最後の夢「ドッグランのあるタイル床の家」‐1‐プロローグ

「ちょっと変わっている家族ですが……」と、問い合わせがあったのは昨年の6月。

候補の敷地がすでにあり、2ヶ月後に購入された。

大阪府東部にある静かな住宅街の角地だった。

南東角は光の条件としては申し分がない。

ちょっと変わっている理由は奥様がタイ人おられることだろうか。

ご夫妻は結婚後、バンコクで働き、暮らしておられた。

しかし訳あって日本に戻ってこられ、家を建てることにしたのだ。

「最後の夢を実現したい」という言葉が、ズシリと響いた。

ご家族は2匹のチワワと暮らしている。

ドッグランを備えているのはそのためだ。

LDKには吹き抜けもあり、内部は非常に開放的。

一方、窓は中庭に面して大きく取ったが、それ以外は最小限にしている。

周辺からの視線を気にせず暮らしたいという要望からだ。

南と東で接道する敷地は理想的だと書いたが、道路斜線はかなり厳しい。

南東角が複雑な形状になったのはこのためで、法規制をクリアするのに正直骨が折れた。


しかし、そういった物語りが建物を豊かにすることも間違いない。

床は総タイル貼りの自分好みの家は、かなり格好のよい空間になると思う。

2001年、31歳の1年は、アトリエmを丸1年閉めていた。

精神的に疲れ果て、海外へ旅にでたのだ。中でも、一番長く居たのがバンコクだった。

宿を取らずに初めて旅へでた。

初日、バックパッカーの聖地、カオサンストリートで安宿を探す。

兎に角不安だったが、タイ人女性が「サワディーカ」と笑顔で応対してくれたことを思い出す。

仏教国であるタイは、微笑みの国ともよばれるだけあって、皆が穏やかで優しかった。

何となく、そんな縁も感じながら「ちょっと変わった家族」のために、頑張ろうと思う。

タイへの感謝の気持ちも込めて。

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