(仮称)トレジャーキッズたかどの保育園‐3‐土の中と壁の中

 11月に入り、基礎工事が急ピッチで進んでいます。

 先々週は、配筋検査でした。

 この園の躯体は鉄骨造ですが、基礎は鉄筋コンクリートでつくられます。

 鉄筋コンクリートは、その名の通りコンクリートの中に鉄筋が組まれたもの。

 それぞれの長所、短所を補い合った構造体です。

 鉄筋が構造設計書通りに組まれているかをチェックするのは、監理者である私の仕事。

 そして先週はコンクリートの打設でした。

 生コンを運んできたミキサー車から、ポンプ車を経由して型枠内にコンクリートを流し込んで行きます。

 かなりの広さですが、夕方には終わる予定とのことでした。

 そして昨日は、鉄骨の製品検査。

 制作工場にて、横たえられた柱の寸法、品質をチェックしていきます。

 鉄骨で難しいのはその接合部。

 溶接によって繋がれるのですが、その溶接部に割れや隙間がないかは、専用の機械で調査します。

 担当者が、2日掛かりで調査を行い、その確認を行いました。

 音波を発信し、その反射で溶接部内を調査するのですが、魚群探知機と同じ原理です。

 土の中と壁の中に隠れてしまう、基礎と鉄骨。

 これらが建物を支えるのですが、おもて舞台にはでてきません。

 しかし、そういったところが、建物の安全、ひいては美しさに大きく影響してくるのです。

文責:守谷 昌紀

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築80年の長屋を「碧の家 」に〈リノベーション〉‐8‐本当に好き

