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最後の夢「ドッグランのあるタイル床の家」‐2‐【ゲンバ日記チャンネル】EPISODE1-躯体完成-

「ドッグランのあるタイル床の家」の躯体が完成しました。

【ゲンバ日記チャンネル】のEpisode1を公開したので、よければご覧ください。

クライアントはとても面白い方で、工務店との請負契約締結の席で「エイ、エイ、オーしましょう!」と。

4人で勝鬨を上げたのです。

さらにもとパティシエでおられ、この日のために生チョコを作ってきてくれたのです。

ご主人の言う、ちょっと変わった家族は、タイ人の奥さんと、チワワ2匹。

全員で定例会議に参加してくれます。

酷暑の夏に工事開始で、年末の竣工を目指します。

■■■9月7日(土)、8日(日)10時から14時 「尼崎園田えぐち内科・内視鏡クリニック」 内覧会開催 ■■■

■■9月17日(火)「尼崎園田えぐち内科・内視鏡クリニック」開業■■

■2月14日『Best of Houzz 2024サービス賞』受賞

■1月29日発売『日本一わかりやすい 一戸建ての選び方がわかる本2024-25』「回遊できる家」掲載

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最後の夢「ドッグランのあるタイル床の家」‐1‐プロローグ

「ちょっと変わっている家族ですが……」と、問い合わせがあったのは昨年の6月。

候補の敷地がすでにあり、2ヶ月後に購入された。

大阪府東部にある静かな住宅街の角地だった。

南東角は光の条件としては申し分がない。

ちょっと変わっている理由は奥様がタイ人おられることだろうか。

ご夫妻は結婚後、バンコクで働き、暮らしておられた。

しかし訳あって日本に戻ってこられ、家を建てることにしたのだ。

「最後の夢を実現したい」という言葉が、ズシリと響いた。

ご家族は2匹のチワワと暮らしている。

ドッグランを備えているのはそのためだ。

LDKには吹き抜けもあり、内部は非常に開放的。

一方、窓は中庭に面して大きく取ったが、それ以外は最小限にしている。

周辺からの視線を気にせず暮らしたいという要望からだ。

南と東で接道する敷地は理想的だと書いたが、道路斜線はかなり厳しい。

南東角が複雑な形状になったのはこのためで、法規制をクリアするのに正直骨が折れた。


しかし、そういった物語りが建物を豊かにすることも間違いない。

床は総タイル貼りの自分好みの家は、かなり格好のよい空間になると思う。

2001年、31歳の1年は、アトリエmを丸1年閉めていた。

精神的に疲れ果て、海外へ旅にでたのだ。中でも、一番長く居たのがバンコクだった。

宿を取らずに初めて旅へでた。

初日、バックパッカーの聖地、カオサンストリートで安宿を探す。

兎に角不安だったが、タイ人女性が「サワディーカ」と笑顔で応対してくれたことを思い出す。

仏教国であるタイは、微笑みの国ともよばれるだけあって、皆が穏やかで優しかった。

何となく、そんな縁も感じながら「ちょっと変わった家族」のために、頑張ろうと思う。

タイへの感謝の気持ちも込めて。

コップンカップ!

■■■2月14日『Best of Houzz 2024サービス賞』受賞

■■■1月29日発売『日本一わかりやすい 一戸建ての選び方がわかる本2024-25』「回遊できる家」掲載

■■8月1日プールのある「ささき整形外科 デイケアセンター」オープン

10月27日『houzz』の特集記事
「滋賀の家」掲載

10月11日『homify』の特集記事
「白馬の山小屋<リノベーション>」掲載

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3台駐車可「3つの庭を持つコートハウス」‐13‐【ゲンバ日記チャンネル】EPISODE3


■■5月13日『住まいの設計6月号』「おいでよ House」

■  『建築家・守谷昌紀TV』 開設

■ 『ESSE-online』にコラム連載

4月11日「リビング学習」
2月27日「照明計画」
2月14日「屋根裏部屋」
2月1日「アウトドアリビング」
1月4日「土間収納」
12月6日「キッチン・パントリー」

■■1月6日『Best of Houzz 2022』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

■5月13日『homify』の特集記事に「アンティーク雑貨のある家」掲載
■1月8日『homify』の特集記事に「光庭の家」掲載
■1月7日『homify』の特集記事に「白馬の山小屋」掲載

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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

