タグ別アーカイブ: 現場日記

「あの森のohana」かやしまフォトスタジオ‐3‐写真館というエンターテイメント

 2021年も後半がスタートしました。

 沖縄では梅雨が明け、いよいよ夏がやってきます。

 京阪電車に乗り換えて地鎮祭へ向かいますが、京橋駅手前で一瞬大阪城がみえます。

 現「Ohana」の工事監理の時も電車通勤が多かったのですが、懐かしいなと思いながら一枚撮りました。

 一瞬なので、しっかりとれたのは初めてかもしれません。

 京阪萱島駅と「森のOhana」の中間あたりに、現「Ohana」があります。

 駅からはこの距離感です。

 現地へ着くと、すでに準備が整っていました。

 神主さんの奥様が、クライアントの石井さんと同級生とのこと。

 現「Ohana」の地鎮祭は、そのお父様が担当してくれたとのことでした。

 これは進行の説明を聞いているところで、決して怒られている訳ではありません。

 一緒にお祓いして貰うのに、模型と図面を祭壇の横にお供えしたのです。

 カメラを持つと、つい仕事モードになってしまうようです。

 このアングルで撮影したクライアントは勿論見たことあがありません(笑)

 式典での仕事もコンプリート。

 滞りなく式典を終えることができました。

 聞いておきたいことがあり、スタジオに戻って少し打合せ。

 しかし写真館には色々な機材があります。

 そのひとつがこの「バック紙」。

 石井さんはあまりバック紙を使わないのですが、成人式の撮影ではこの背景を使うそう。

 華やかな感じで、お客さんも盛り上がるでしょう。

 このバック紙は背景の中心にしたい。

 しかし、右からのライティングのため、このくらいの余白は欲しいというリクエストでした。

 肘から肘までがおよそ90cmなので、70cmは必要かなという話しになりました。

 このシステムも本当に良くできていて、4枚の背景を簡単に取りかえることができるのです。
 
 私が撮影できる訳ではないのですが、どの位置から、どんなライティングで、どんな感じでシャッターを切るかを知りたいのです。

 知れば知るほど、提案できることも増えるのです。

 幸いにも2度設計する機会を貰ったので、今回は醸成した「Ohana」を創り上げたいと思います。

 加えて、石井さんの魅力を余すところなくお伝えするのも私の仕事。

 被写体を間違いなく笑顔にするプロの技を是非ご覧あれ。 

 

文責:守谷 昌紀

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

3台駐車可「3つの庭を持つコートハウス」‐6‐現場の花

 今仕事をしている工務店は、10件くらい連続で落札しています。

 これだだけ続けて仕事をしていると、大方の職人は顔を見れば分かるようになります。

 こちらのサイディング屋さんは、ファンキーな金髪がトレードマーク。

 見た目と違って(失礼!)、笑顔はとても愛嬌があるのです。

 大工チームも4組くらいありますが、以前会った棟梁の息子さんがアルバイトに来ていました。

 前に現場で会った時は、大学はほぼ行っていないと聞いていましたが「ようやく授業も始まります!」とのこと。

 リモートで全てが解決する訳ではないので、聞いている私も嬉しくなります。

 偽りのない笑顔が全てを物語っているはずです。

 2階へ上がると、電気屋さんが配線をしていましたが若い女の子もいました。

 最近は現場で働く女性もいるので、新しい社員さんからと思いながら1階に下りて、クライアントとの定例打合せに入ったのです。

 このくらいまで現場が進んでくると、変化が大きくなり見ていても楽しいもの。

 それはクライアントの表情を見ていても伝わってきます。

 今日は2週連続ということで、1時間半くらいで終わりにしました。
 

 帰る準備をしていると、電気屋さんも1階に下りてきたので聞くと、娘さんだそうです。

 「跡取りなんですよ」と。

 今の仕事を辞めて、本格的にこの仕事をするそうなのです。

  今は現場で言う「てったい(手伝いのこと)」です。

 ただ、ちょっとサポートしてくれるだけで、仕事の精度は全く違うものになったりします。

 仕事の師でもある父親をサポートする姿は、見ていても清々しい景色でした。

 「今日は棟梁の息子さんもいて、電気屋さんの娘さんもいるから、ジュニアオールスターやね」と軽口をたたいたのですが、これは親父ギャグ……?