 今週、唯一の雨だったのが14日の火曜日。

 「碧の家 」はこの日が現場打合せでした。

 ようやく足場がとれ、碧の外観が見えるようになりました。

 曇天は曇天で映えますが、晴れの日はまた違った印象になるでしょう。

 正面にあるのは花壇。

 ここは、碧、白、グレーのタイルをランダムに貼っています。

 キッチンと外部の碧は同色です。

 壁のタイルは、水色、白、アイボリーをこちらもランダムに貼りました。

 ランダムではあるのですが、位置は1枚1枚指定しました。

 数枚違うところもありますが、概ね展開図通りです。時間があるひとは間違い探しを。

 2階の収納内は、棚を細やかにレイアウトしています。

 収納でありながら、家具のように仕えるはずですが、この景色の中にも、後で「碧」が入ってきます。

 大工工事もほぼ終了。

 最後に製作して貰うのは、ロフトへのハシゴです。

 この景色の中にも「碧」は入ってきます。

 いつも「碧」が中心にあるのです。

 ルネサンスの天才、ミケランジェロは彫刻するとき、大理石の中に居る人を掘り出してあげるイメージでノミを振るったといいます。

 格好をつけて言えば、その感じ少し分かる気がするのです。

 私の最も重要な仕事は、「本当に好き」をさぐりあてることだと思っています。

 この厳しい世間を生きて行く時、錆びや澱のようなものがまとわりついてきます。

 それらを削り落とした中に「本当に好き」はあると思っているのです。

文責:守谷 昌紀

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(仮称)トレジャーキッズたかどの保育園‐2‐子は宝

 「トレジャーキッズたかどの保育園」の工事が本格的に始まっています。

 まずは地盤改良工事。

 本格的に建物の設計をする前には、地盤調査をします。

 そのデータに基づいて地盤に改良が必要がどうか、どんな改良をするかを設計するのです。

 この土地は、表面から柔らかい粘土の層が続きましたが、砂礫の良好地盤が見つかりました。

 その層まで穴を掘り、セメントミルクを注入しながら撹拌していきます。

 地面の中に太い電柱を現場製造していくイメージです。

 ちなみに、このオペレーターの人は、新・国立競技場の地盤改良杭を施工してきたとのこと。

 この道のエキスパートなのです。

 大阪は、上町台地を除いて5000年前は海だったところが大半です。

 今回の良好地盤は、砂に礫の混じった層でした。

 砂に丸い礫が混じっているということは、川から運ばれてきたものだと想像できます。

 弱い地盤面を無視すれば、数千年前の地面の上に、コンクリートの柱をたて、その上に保育園が乗っているという図になります。

 過去が現在を支えているのです。

 園の名前は「トレジャーキッズたかどの保育園」となる予定。園の名前の通り、子供は間違いなく人類の宝なのです。

 園の運営会社の方がこんなことを言っていました。

 「大阪で庭を持つのって大変じゃないですか。

 保育園では思いっきり外で遊んでもらいたいですよね。

 近くにウチの園があれば是非通わせたいですもの」

 仕事の基本は人の気持ちになること。

 自分の会社の仕事を、ここまで好きになれることは素晴らしいことです。

 なんとか私たちの思う、理想の園を創り上げたいと思います。

文責:守谷 昌紀

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緑を囲む京都のオフィス「山本合同事務所」‐5‐主役登場

 10月の最終週からようやく天候も回復。

 「山本合同事務所」もようやく外部工事の目途がつき、内装工事が本格化しています。

 壁、天井の塗装がはじまりましたが、1階駐車場はまだ下塗りの段階。

 2階ワークスペースはほぼ塗装も終了です。

 このオフィスは壁紙を使っておらず、エマルジョンペイントという、漆喰のような肌合いの塗装を仕上げとしています。

 空間が優しくなるのです。

 ワークスペースの吹抜けは、タワー状の足場があるうちに仕上げなければなりません。

 11月に入ってから再び現場へ行くと、家具が搬入されてきました。

 オーバルカウンターがワークスペース中央に据えられ、空間が引き締まります。

 夕方、クライアントも交えて、LANのネットワーク、電話等の打合せ。

 それぞれの席に、どのような配線を送るかを、1席ずつ確認して行きます。

 3階は吹抜けと繋がる、リビングのような空間。

 休憩室、打合せ室など使い方は様々です。

 小振りな無印のキッチンが入り、イメージが明確になってきたと思います。

 舞台なら、主役、ヒロイン、仇役、脇役があるように、建築にも配役があります。

 このオーバルカウンターはこの建物においてはまさに主役。

 ワーキングデスクという機能を満たし、中央に緑を内包する形状は、この空間のためだけにデザインしたもの。

 現時点での手応えは十分です。

 このあと、続いてヒロインも登場します。

 山本合同事務所劇場はクライマックスに向かうのです。

文責:守谷 昌紀

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築80年の長屋を「碧の家 」に〈リノベーション〉‐7‐無い所からなら別

