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枚方「さかたファミリー歯科クリニック」‐6‐夢の島

 「さかたファミリー歯科クリニック」は、7月21日(金)からの内覧会を控え、着々と準備が進んでいます。

 3日前に近隣へ配布されるというフライヤーが届きました。

 建物の写真とともに、僭越ながら私の写真も載せてもらっています。

 内面には、医院の紹介と院長である坂田さんの写真も。

 温厚で、かつ情熱のある先生です。

 私がクライアントを悪く言うはずはありませんが、それには理由があります。

 建築とは答えのない冒険です。

 「幸せ」という夢の島にたどり着けると思えない限り、同じ船に乗り、出港する理由がありません。

 坂田さんとならそこにたどり着けると確信し、引き受けさせていただいたのです。

 それは、この写真をみて頂ければわかってもらえると思います。

 先週は、最後の検査がありました。

 枚方市の担当職員の方が3名。

 保険所の検査だったのですが、もちろん問題なくクリア。

 これで全ての行政チェックがおわりました。

 診察室にはオープニングスタッフにより飾りつけも。

 遅れていた、間接照明の設置も終わりました。

 エントランスホールの吹抜けからは、光がさしています。

 夏とはいえ、北側からの日差しは若干優しいのです。

 来週の金、土、日には、ひとりでも多くの方に訪れ頂ければと思います。

 私たちの思い描いた夢の島を是非ご覧ください。
 

文責:守谷 昌紀

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枚方「さかたファミリー歯科クリニック」‐5‐庇にスポットライトを

