タグ別アーカイブ: 集中しやすい環境を

軒が深いから「おいでよHOUSE」‐10‐パジャマのままで朝日を浴びて

 「おいでよhouse」は引越しから2週間が経ちました。

  新しい日常の風景を、奥さんが送ってくれました。

 こちらのお家は、延べ面積が丁度100㎡なので30坪。

 大阪市内で拘って家を建てるなら、ひとつの基準になる大きさと言えます。

 LDKの天井高は約4m。ハシゴでロフトとつながります。

 約25坪の敷地を、いかに立体的に使うかを考えました。

 長男君はこの場所でパジャマのまま朝日を浴びるのがお気に入りだそうです。

 次男君はロフトでテレビを見るのがお気に入りと。

 この場所をお父さんが狙っているという話もありますが……

 そんな寸劇も含めて、どんどん楽しいお家になって行くはずです。

 クライアントはご夫妻ですが、すでに成熟した大人です。

 反対に、お子さんはここで暮らし、成長して行く過程にあり、責任としては大きなものがあると思っています。

 話をした回数は限られていても、創り手の意思を敏感に感じとってくれることが多いのです。

 長男君が気に入ってくれた東向きのハイサイドは、減額で無くなる可能性もありました。

 私としてはここは何と死守したいと思っていたのですが、頑張った甲斐がありました(笑) 

 撮影は梅雨明け頃の予定。6月に入ったばかりですが、すでに7月が待ち遠しいのです。

文責:守谷 昌紀

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

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【News】
■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

軒が深いから「おいでよHOUSE」‐9‐勝負に行きたくなるコンセプト

 ようやく足場とシートが取れました。

 正面の塀がまだなのと、エントランスドアの養生は残っていますが、全体のフォルムが見てとれるようになりました。

 コンセプトは忠実に体現できたのではと思っています。

 モノトーンの外観とは反対に、色彩で遊んでいる空間もあります。

 1階廊下の先にあるトイレの壁は黄色。

 これまでにも何度か採用されましたが、風水的に相性が良いそうです。

 2階にもトイレがあり、洗面、浴室と繋がっています。

 浴室の並びに、リンナイの乾太くん君がやってきました。

 かなり売れているようなので、金額を裏切らない活躍を期待します(笑)

 LDKの造作家具も据え付けが終わっていました。

 私の広角レンズでも入りきらない大きさ。

 クライアントご夫妻も、「初めて見た時は、オーッってなりました」と。

 最後の最後まで形状を模索しましたが、その甲斐があったようです。

 最終の塗装が残っているので、もう少し色のトーンは落ち着くと思います。

 残るはロフトへのハシゴです。

 これもオリジナルで製作するので、かなり楽しみにしています。

 クライアントとの定例打合せは、おそらく今日で最後。オープンデスクの学生君も今日が最終日で、現場に連れて来ていました。

 打合せの終盤少し声を掛けると、「外観ってこうなっていたんですね!格好いいです!!」と言うので、「もしそう思ったなら、クライアントにお伝えしてみたら」と答えました。

 私が監督と打合せをしている間に、本当に伝えに行ったようです。その行動力やよし、です。

 どんな表現だったかは別にしても、ご自身の家を良く言って貰って嫌な気持ちになる人は居ません。

 折角良い考えが浮かんだとしても、人には第二の本能と言われるものが働きます。「もし上手く伝わらなかったら……」などというあれです。

 脳は言い訳の天才で、「行動しなければ減点はないよ」と囁いてくるのです。

 この習性を知ってから、思ったことはすぐに口にするようにしました。

 心に浮かんだ考えをすぐに口にして、皆を楽しませようとすれば、愚痴や不平不満を全て心の中から排除しなければなりません。

 完全に排除するのは難しいかもしれませんが、それを目指さなければ、全ての事をスピーディに、かつ良い結果に導くことはできないと思ったからです。

 どんな形にしても金額が同じということはないので、無難なフォルムが減点は少ないのは間違いありません。

 しかし、クライアントの幸せに直結していると感じれば勝負に行きます。

 逆の言い方をすれば、勝負に行きたくなるコンセプトがなければ、多くの選択肢の中から選んで頂いたクライアントの勇気に、お応え出来ていないと思うのです。

 その評価が分かるのは10年後くらいでしょうか。

 2人のお子さんは、上棟式以来訪れていないそうです。この家を大好きになってくれると良いのですが。 

文責:守谷 昌紀

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

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■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行に巻頭インタビュー掲載