 今日は雲ひとつない秋晴れでした。

 快晴の定義は、雲の量が全天に対して1割以下。今日は0だったので完全なる快晴でした。

 週末の嵐が嘘のような天気ですが、それが自然というものです。

 どの現場もですが、台風と秋雨前線の停滞で外壁工事がやや遅れ気味。

 今日の目的は、本格的に工事が始まる外壁の色を決定することでした。

 直射が当たる壁にあてたり、影の部分にあてがったりと、慎重に検討し、残った見本がこの2つ。

 どちらになったかは、完成後のお楽しみということで。

 工事も終盤に入り、棚の割り付けなどの詳細を詰めてきました。

 ようやく階段が完成しました。

 踏面210mm、プラス蹴込30mm、蹴上200mmの登りやすい階段です。

 かつ美しく仕上がっていると思います。

 元の階段と比べると、その差は一目瞭然。

 重力のある地球で、3m上に登り、そこで暮らすということは、かなりの危険が伴うということです。

 3m、木登りする姿を想像して貰えれば分かりやすいでしょうか。

 それを安全に、スムーズな移動を可能にするのが階段です。

 初めからあれば、階段の有り難さを感じることはありませんが、無い所から出来上がったならそれは別。

 クライアントには、 何度も現場用のハシゴで登ってもらったので、「感激もひとしおですね」という話をしていました。

 これなら、お母様にも上がってもらえそうということで、次回打合せに参加して頂くことになりました。

 階段室から出ると、2階は大きな1室空間です。

 そして、右上に見えるのがロフト。

 この高低差は2.5m。ここはハシゴでつながります。

 重力のある地球において、上下の動線は常に重要で、腕のみせどころでもあるのです。

文責:守谷 昌紀

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(仮称)トレジャーキッズたかどの保育園‐1‐プロローグ

 大阪市旭区は大阪市の北東部にある。

 京橋、梅田なども近く大変便利なところだ。必然的に人が集まり、非常に人口密度の高い地域となる。

 待機児童を減らすことは、大阪市としても大きな課題となっている。

 その期待を背負って(仮称)トレジャーキッズたかどの保育園の工事はスタートした。

 敷地は東側で道路に面しており、奥行きが深く30m以上ある。都心部としては比較的大きな敷地だ。

 特徴は、何と言ってもそれを活かした広い園庭だ。

 また、園庭に開いた大きな開口部は、全て南、東を向く。

 その恵まれた条件を活かすため、できる限り庇をめぐらせている。

 庇は夏の日差しをふせぎ、冬の直射をできる限り遮らないよう設計した。

 雨でも窓開けられる。暑すぎない、寒すぎないと、軒下の空間は非常に人に優しいものだ。

 そのデザインコンセプトのまま、ファサードは深い庇と、木の壁で構成した。

 この園の特徴を、街へ伝えることができればと期待している。

 園のメインコンセプトは「2つめのおうち」。

 走り回れるような庭を持ちにくいのが都心部での悩みである。

 小学校に上がるまでの数年間。ここを2つめのおうちとして過ごし、楽しい思い出をつくって貰えれば、創り手としてこれ程嬉しいことはない。

文責:守谷 昌紀

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家事動線がコンパクトな「白のコートハウス」‐4‐家の中の大動脈

 10月中旬は、雨の日が続きました。

 前々回の現場行は10月初旬。秋晴れの一日でした。

 こんな日は、1階の光庭も価値が増します。

 この時は、まだ階段ができておらず、現場で打合せをしてきました。

 今回行くと、階段がほぼ出来上がった状態に。

 この階段は繊細に設計しました。

 10段目の下を通って家事室に抜けるため、出来るかぎり薄く仕上る必要があります。

 また、階段を上がるとファミリールームがあり、キッチンに立つ奥さんとお子さんが、互いに気配を感じれるよう考えました。

 それで、段板を鉄筋で吊ることにしたのです。

 階段は、上下階を繋ぐいわば大動脈です。

 LDKが少しでも大きいほうが高く売れるだろうと、階段を軽視したプランは、中央に方形でまとめられがちです。

 それでは、家の中での縦方向の繋がりが分断されてしまい、ひいては、血流が悪くなるのです。

 血の流れは勿論人の流れ。階段のよい家はやはり元気で健康な家なのです。

文責:守谷 昌紀

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緑を囲む京都のオフィス「山本合同事務所」‐4‐だろうでなく、かもしれないへ