 「さかたファミリー歯科クリニック」はようやく足場がとれました。

 できれば青空で見たかったところですが、梅雨入り後につきいたしかたありません。

 外観の特徴は、4段になって全体を覆う庇です。

 日本における木造建築は、軒と庇の建築と言っても過言ではありません。

 高温多湿の気候のなか、躯体である木をそれらが守ってきました。

 庇は主従の関係でいえば「従」にあたります。

 従の存在である庇を、「主」の存在にしてみたいと考えました。そこに強烈なスポットライトを当ててみたいと考えたのです。

 庇は外壁へ当たる直射を抑え、夏のエネルギー使用料を抑制してくれます。

 また、木造建築の深い軒のように、建物を守る役目も果たします。

 自生する木にとっての「葉」の役割と非常に似ています。このクリニックを一本の大木と見立てることができるのです。

 しかし内部の工事は遅れ気味。

 職人たちは、懸命に働いてくれてはいるのですが……

 7月のオープンに向けて最後の頑張りどころです。

 建築とはディティールの積み重ねです。

 間接照明が収まる部分も、美しく仕上がっています。

 この庇のディティールは、「平野西の家」、「あちこちでお茶できる家」と、積み重ねてきました。

 「あちこちでお茶できる家」の際は、先端をそろえるために少し「折れ」をつけました。

 しかし「さかたファミリー歯科クリニック」で、「折れ」は採用しませんでした。

 この庇は葉のような存在です。葉は折れていないし、少し動きがあっても構わないと考えたのです。

 建築とは夢や希望を形にしたものです。

 私たちの夢と希望が、街の人たちへ届くかどうか……

 内覧会を開催する予定なので、また告知したいと思います。

文責:守谷 昌紀

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枚方「さかたファミリー歯科クリニック」‐4‐成長できる

 今日は生憎の雨ですが、今年の5月は天候に恵まれました。

 「さかたファミリー歯科」は、幹線道路に面したクリニックです。

 車で来院される方には、5台の駐車スペースを確保しています。

 道路は敷地の北側にあり、エントランスは西向き。

 エントランスホールに入ると、受付、階段、そして広い通路に繋がっているのです。

 通路は待合を兼ねた空間になっており、左側には診察室が並びます。

 最も広い診察室にはチェアが3台入る予定。

 それらはパーティションで区切られますが、その奥には個室が2部屋あります。

 2階にも、3台のチェアを設置できるスペースがあり、最大8台のチェアが設置できる建物となっているのです。

 オープン当初は3台からのスタートなので、成長できるクリニックなのです。

 エントランスを見上げると吹抜け。

 2階ホールは、L字の大きな窓とトップライトから光が落ちてきます。

 このオープンな空間は、キッズスペースとして開放される予定。

 2階ホールの奥にある空間は、将来的には個室としてチェアが置けるように配管が準備されています。

 院長室は2畳弱の小さな空間ですが、1畳ほどの専用バルコニーをとりました。

 4畳ほどあるスタッフルームにも、南向きのバルコニーを準備しています。

 日々の仕事の中で、プライバシーが保たれた小さな外部が、心に潤いを与えてくれるのではと考えたからです。

 建築は無機物です。しかし人の愛情によって変化も成長もします。

 院長、スタッフの皆さん、そしてここを訪れる全ての人に愛されるクリニックを目指し、工事も終盤を迎えます。

文責:守谷 昌紀

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枚方「さかたファミリー歯科クリニック」‐3‐アイコン

 正面に「7月 OPEN」の横断幕がとりつけられました。

 この建物のイメージカラーは白と薄紫。

 それに合わせせて、クライアントが準備してくれたものです。

 横断幕が張られているのは、ちょうど2階の大開口部の位置。

 上品かつシンボリックな建物を目指しています。

 この敷地が台形であるがゆえ、面白い空間が生まれます。

 これは院長室の前にあるバルコニー。

 現在はブルーシートがかかっていますが、休憩時間には、ここから空が見上げられるのです。

 間接照明の真っすぐな光のラインが、斜行する壁をより明確にしてくれるはずです。

 さらに、陰影でそのフォルムを明確にするため、当初は庇をデザインしていました。

 しかし減額調整でそれらは全て中止。何とか実現できないかと、しつこく現場に相談中です。

 パソコンが普及して、アイコンという言葉がよく使われるようになりました。

 もとはイコンが語源で、ギリシャ語でイメージを指すとあります。

 一度訪れてくれた人の頭の中に、アイコンとして、像として残るようなクリニックにしたいのです。

文責:守谷 昌紀

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枚方「さかたファミリー歯科クリニック」‐3‐最後に笑う

枚方「さかたファミリー歯科クリニック」‐3‐

幹線道路に面した「さかたファミリー歯科クリニック」。

向かって左にみえる壁が、斜行しているのが分かるでしょうか。

敷地の一辺が斜めに広がっているのです。

幹線道路沿いの歯科クリニックなので、できるだけ駐車場を広くとりたいという要望がありました。

駐車場、またそれらのアプローチを確保した上で、プランをするとこのような形状になっていきました。

 

エントランスを入ってすぐのホールを見上げると、壁が斜めになっているのがよく分かります。

それらを利用して、小さいながらも、院長室、スタッフルームにも外光を取り入れる工夫をしました。

そして、これは減額案でなくなった庇。

何とか安価に、美しく作る方法がないか、監督と相談しています。

そのモックアップが上がってきました。この庇が、建物の形状を引き立てるのは間違いありません。

契約。コスト。全て理解しています。

しかし、思いで仕事をしなければ、経済効率という引き波に飲み込まれてしまうだけだとも思います。

監督の笑顔は、苦笑いか、満面の笑みか。

最後は後者になると決まっているのですが。

文責:守谷 昌紀

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枚方「さかたファミリー歯科クリニック」‐2‐上等上棟

 大安の昨日、「さかたファミリー歯科クリニック」が棟上げを迎えました。

 幹線道路沿いに建ちますが、あらためて大きなクリニックだと感じます。

 その大工工事をしきってくれる棟梁は41歳。

 脂がのりきっている感じです。

 この日は、4人のチームを指揮しての建方でした。

 正面開口部は、このクリニックの顔。

 棟梁とベテラン大工の2人が、手慣れた動きで、梁を叩き込んでいきます。

 仕事ができる人は、みていてもリズムがいい。

 それを確認するだけで、信頼できそうだなと思うのです。

 この大きな開口部は、エントランスの吹抜けに、北側の安定した光を供給してくれるはずです。

 午後4時頃、垂木を固定しているところまで見届けて、次の打合せに移動しました。

 棟梁とチームを組んでいた、ちょっとこわもてのベテラン大工。

 屋根上に声をかけると、思いもよらずはにかんだ笑顔で応えてくれました。

 自分の現場でなければ、絶対声をかけないくらいの迫力は持ち合わせていました。

 ちょっと不器用で、腕自慢が集まる現場が、私のもう1つの仕事場です。

 もし、全てロボットだけの現場になったら、違う仕事を考えます。

 やはり建築は、人がつくるから上等なのです。

文責:守谷 昌紀

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枚方「さかたファミリー歯科クリニック」‐1‐プロローグ

 1月6日(金)、無事地鎮祭を終えた「さかたファミリー歯科クリニック」。

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 枚方駅から東に延びる国道307号線と、JR片町線が交差するあたりに敷地はある。

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 敷地の面積は約300㎡。

 90坪ほどあるのだが、車社会ではこの広さは魅力になるはずだ。

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 快晴の下、地鎮祭をとりおこなった。

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 途中で大きな計画変更もあり、いつもながら、生みの苦しみとはこうまで厳しいものかと思う。

 しかし、完成した時には全てがストーリーとなるはずだ。

 この医院のコンセプトは「さかたファミリー歯科クリニック」という名称が全て表している。

 「家族で来院して頂き、家族として接するクリニック」

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 「家族として接する」という言葉を聞くまで、「ファミリー」が入る本当の意味を、私が分かっていなかった。

 医療とは最もシンプルな社会貢献の1つである。

 そこに、どれだけ心を込めるかで、全く別次元の行為となるのだと思う。

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 そこに建築がすこしでも貢献できればこれ程嬉しいことはない。

 家族で。

 家族として。

 キーワードはやはりファミリーなのである。

文責:守谷 昌紀

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