 次の打合せがあるので、アトリエに戻ったのです。
 

 力仕事もあるので、大変だとは思います。

 だだ、これは決して他人事ではありません。

 いくら仕事を依頼して貰ったとして、誰も作ってくれなければもうどうしようもありませんから。

 現場の花として是非頑張って欲しいと、切実に願うのです。 

文責:守谷 昌紀

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

「あの森のOhana」かやしまフォトスタジオ‐2‐人物像を立体的に浮かび上がらせよ

 初めてアニメーションを製作したのは「おいでよhouse」でした。
 

 それ以来、各プロジェクトで挑戦していますが、一朝一夕には進歩しないものです。


 構想が現実となっていく過程がこの現場日記。

 最終形を想像するのはなかなか難しいものですが、今回も模型とアニメーションの二本立てで検討しました。 
 

 エントランスは開きすぎず、開かれている空間を目指しました。

 レセプションのコンセプトは、現Ohanaと同じ。

 ちょっとおしゃれな知人のリビングです。

 ワークスペースは、光が入り過ぎない方が良いので、換気を重視しました。  

 2階のスタジオは大空間です。

 西側は西日を防ぐために開口は小さめ。

 北側は緑が目に入るよう大きく開きました。

 そして東の正面はこの格子窓です。

 将来的にはギャラリーのような使い方も視野に入っているので「入ってみたい!」と思って貰うことはとても大切です。

 ワクワク感が窓からあふれ出すイメージで設計しました。

 このカットだけ雰囲気が違うのは、レンダリングという機能を使っているからです。手前味噌ですが少しだけ進歩したでしょうか。

 カメラマンの石井さんは完全に模型派です。

 模型も1/100と1/50を製作したのですが、1/100は喜んで貰えました。

 1/50のほうはオープンデスクの学生に担当して貰ったのですが、出来がいまひとつで……

 もう一度気合を入れて作り直します。
 

 模型派なので、動画の反応もやはりもうひとつでした。

 しかしそれも重要な情報です。

 沢山の問いを発信し、その反射でクライアントの人物像を理解していく。丁度、魚群探知機のシステムに似ていると思っています。

 パルス波を沢山発信すればするほど、人物像が立体的に浮かび上がってくるのです。

 ここに魚が居るという情報は大切ですが、ここに魚は居ないという情報も大切な場面が、必ず出てきます。

 知るということは、自分に可能性を与える。知らないということは、自分の可能性を狭めている。

 サッカー選手、中田英寿さんの言葉ですが、核心に迫る言葉だとい感心しているのです。
  

文責:守谷 昌紀

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

3台駐車可「3つの庭を持つコートハウス」‐5‐AORとクラッシック

 各現場の定例打合せは、日程のルールを決めています。

 こちらの現場は、奇数週の土曜日ですが、雨が降ったのは地鎮祭の日だけだったと思います。
 
 その時は足下がズブズブで、監督が慌ててベニヤを買いに走ったのです。

 順調に工事は進み、中盤戦に入っています。

 「どうせまだ揚げてないだろうな」と思いながらやってくると、揚がっていました。

 当社の横断幕ですが、疑って失礼しました。 

 LDKは広い廊下と繋がり開放的です。

 光の取り入れ方は色々ありますが、ここでは長い庇とハイサイドを組み合わせました。

 冬は遮らず、夏は床に落とさない位置を狙っています。 

 外から見るとこのような感じ。
 

 跳ね上げた屋根が、2階棟と交差する所があります。

 内側から見るとこんな景色。

 細やかな細工は木造ならではです。

 大工チームの技が発揮されるのです。

 壁面には図面が貼られていました。

 その上あたりには煙突の下地が。

 薪ストーブが取りつくのですが、これも楽しみ。

 図面は歌に例えれば楽譜のようなものです。
 
 「3つの庭を持つコートハウス」を音楽に例えるなら、ベースはAORでしょうか。

 薪ストーブがあるので、多少クラッシックの要素も入ってきます。

 ボビー・コールドウェルとエリック・サティ。

 全く違うジャンルを内包し、美しい一曲にまとめ上げたいと思うのです。 

文責:守谷 昌紀

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

「あの森のOhana」かやしまフォトスタジオ‐1‐プロローグ

 2008年の2月18日にオファーを貰い、翌年の9月28日に完成したのが「かやしまフォトスタジオOhana」である。

 