3台駐車可「3つの庭を持つコートハウス」‐12‐揺らめく、薪ストーブの炎

先週末ですが、「3つの庭を持つコートハウス」の6ヵ月点検に行ってきました。

【建築家・守谷昌紀TV】は、この現場からスタートしました。



しかながら、この計画もコロナ下の社会に翻弄されます。ご家族の予定もあり、撮影は2回だけ。

点検も今日まで延期になっていたのです。


木造4号物でこのサイズの駐車場を実現したのは初めてです。

私も駐車させてもらいましたが、ゆったり3台駐車可。タイトルに偽りなしです。

その前にも3台、向かって右にも2台は駐車できるので、計8台は駐車できます。

郊外型の住宅にとって駐車スペースは常に大きな課題です。

その後ろにある中庭です。

普段からご家族で楽しんで貰っているとのこと。建築は使って貰えなければ意味がないので、嬉しい限りです。

ご主人の特等席は、薪ストーブ前のこの席です。

「一度、薪ストーブを使うとエアコンはもう使えないくらい快適です」と。

この日も寒い一日でしたが、室内は非常に快適でした。

メーカーの担当者が「この機種は、とにかく炎が美しいんです」と。

https://youtube.com/watch?v=7K1Ds8YL2oM%3Frel%3D0

その意味がよく分かりました。

想像を遙かに超えるほど、炎の揺らめきが美しく、いつまで見ていても飽きないのです。

ちなみに薪はこういったタイプが長持ちするそうです。

色々な建築を設計させて貰いましたが、薪ストーブはなかなか実現に至りませんでした。

しかし自分が設計した空間の中で感じ、その価値を十分納得できました。

3月末に、竣工写真の撮影をお願いしてきたのですが、その時はもう火は入っていないでしょうか……

もっとしっかり薪ストーブを撮ってくればよかったと、やや後悔するのです。

それでも撮影は楽しみしかありません。真っ白な建物なので、快晴の青空になることを祈るだけです。

日々の行いだけには気を付けながら。


文責:守谷 昌紀

■■■ 『ESSEonline』にコラム連載開始■■■
12月6日「キッチン・パントリー」
1月4日「土間収納」
2月1日「アウトドアリビング」
2月14日「屋根裏部屋」

■■ 8月17日『建築家・守谷昌紀TV』を開設しました ■■

■1月6日『Best of Houzz 2022』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞■

■1月8日『homify』の特集記事に「光庭の家」掲載
■1月7日『homify』の特集記事に「白馬の山小屋」掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載

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3台駐車可「3つの庭を持つコートハウス」‐11‐【ゲンバ日記チャンネル】『3つの庭を持つコートハウス』Episode2

■■■ 軒が深いから「おいでよhouse」 ■■■
9月12日(日) 11:00~15:00 オープンハウス開催

■■■「コンクリート打放し H型プランの平屋」 ■■■
9月20日(祝・月) 11:00~15:00 オープンハウス開催

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【News】

■■■ 【ゲンバ日記チャンネル】はじめました ■■■

■■1月27日 『Best of Houzz 2021』を「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞■■ 

■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀(著)

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アトリエmの現場日記

3台駐車可「3つの庭を持つコートハウス」‐10‐【ゲンバ日記チャンネル】『3つの庭を持つコートハウス』Episode1

■■■ 【ゲンバ日記チャンネル】はじめました ■■■

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【News】

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』を「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞■■■  

■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀(著)

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3台駐車可「3つの庭を持つコートハウス」‐9‐ワクワク>ドキドキ

7月23日に開幕した東京オリンピックも、今週末が閉会式。

暑い、暑いと言っている間に、「3つの庭を持つコートハウス」の現場日記も3週間近くもUPできていませんでした。

しょっちゅうと言ってよいくらい現場に行っていたのですが、その理由は次回くらいに書いてみたいと思います。

すっかり足場が取れ、緑の中に白いキューブがとても映えています。

 