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軒が深いから「おいでよHOUSE」‐8‐頭が良くなる家

 虫も這い出す啓蟄。

 暖かい日は暖かく、寒い日は寒く。当たり前と言えば当たり前ですが、丁度そんな時期です。

 北側の道路から見ると、外壁のサイディングが張り終わり、シートが取れるのを待つばかりです。

 2階に上がると道路側にあるのがスタディコーナー。

 手間に見えるガラスブロックはサンワカンパニーのチェコガラスを2種。

 小さな空間ですが、スタディコーナーはお子さんが勉強する際、集中しやすい環境を求めて設計した空間です。

 3、4年程前だったか、中部地方から車で初期相談に見えたご家族がいました。

 「いつも、木々が太陽に向かってまっすぐに伸びていくようなイメージで家づくりをしたいとお伝えしています。この計画において、ご家族の太陽とは何でしょうか?」という質問をしました。

 「子供の頭が良くなる家!」

 奥様から即答でした。あまりにもダイレクトで分かりやすい答えで、思わず笑ってしまったのです。

 そのご家族から、その後の連絡は無かったのですが、これは中々に遣り甲斐のあるテーマだなと思っていたのです。

 スタディコーナーからバルコニーをのぞくと、黒いサイディングが見えています。

 全体像は、もう少し楽しみにとっておきます。

 2階の奥にあるのがLDKで、南に出来る限り開口をとりました。

 左面の壁には造作家具で一面の収納をつくりますが、その上のハイサイドも効いています。

 最後の最後まで悩んでもらったキッチンの取付が終わっていました。

 上部にあるロフトとの関係は、なかなかに面白い構成になっています。

 頭が良くなるかは、本人の努力によるところが大きいでしょう。しかし、子の成長を本気で願う親の気持ち、いや気迫は必ず伝わると思います。

 ということは、「おいでよhouse」は頭がよくなる家?10年先が楽しみなのです。

文責:守谷 昌紀

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軒が深いから「おいでよHOUSE」‐6‐集中しやすい環境を!

 会社の営業日は28日(月)までとしています。

 しかし現場は29日(火)まで動いていますし、打合せも入れています。

 今日は日曜日ですし、そもそも休みって何?ということです(笑)

 現場日記は今回が最後になるのか、もう1回書けるのか微妙なところ。

 軒が深いから「おいでよHOUSE」の軒が出来上がってきました。

 細身のファサードが、軒をより引き立ててくれるのですが、デザインでこうしている訳ではありません。

 2階部分の小さな窓を室内から見るとこのような景色になります。

 ここはスタディコーナー。

 お子さんにしっかり勉強して欲しいのは、全ての親の願いです。

 「集中しやすい環境を!」と奥さまから強い要望を頂き、狭すぎず、広すぎず、開きすぎず、閉じすぎずを考えました。

 駐車場が欲しいということと合わせて、このような空間構成になりました。

 天井の高いLDKへ行くと、仮設の床ができていました。

 ベテラン大工のAさんに聞くと、「僕が一番高いところで何とか仕事ができる高さに足場を組んだんですよ」と。

 流石に若い時と同じように体は動かないと思いますが、そこは知識と経験です。

 更に工夫があれば補っておつりが来るのは間違いありません。

 クライアントの奥様が、変わったところに感心していました。

 まずは配管が「カラフル!」と。

 そして手造りの道具置場。

 「大工さんってなんでもできるんですねえ。格好いい!」と。

 ゴミ箱も合板の手造り。

 ゴミを美しく扱える人に、仕事が出来ない人はいない。

 私の持論ですが、あながち外れていないと思うのです。

 美しい現場が、美しい空間を生むのは間違いありません。

 1階を担当してくれている棟梁のMさん。実はバスフィッシングが大好きなのです。

 私が「何とか釣り納めに行きたいと思ってるんですよ」というと「この寒いのに先生も好きですねえ!」と。

 (「先生」が苦手なので「所長」と呼んで欲しいと何でも言っているのですが)

 「いえいえMさんほどでは」という、いつも通りの会話でしたが(笑)

 溌剌と仕事をしている人を見るのは、本当に気分が良いものです。

 下を向きながらの作業は仕事と呼びません。

 良い結果を出すための過程を仕事と呼ぶのです。

 加えて、仕事にはルールも答えもありません。

文責:守谷 昌紀

■■■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載

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