 元の店舗は京阪萱島駅の高架下にあった。


 創業者は、現在の店主でありカメラマン石井さんの御尊父である。


 高度経済成長期、DP店と言われる現像やプリントサービスは、大変に繁盛したそうだ。

 しかしデジタルカメラ時代に入り、新しい業態へと変化していく分岐点にあったのが新店舗計画だった。
 

 

 外部スタジオとして計画したのが35本の列柱。

 H鋼は少しずつ隙間を空け、風も通るようになっている。

 その後ろに見えるのが、創業者のご自宅だ。

 大手プレハブメーカーの建物で、そのワンユニットを撤去し新店舗を設計した。

 文字通り、Ohanaとは一心同体だったのである。
 

 「センスの良い知人宅のリビング」と設定したレセプション。

 2階のスタジオも背景の為の背景はやめて、自然光でも撮影できるよう、様々な形態の窓をあけた。

 そしてご家族の、ナチュラルでハッピーな写真を写し続けてきたのである。

 ひとり増え、ふたり増えと、毎年撮影にきてくれるご家族も多い。

 2011年には『第5回キッズデザイン賞』を受賞し、私としても自信を持たせて貰った仕事だった。

 しかし今回、府の道路拡張事業にともない、解体撤去しなければならないことになった。

 新しいOhanaは、現在の店舗のコンセプトを踏襲するも、更なる発展をしなければ意味がない。

 100m程離れた新敷地を初めて見せて貰った時は、私がひとりはしゃいでいた気がする。

 新店舗のコンセプトは「あの森のOhana」だ。

 敷地の回りに空地があり、そこに多くの樹々が植わっている。

 計画の推進力はクライアントの情熱だが、その方向性を決定するのは、動機と環境だと考えている。 

 この環境を、生かし切りたいと考えたのだ。

 1階のレセプションは、一回り大きくなった。

 2階のスタジオも、石井さんが最高の仕事をできるよう、理想的な大きさを綿密に確保した。



 「あの森」は木が生い茂っているという意味だけではない。

 誰の心の中にもある、何かワクワクするような場所……

 第二幕の開演である。

文責:守谷 昌紀

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

軒が深いから「おいでよHOUSE」‐10‐パジャマのままで朝日を浴びて

 「おいでよhouse」は引越しから2週間が経ちました。

  新しい日常の風景を、奥さんが送ってくれました。

 こちらのお家は、延べ面積が丁度100㎡なので30坪。

 大阪市内で拘って家を建てるなら、ひとつの基準になる大きさと言えます。

 LDKの天井高は約4m。ハシゴでロフトとつながります。

 約25坪の敷地を、いかに立体的に使うかを考えました。

 長男君はこの場所でパジャマのまま朝日を浴びるのがお気に入りだそうです。

 次男君はロフトでテレビを見るのがお気に入りと。

 この場所をお父さんが狙っているという話もありますが……

 そんな寸劇も含めて、どんどん楽しいお家になって行くはずです。

 クライアントはご夫妻ですが、すでに成熟した大人です。

 反対に、お子さんはここで暮らし、成長して行く過程にあり、責任としては大きなものがあると思っています。

 話をした回数は限られていても、創り手の意思を敏感に感じとってくれることが多いのです。

 長男君が気に入ってくれた東向きのハイサイドは、減額で無くなる可能性もありました。

 私としてはここは何と死守したいと思っていたのですが、頑張った甲斐がありました(笑) 

