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松原/脳神経外科「うえだクリニック」‐9‐「働くおじさん」建築現場Ver.

 先週の土日は、医療機器の搬入でした。

 3月に工事がスタートしてから8月24日(土)、25日(日)は、常に頭の中にありました。

 CT、MRIを搬入する為には、それを受け入れる準備が終わっていなければならず、それを消費税の駆け込み需要の中で実現しなければならず……

 条件のひとつは「足場がとれている」ことでした。

 塗装はまだですが、一旦足場を撤去。そんな理由ではありますが、初めて全体像を現してくれました。

 設計者の私が言うのも何ですが、手応えは十分です。

 そうこうしているうちに、CTが到着。

 てきぱきと準備が進み。

 残してある開口部を通過。

 一番奥の部屋に納まりました。

 この日に何とか間に合わせるため、付きっきりで現場に張り付いてくれた監督、大工オールスターズには心から感謝しています。

 翌25日(日)はMRIの搬入日。

 このドーナツ状の部分で5~6tonあるそうで、大きなクレーン車が待機していました。

 精密機械であり、かなり高額な医療機器でもあり、現場の緊張感が伝わってきます。

 トラックから降ろした後は全て手作業。

 特殊なレールの上にベアリングのようなものが敷きつめられました。

 その上に、ソロリとMRIのドーナツ部が乗りました。

 道路の通行許可を警察で取っての作業ですが、出来る限る速やかに終わりたいものです。

 待合を通過。

 MRI室に入ってきました。

 レールからジャッキで下し、更にベアリングを敷きつめます。

 90度回転して、所定の位置に収まったのです。

 配管の接続などは夕方まで掛かるはずですが、私はここで会社に戻りました。

 「現場日記」は、建築の出来上がっていく過程と、現場の熱気や、面白さを伝えられたら、という気持ちで始めました。

 小学校の時に見たテレビ「働くおじさん」の建築現場Ver.です。

 「♪ 働くおじさん、働くおじさん、こ~んにちは~ ♪」

 仕事を終え、充実感を漂わせて去っていくちょっと強面のクレーンオペレーター。

 責任者の腕章を巻き、汗を浮かべながらてきぱきと動き回る輸送、搬入のリーダーは誠実タイプ。

 医療機器のメーカーの搬入責任者は、工事がスタートした時からの付き合いで、この道一筋といった職人タイプ。

 無事仕事が終わった時の、ほっとした表情は誰しも美しいものです。

 ただ、それは責任の重さに比例します。

 若い時は誰もが下っ端。

 そんな顔を見て、自ら責任を取りに行く位の気概があれば、仕事人生はとても楽しいものになるはずです。

 やまはひとつ超えましたが、後ろには連山が続いています。それが仕事というものなのです。

文責:守谷 昌紀

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松原/脳神経外科「うえだクリニック」‐8‐やま

大阪では、台風10号の影響は最小限で済みました。

外観は再びメッシュシートに覆われていますが、向かって左下、待合には大きな開口部が開いています。

MRIの搬入口として開口してあるのです。

MRI室側からみると、一直線に外が見えるのが分かりるでしょうか。

webサイトにMRIの説明がでていました。

 大きな磁石による“ 強い磁場”とFMラジオに使われているような“電波”を使って画像を得ます。そのため、MRIは放射線による被ばくがなく、小児や健常な方も安心して検査を受けることができます。 

画像の自由度も高く、非常に高度な、高価な医療機器です。

重さは7ton程あり、また電磁波をシャッタアウトするシールドの設置も必要で、建築との取り合い部も多岐にわたります。

工事が始まる前から、医療機器会社の担当者には定例打合せに参加して貰いました。

内装の色は院長と私で決めて良いとのことだったので、「緑の検査室」としたのですが、その搬入が今週末に迫ってきました。

現場の方は、壁面の施工が進んでいます。

目地処理をし。

クロスを貼っていきます。

この糊付け機が現場にやってきたら工事も終盤です。

朝来た時にはむき出しだった待合の吹抜けも、帰りにはクロスを貼り始めていました。

「やま」はその言葉とおり、最も困難な場面を指す言葉でもあります。

この「やま」を越えると、後は下り坂かと言えばそうではありませんが、一つ目の大きなやまがやってきました。

MRI搬入の当日、私ができることは何もありませんが、見に行ってこようと思います。

いくつやまが来たとしても、ひとつずつ越えて行くだけです。

飛行機もロケットも持っていないので、歩いて越えていくしかないのです。

文責:守谷 昌紀

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松原/脳神経外科「うえだクリニック」‐1‐プロローグ

 南大阪の幹線道路北側に「Uクリニック」の計画地はある。

 間口は15m程あり、日当たりもよい。

 前面道路はひっきりなしに車が往来し、駅が近いこともあって、自転車、歩行者も多い。大変に活気のある通りだ。

 3月末、土地の掘削から工事がスタートした。

 この地に木造2階建ての、クリニックを新築するのだが、本クリニックは脳神経外科・内科が標榜されている。

 院長はドイツ留学などを経て、その職能を研鑽してきた。脳に対しての高い専門性が一番の特徴である。

 設備においての特徴は、CT、レントゲン等とともに、最新鋭のMRIを備えていることだ。

 MRIは、磁石による強い磁波と電波を使って、体の断面映像を撮影するので、被ばくがなく体に優しい医療機器なのである。

 最新鋭の医療機器を導入するために、キュービクルという小さな変電所も敷地内に設ける必要がある。

 建物のコンセプトは回を改めようと思ったのは、現場を視察したからだ。

 良い診療をするためには、最先端の医療機器も必要だし、広い待合も欲しい。

 法が許容する最大の建物を計画することになり、工事車両を止める余白もない。

 しかし、建物西側にはキュービクル置場がある。

 それもギリギリで計画したのだが、職人はここに工事車両を停めるという。

 後輪の半分は、空中を通過しながらも見事に納まった。

 これも日々の研鑽の成果と言える。

 西も北も境界ギリギリ。

 東の奥もギリギリ。

 道路側もギリギリ。

 何もかもギリギリだが、数センチの精度で、ユンボを操る様を見るのはとても楽しい。

 実業の誇らしさを感じる瞬間だ。

 昨年だったか、ある映画監督がITを「虚業」と表現した。それに対し、ITの寵児が牙をむいたというニュースがあった。

 表現の自由は常にあるが、他者を非難する必要はない。ただ、気持ちとしては理解できる。

 この不器用な男たちの力仕事と技術なくして、建築という実業はなりたたないのだ。

 どんなクリニックとするのか?

 ここまでに院長とは20回程の打合せを重ねたが、コンパスは同じ方向を指していると確信している。

 その成果をこの秋に収穫するつもりである。

文責:守谷 昌紀

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