 「山本合同事務所」の現場までは車で行くことがほとんどです。

 第二京阪が開通してから、名神を通ることがほとんどなくなりました。

 巨椋池からは、阪神高速京都線に乗り継ぎます。

 池と付きますが、京都最大の水場でした。干拓によってできた広い田の中を走る快走道路です。

 京都らしい景色を望みながら、所用時間は1時間15分ほど。

 この日は夕方からの打合せ。

 影がかかっていましたが、ようやく足場のない外観が見れました。

 京都市内につき、景観条例で切妻屋根が求められます。

 その条件の中で、こぶりながら働きやすいオフィスを模索しました。

 土地がら、仕事がら、移動はほぼ車。

 1階は全て駐車場となっています。

 2階がメインのワークスペースですが、壁の下地ができあがってきました。

 その上に、ちょこんと3階がのっかっているというレイアウトです。

 南端の屋根にあるトップライト。

 楕円テーブルの中央に向かって光が落ちてくるよう設計しました。

 この中央に緑を置く予定なのです。

 クライアントはとても仕事が忙しく、「その世話がちゃんとできるだろうか」と思案中。

 最終的にどうするかを決めるのはクライアントです。

 現場としては出来る限り多くの場面を想定して、備えをしておくのが仕事です。

 だろう運転でなく、かもしれない運転を。

 教習所で誰もが教わったことですが、全てに通じるものなのです。

文責:守谷 昌紀

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築80年の長屋を「碧の家 」に〈リノベーション〉‐6‐トランプとうさぎ

 現場の写真を撮る私にとって、青空は最高のキャンパスです。

 やはり快晴が最も気持ちのよいもの。

 養生シートの後ろに、碧の壁が透けてみえるでしょうか。

 外壁工事も、着々と進んでいます。

 玄関ドアもつき、エントランス部分の空間が出来上がってきました。

 軒先の碧も見えます。

 エントランス右側の外部は、屋根を設けて自転車置場となります。

 この日は、内部仕上の確認でした。

 様々な色がでてくるので、それらをクライアント、監督と全て整理しました。

 2階にあるニッチですが、ああでもない、こうでもないと詰めています。

 この細かな打合せが、空間の質へと反映されるはずです。

 この計画には多くの施主支給品があります。

 これらは、スペイン旅行の際に買ったという室名札。上がトイレで、下が浴室だそうです。

 スチール枠の中にタイルが入っていますが、1点物なので、壊したらバルセロナまで買いに行かなければなりません。

 監督も緊張感をもって養生していました。

 黒いスチール製のウサギは、ある有る部分に使う金物です。

 これも施主支給してもらいました。

 そしてこれは私がつくったデータ。

 まだ検討中ですが、これらはある空間において一連の物語となっています。

 表現には、暗喩と直喩があります。

 空間は語らないので暗喩が多いのですが、これはまさに直喩。

 しかし直喩だからといって簡単には紐解けないかもしれません。

 訪問された方が、立ち止まってくれると嬉しいのですが。

文責:守谷 昌紀

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アトリエmの現場日

家事動線がコンパクトな「白のコートハウス」‐3‐徹底的に静かを目指す

 現場での打合せは、概ね2週間に一度行います。

 前回は9月の始めで、この時は大所帯で訪れました。

 スイッチ、コンセントの位置を決めるのに、型紙を貼っていくからです。

 施工会社からは監督ともう1人、電気工事の担当者に、当社からは2人。

 加えて、オープンデスク生も連れて行きました。

 この打合せは、電気などの配線の前で、しかも壁を塞ぐ前に行います。

 よって、タイミングが限られます。

 昨日訪れると、すでに壁の前面に繊維状のシートが張られていました。

 そこに小さな穴を開け、断熱材を吹き込んでいくのですが、1階はすで施工が終わっていました。

 断熱材は古紙を粉砕したもので、「セルロースファイバー」といいます。

 断熱性能とともに遮音性能が優れているのです。

 一般的な断熱材よりは高くなりますが、静かな環境を求める人には合った工法なのです。

 コートハウスなので、開口部は全て中庭に向いています。

 閑静な住宅街のうえ、この工法を用いているので、かなり静かな室内環境になるでしょう。

 環境、プラン、性能がかみあってこそ、それらは実現できるのです。

文責:守谷 昌紀

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『大改造!劇的ビフォーアフター』の匠としてや『住人十色』等テレビ出演しています。関西を中心に、ダイナミックな現場を、動画を交えてあますところなくお伝えします。