「3台駐車可」に偽りなし。当たり前ですが。

その駐車場から直接アプローチできる中庭。

ご主人からは、要望をまとめたシートを早い段階で貰っていました。

その中に「家族で気軽に屋外で食事がしたい」があったのですが、「近所の友人とBBQが楽しみたい」ともありました。

「ご近所のお友達が多いのですね」と質問したことを覚えていますが、こちらの現場、本当に近所の方がよく立ち寄られるのです。

内部も随分片付いてきました。

エントランスを見返すと、玄関左脇に小さな部屋があります。

書斎にも、音楽室にもなり得るこの部屋は、こげ茶のアクセントクロスに違い棚をしつらえました。

階段を上がると、2階のホールも1階同様にゆったりしています。

最奥に見えるのが、バルコニーへの扉で、右がトイレ。

2階は、各個室が集まっていますが、ここもプライバシーを確保できるよう配慮したのです。

ちなみに、斜めの屋根で切り取られているのがトイレのエリアです。

2階からの眺めも、緑が目に優しいのです。

中庭に面するLDKは22畳ほどあります。

最も奥にあるのはキッチンですが、更にその奥、パントリーを備えています。

この小さな三角テーブルは、一旦減額しましたが、現場からのささやかなプレゼントです。

単純な造形ですが、外観もとても美しいのです。

私が言うのも何ですが。

家に帰って来た時、誇らしい気持ちになって貰えたら、創り手として最高に嬉しいのですが。

建築家・前川國男は、弟子に「自然がなぜ美しいか分かるかね」と尋ねました。

答えられずにいると「それは、自らに責任をもっているからだよ」と説きました。

全ての建築は、クライアントが覚悟を持って建てられたものです。

創り手である私が、私達が、責任を持っていたなら、自然と同じほどに美しくあれるものだと信じます。

その審判まで2週間程。

ドキドキもしますが、ワクワクがそれを上回るのです。

文責:守谷 昌紀

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞 

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【News】
■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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3台駐車可「3つの庭を持つコートハウス」‐8‐これぞコートハウス

先週土曜日は、梅雨明けにふさわしい青空でした。

「3つの庭を持つコートハウス」の定例打合せでした。

3つの庭の1つ目は「前庭」です。

銀色の1BOXあたりに、アオダモを植える予定です。

階段も出来上がってきました。

まだ養生で見えませんが、ウォルナットの集成材がかなりクールな感じを演出してくれます。

廊下をかなり広めにとり、中庭との一体感が気持ち良いはずです。

外壁工事の為この日は養生中でしたが。

2つ目の「中庭」に出てみます。

まだ足場が林立していますが、私から見てもなかなか魅力的な空間です。

ご主人の要望の中に、「家族で屋外で食事したい。近所の友人とBBQをしたい」がありました。

郊外型住宅の場合、敷地が広いのは良いことですが、反面、気兼ねなく使える屋外は少なくなりがちです。

それらを、完全に解決してくれるのがコートハウスなのです。

LDKの壁工事もかなり進んできました。

薪ストーブがくるエリアのタイルは、ウォルナットのフローリングに合わせて、こげ茶をセレクトしています。

3つ目の庭は「裏庭」。

これがある住宅はかなり珍しい。

残したい木と、そうでない木の打合せをし、ようやくこのエリアの最終形も見えてきました。

この3つ目の庭が、隠し味になって効いてくるはずです。

塗装屋さんが、吹付けの準備をしています。

その場でもう一度サンプルを作成してもらい、最終確認。

あとは塗るだけです。

と思っていたらやってしまいました。

塗りたて注意!です。

しかし現場こそが私の舞台。動きが小さくなるのは完全NGです。

仕事用パンツの1本や2本どうっていうことはありません。妻にチクリと言われるのは別にして(笑)

コートハウスの長所は先に書きました。

コート=庭。3つもあるので、コートハウスの中のコートハウスとはこのことです。

It’s a court house. 

これぞコートハウスというものに仕上げるべく、最終局面に入って行きます。

文責:守谷 昌紀

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞 

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3台駐車可「3つの庭を持つコートハウス」‐7‐男の駐車場

