ようやく足場が外れました。
先週土曜日の定例打合せでは、しっかり雨が降っていました。
建築写真は晴れに限りますが、普段の暮らしにおいてなら、雨の日のほうが差が出るかもしれません。
アプローチにコンクリートの庇を設けましたが、奥もガラスの庇が連続します。
車が横付けできたり、ゆっくり傘を畳めるスペースは、雨を楽しむためには有効な空間となるはずです。
エントランスホールに入ると、目線の先には光庭。
南を向けば、LDKの先にある庭が目に入るのですが、これだけの外部を備えたケースは稀でしょう。
反対の言い方をすれば、これらの外部を活かし、取り込むためには、このプランの方向性しかないと思っていました。
この日から現場はスリッパ着用となりました。
小さな紺色のスリッパがひとつ。
監督がお子さん用に準備してくれたものでした。
大人用の健康サンダルだそうですがサイズはぴったり。
こういった気遣いの積み重ねは、必ず物創りに活かされるはずです。
床がほぼ完成したので、その長男君もようやく走り回ることができます。
退屈なはずの打合せ中、一人でも楽しそうに遊んでくれ、私としては本当に救われる思いでした。
彼に報いるには、好きになって貰える空間を創りあげるしかありません。
そんな彼と、しばらく庭に振る雨を眺めていました。
深い軒は、雨を楽しむためには何より必要なものです。
今回は90cm確保できましたが、このくらいあればそう雨は入ってきません。
軒からぽとり、ぽとりと落ちる雨だれを見ているだけで、全く飽きないものなのです。
各個室からは緑が見えますが、これは旧母屋に合わせて作られた日本庭園でした。
反対から見返すとこのような景色ですが、コンクリート打ち放しの家に合うかを親族の皆さんは気にされていたと思います。
コンクリートの原料はほぼ自然から採れたものですから、どのような庭であっても相性が良いのです。
やはり雨と言えばカエル。
こんな立派なカエルが居るのは、旧家ならではのことでしょう。
八代亜紀の歌った「雨の慕情」は1980年のヒット曲です。作詞は私も大好きな阿久悠さんでした。
雨雨ふれふれ もっとふれ
私のいいひと つれてこい
そんな人は居ませんが、雨だれを見ているとそんな気持ちになるから不思議です。
文責:守谷 昌紀
■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』を「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞
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