大阪市内の静かな住宅街。
敷地は角地で、特徴のある形をしている。
2015年の夏から、候補になった敷地がいくつかあったが、いずれも決定までは進まなかった。
エリア、環境、価格と、全ての条件を満たすのは簡単ではない。
2016年の2月にようやく敷地が決まり、計画は本格的にスタートすることになった。
敷地には家屋が建っており、これを解体。
約110㎡あるが、この位の広さがあれば、駐車スペースと中庭が確保できる。
ただ、道路の境界があやふやで、市との交渉は非常に骨が折れた。
金額調整も終え、ようやく工事へと進むことになった。
建物の輪郭となっている 青のラインがこの写真から見て取れるだろうか。敷地に素直な配置としたつもりだ。
内部壁はほぼ珪藻土で、床はヒノキの無垢材となっている。
計画の当初より、ご主人から「不自然でない家」というテーマを貰っていた。
「例えばカロリーゼロって不自然じゃないですか」と。
言われてみればその通りだ。
美味しい。だけど実質食べていないことになっている。これが本当なら、ある意味ホラーともファンタジーとも言える。
しかし、家は幻想ではなく実物である。
自然で、素直で、無垢な中庭のある家。
直球ど真ん中の要望に、厳しい工期。
それらに応えられるよう、監理にベストを尽くすのみである。
文責:守谷 昌紀