前回打合せは、雨は降らずとも曇り空でした。

しかし、長かった梅雨もそろそろ明けそうな雰囲気です。

この敷地の北側は一段高く、4階建ての建物が建っています。

この建物にサロンがあるそうです。

何人かのお客さんから「完成したら見せて下さいね」と言われたそうです。

高い位置にあるので中庭があるのが分かるのかなと思っていました。

「見たい」と言って貰えるのは、創り手としては嬉しいことです。

また、男性陣からは「駐車場が広くていいねえ」という声が多いとのこと。

私も木造でこのサイズの駐車場を設計したのは初めてです。

間口8.4m、奥行き5.1m。

ゆったり3台が駐車できます。

この駐車場は、玄関先から濡れずにアプローチできるのですが、中庭とも行き来できます。

お客さんが車を止めて、ここから中庭へ。

私も野外好きですが、ほぼ理想の形状かなと思っているのです。

外部のサッシも全て取り付きました。

北側開口は、明るすぎないので積極的に採用するのですが、開閉できると更によしです。

高低差のある窓が空気の流れを作ってくれるのです。

そろそろ、フローリング工事が始まるよう。

材は先日カタログ製作委員会からヒアリングを受けたサンワカンパニー

気を使った訳ではありませんが、適正な金額で、適正な品質なら、選ばれない理由はありません。

現在の大駐車場は大工チームの食堂です。

一番手前は、前回も紹介した棟梁の息子さん。今日もアルバイトに来ていました。

イスは高さは格順のようで、彼は一番低い椅子でした。

笑い声が聞こえてくる昼食時。汗を流して働くことは、もっとも気持ちの良いことのひとつです。

広い駐車場は男の憧れ。

ただ、駐車場は常に一番前に来るので、デザインが難しい空間でもあります。そこをあえて主役にしたのがこの「男の駐車場」。

こちらのお家も、「オープンハウス可」と言って貰いました。

またここで案内したいと思います。

文責:守谷 昌紀

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞 

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■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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「中庭のある無垢な珪藻土の家」‐12‐ エピローグ 有るべきものが有るべき所に

 月曜日に「中庭のある無垢な珪藻土の家」をUPしました。

 私も建築専用のレンズで撮りますが、やはりプロの仕事はプロの仕事です。

 右手の中庭をあわせた構図になっていました。

 何カットもこの方向から撮りましたが、やはり平井さんに撮って貰ったものが一番美しい。

 建物の形状は、敷地から検討して行きました。

 ワールドカップ寸前で、日本代表に返り咲いたサッカーの本田圭佑選手。

 「ゴールはケチャップみたいなもの。出るときはドバドバ出る」言っていましたが、設計も同じかもしれません。

 いくら悩んでも、出てこない時は出てきません。

 この敷地を見せて貰ったあと、すぐにプランのイメージは浮かんできました。

 そこからクライアントと修正を重ね、ここに至ったのですが、くびれの部分が真っすぐだと建ぺい率がオーバーします。

 このくびれの部分に、納戸やトイレの開口部を切り、その形状を強調しています。

 ピンチはいつもチャンスです。

 床は全て無垢の檜で、壁は全て珪藻土です。

 リビングは比較的コンパクトにまとめました。

 軒のある中庭に面しているので、暑すぎず、寒すぎない空間となっているはずです。

 一方、ダイニング、キッチン、家事スペースはゆったりと繋がります。

 特に、キッチンと家事スペースは、何を置くか、どのような視線の抜け方が適切で心地よいか。

 奥さんと入念に打合せしました。

 キッチン南にある、2畳程の和室は現代サッカー用語で言えば、ポリバレントな空間。

 (ポリバレント=複数のポジションをこなせる)

 お子さんのお昼寝、洗濯物を畳む、雨の日の物干しと、最低でも3役はこなしてくれます。

 畳んだ衣類を横の収納に。

 裏側は洗面脱衣室に開いています。

 これらは全て奥さんの勉強のたまものです。

 フルタイムで働く奥さんの仕事部屋にもなるのが家事スペース。

 モザイクタイルに拘った、洗面脱衣と隣り合います。

 エントランスからも檜の階段が続きます。

 2階の寝室とつながるクローゼットは、舳先形状の部分を利用しています。

 写真は引越し前ですが、舳先でご主人と奥さんが半分半分となりました。

 こちらはご主人の書斎。

 そして子供部屋。

 1階にもあった茶色の壁は、マグネットの付く黒板(茶番?)なのです。

 中庭にあるのはLDKのエアコンの室外機です。

 玄関上の庇の下をそのエアコンの配管が走っているのですが、ファサードにこれらの配管を通したことは、過去に一度もありませんでした。

 どうするのが一番美しいだろうかと考えに考え、このような手法をとりました。

 結果として、私たちの引き出しを増やすことになったと思います。

 ゴミ箱のサイズも詳細を聞き、蓋が開いたその上に、ストックのゴミ袋を置くスペースを設けています。

 奥さんからはスケッチまで頂きました。

 有るべきものが、有るべきところにあって欲しい。

 仕事、家事、子育てと、忙しい日々の中で、家族との時間を少しでも捻出するために、あらゆることを効率よくしたい。

 そんな純粋な本気に、いつも応えたいと思うのです。

 夜景は、その建物のシンボリックに見せてくれます。

 夕刻、そのフォルムが浮かび上がり、開口から光が漏れはじめたとき。

 いくつになってもときめくものがあります。

 これにて、「中庭のある無垢な珪藻土の家」の物語はひとまず完結。

 楽しんで頂けたでしょうか。

文責:守谷 昌紀

■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「回遊できる家」放映

■■■『住まいの設計05・06月号』3月20日発売に「回遊できる家」掲載

■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから11月27日出版
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