋がります。

特に、キッチンと家事スペースは、何を置くか、どのような視線の抜け方が適切で心地よいか。
奥さんと入念に打合せしました。

キッチン南にある、2畳程の和室は現代サッカー用語で言えば、ポリバレントな空間。
(ポリバレント=複数のポジションをこなせる)

お子さんのお昼寝、洗濯物を畳む、雨の日の物干しと、最低でも3役はこなしてくれます。

畳んだ衣類を横の収納に。

裏側は洗面脱衣室に開いています。
これらは全て奥さんの勉強のたまものです。

フルタイムで働く奥さんの仕事部屋にもなるのが家事スペース。

モザイクタイルに拘った、洗面脱衣と隣り合います。

エントランスからも檜の階段が続きます。

2階の寝室とつながるクローゼットは、舳先形状の部分を利用しています。

写真は引越し前ですが、舳先でご主人と奥さんが半分半分となりました。

こちらはご主人の書斎。

そして子供部屋。
1階にもあった茶色の壁は、マグネットの付く黒板(茶番?)なのです。

中庭にあるのはLDKのエアコンの室外機です。
玄関上の庇の下をそのエアコンの配管が走っているのですが、ファサードにこれらの配管を通したことは、過去に一度もありませんでした。
どうするのが一番美しいだろうかと考えに考え、このような手法をとりました。
結果として、私たちの引き出しを増やすことになったと思います。

ゴミ箱のサイズも詳細を聞き、蓋が開いたその上に、ストックのゴミ袋を置くスペースを設けています。
奥さんからはスケッチまで頂きました。
有るべきものが、有るべきところにあって欲しい。
仕事、家事、子育てと、忙しい日々の中で、家族との時間を少しでも捻出するために、あらゆることを効率よくしたい。
そんな純粋な本気に、いつも応えたいと思うのです。

夜景は、その建物のシンボリックに見せてくれます。

夕刻、そのフォルムが浮かび上がり、開口から光が漏れはじめたとき。
いくつになってもときめくものがあります。

これにて、「中庭のある無垢な珪藻土の家」の物語はひとまず完結。
楽しんで頂けたでしょうか。
文責:守谷 昌紀
■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「回遊できる家」放映
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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
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