 撮影は梅雨明け頃の予定。6月に入ったばかりですが、すでに7月が待ち遠しいのです。

文責:守谷 昌紀

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

住み継ぐ「コンクリート打放し H型プランの平屋」‐12‐引っ越してきたニャ

 今週月曜日に、ようやく引き渡しが終わった「H型プランの平屋」。

 計画がスタートしたのは2017年の6月なので、約4年に及ぶプロジェクトになりました。

 最長記録は5年1ヵ月の「四丁目の家」ですが、それに次ぐ長さです。



 南の庭に面するウッドデッキも何とか形になりました。

 が、塗装はまだ。

 足洗い場まで備えたフルバージョンですが、工程監理は永遠のテーマです。

 前回はひっくり返っていたLDKですが、造作家具も据え付けが終わり、ようやく最終形が見れました。

 向かいにあるキッチンは、サンワカンパニー製です。

 コンクリート打ち放しとウォルナットのフローリングに、ステンレスが良く合っています。

 LDKを挟み、東西にあるのが各個室。

 同じく庭を望みますが、北側にウォークインクローゼットを備えています。

 現在は空っぽなのでそれはそれで格好良いのです。

 紆余曲折あった和室もようやく完成。 

 床板はステンレスで、背面には黒皮鉄板です。

 氷ばかり艶なるはなし

 室町時代の僧、心敬の精神を体現してみました。
 
 亭主が客人をもてなすためにあるのが床。一緒に回っていた長男君が、ドラえもんのオモチャを飾ってくれました。

 物の貴賤ではなく、もてなす心が大切なのです。

 浴室もようやく完成。


 脱衣室まわりもすっきり仕上がっています。

 南面の大開口は圧巻はですが、なにやら視線を感じます。

 木の陰から、興味津々にこちらをのぞいていたのは子ネコでした。

 主はこちらだと思っていたら、新参者だったようです。

 そうこうしていると、引越しの準備にご主人が車で見え、少し一緒に中を回りました。

 その後、「銀行との最終打合せがあるので」と出て行く前に、両手をとって「ほんとに有難う」と言ってくれました。

 計画の途中、私から急かしたことは一度もありません。全てはなるようになりますし、行くべきところに行くものです。

 これまでの仕事人生で「建てましょう」とか「建てませんか」という言葉を使ったことはありません。

 「建てたい」人の力のになりたいだけなのです。

 今日から始まる新しい暮らしは、きっと素敵なものになるはず。こちらのお家はオープンハウスを予定しているので、また告知させて貰います。 

文責:守谷 昌紀

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

3台駐車可「3つの庭を持つコートハウス」‐4‐旅芸人と建築家

 梅雨入り前、滑り込みで上棟式が間に合いました。

 スタッフにも早めに来てもらい、会社を8時40分頃には出るのですが、いつも約束の時間ギリギリ。

 現場のほうは準備万端で、クライアントもすでに到着済み。今回も私達が最後になってしまいました。

 建方が終わり、全容が見えてきましたが、右の箱が2階棟、左の箱が駐車場棟です。

 駐車場棟は、車3台がゆったり駐車できます。

 木造でこの大空間をどうやって実現したのかも、また書いて行きたいと思います。

 式典自体は手造り版。クライアントには「洗い米」「粗塩」を持ってきてもらい、監督が進行してくれました。

 エントランスを入ってすぐに階段がありますが、今回も仮設階段を先に掛けてくれました。

 これが有ると無いとでは、現場打合せの精度が全く変わってくるので、とても助かるのです。

 ご夫妻には四方を清めてもらいます。

 東西に長いLDKはこの建物の見せ場となる空間。

 端から端までおよそ13m。10mを越えてくると「広いなあ!」といった反応が多くなるでしょうか。

 この抜け感はいつも意識しています。

 御幣を2階の最も高いところに据えて、皆で二礼二拍一礼。

 式典は無事終了です。

 2階は個室が集まりますが、南の部屋は高い腰壁に囲まれたバルコニーを備えています。
 
 この形状も一工夫したので、仕上がりが楽しみな所です。

 現在はすっぽりシートに囲まれているので、中庭の存在は分かりません。

 しかし、2階から見下ろすとその形状がよく分かります。

 大きな駐車場が前にあるお陰で、プライバシーが保たれています。

 敷地が大きい場合は、特に外部の計画が重要で、今回も価値ある空間になると思います。

 LDKはその中庭に開放されており、解放感ある景色となるはずです。

 工期がタイトなことはいつも気にしていますが、到着が常にギリギリであることも気になっていました。

 今回、距離的には短いが道幅は狭い、抜け道を通ってみました。

 狭いので飛ばすのは御法度です。

 こういったケースは「あまり変わらなかったね」ということが多いと思いますが、3~4分の短縮にはなったと思います。

 その程度かという事無かれ。それでも2分遅刻したので、十分価値はありました。

 スピードが出せなくても、止まらずに進める抜け道が大好きです。

 地域の暮らしが近くで見てとれ、魅力的な景色も多く、抜け道好き歴は30年です。

 その場所へ行き、その場所にいる人を幸せにするのが建築家の仕事です。

 旅芸人も似た仕事ですが、移動が好きな人が選ぶ仕事なのだと思います。

文責:守谷 昌紀

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

住み継ぐ「コンクリート打放し H型プランの平屋」‐11‐ネコと一緒

 敷地が大きいということは、多くの人にとって憧れです。

 代々引き継がれてきたこの敷地は、隠しようがないくらい大きいのです。

 その敷地に、H型にコンクリートの箱を配置することが、この計画の全てのスタートになりました。 

 躯体によって演出される外部が非常に重要なのです。

 エントランスホールに入ると、その奥に見えるのが中庭。

 周囲をぐるりと回ると、樹齢300年は越えている大楠木が見えてきます。

 成長し過ぎたがゆえ、今回かなり枝を落としたのですが、それでもこの時期には青々と葉をつけています。

 この外部空間は、躯体と大楠木によって、プライバシーが保たれています。

 クライアントも「ここはBBQに持ってこいですね」と。

 エントランスの前後にある外部は、この建物にとって非常に大切で、意義のある空間なのです。

 内部は最終盤を迎えごった返してきました。

 南の庭に面するウッドデッキも、下地が出来上がってきました。

 仕上がっている部屋も勿論ありますが。

 今回のファサードのカットには、全てこの職人さんが写っています。

 「写真撮るけど、入っても構わない?」と声を掛けたのですが、「ハイ、大丈夫ですよ」と。

 この日は天気がよく、庇下がとても気持ち良さそうで、昼食後の休憩場所にここを選んでくれたようです。

 ネコはその家の一番気持ちの良い場所を占領すると言いますが、こういった景色を見ると非常に手応えを感じます。
 
 ネコと一緒にするなと言われるかもしれませんが、人もネコも正直なものだと思うのです。

文責:守谷 昌紀

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

 

「THE LONGING HOUSE 」‐12‐「井戸」のようなもの

 ゴールデンウィーク明けの定例打合せは「The Longing House」からです。

 正面のガラスがようやく全て入りました。

 室内から見るとこのような景色。

 なかなかに開放的な空間ですが、使い方はまた追々。

 LDKの床養生がとれ、ヘリンボーン貼りが見えてきました。

 キッチンとアプローチの配置は、こういった関係にあります。

 リビング階段ではないものの、お母さんと子供が必ず顔を合わせるような動線になっています。

 またこの階段は、2階からの光を落とす役割も担います。

 何か手を打たなければ、このエリアは真っ暗になってしまうのです。

 トイレのタイル貼りも完了。

 後は手洗いの設置を待つのみです。

 こういったアクセントクロスを採用している部屋がいくつかあります。

 こちらはウォークインクローゼットの最奥ですが、輸入物を支給して貰いました。

 服で言うなら、裏地にまで拘っているといった感じでしょうか。

 1階の北端にある和室には、前庭があります。

 この小さな外部が、室内をとても豊かにしてくれるはずです。

 前庭の背景になっているのがPC版の擁壁ですが、建物を守るように敷地南端まで連続しています。

 高低差のある隣地に対して考えたものですが、支柱を建てる際もかなり苦労しました。

 PC版を吊り込むのも一仕事ですが、微調整をするのに現場はさらに知恵を絞りました。 

 まずはジャッキアップ。

 正しい高さになるようかまし物を入れ替えて、今度はジャッキダウン。

 これらの工事の際、地下に水脈があるようでそれなりの水が噴出してきました。

 折角なら非常時に使えるようにしたいという相談を、クライアントから貰っていたのです。

 そして出来上がったものがこれ。

 本格的な井戸を掘ると100万円では納まりませんが、下水道に使われるヒューム管を使い、深い溜め桝のようなものを作りました。

 私も建築会社もその名と通り建築を専門としていますが、今回は小さな土木工事のようでもありました。

 「餅屋は餅屋」という言葉もあります。また「境界線を越えて行ける人が結果を残す」と聞いたこともあります。

 どちらも正しい警句ですが、その間にある答えを模索したのが、この「井戸」のようなものです。

 プロには最大限の敬意を払いますが、高すぎると実現する可能性は減ります。
 
 金額と言う物差しは、常に大きな決定権限を持っていると知る者が職業建築家だと思っています。 

文責:守谷 昌紀

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記