「さかたファミリー歯科クリニック」はようやく足場がとれました。
できれば青空で見たかったところですが、梅雨入り後につきいたしかたありません。
外観の特徴は、4段になって全体を覆う庇です。
日本における木造建築は、軒と庇の建築と言っても過言ではありません。
高温多湿の気候のなか、躯体である木をそれらが守ってきました。
庇は主従の関係でいえば「従」にあたります。
従の存在である庇を、「主」の存在にしてみたいと考えました。そこに強烈なスポットライトを当ててみたいと考えたのです。
庇は外壁へ当たる直射を抑え、夏のエネルギー使用料を抑制してくれます。
また、木造建築の深い軒のように、建物を守る役目も果たします。
自生する木にとっての「葉」の役割と非常に似ています。このクリニックを一本の大木と見立てることができるのです。
しかし内部の工事は遅れ気味。
職人たちは、懸命に働いてくれてはいるのですが……
7月のオープンに向けて最後の頑張りどころです。
建築とはディティールの積み重ねです。
間接照明が収まる部分も、美しく仕上がっています。
この庇のディティールは、「平野西の家」、「あちこちでお茶できる家」と、積み重ねてきました。
「あちこちでお茶できる家」の際は、先端をそろえるために少し「折れ」をつけました。
しかし「さかたファミリー歯科クリニック」で、「折れ」は採用しませんでした。
この庇は葉のような存在です。葉は折れていないし、少し動きがあっても構わないと考えたのです。
建築とは夢や希望を形にしたものです。
私たちの夢と希望が、街の人たちへ届くかどうか……
内覧会を開催する予定なので、また告知したいと思います。
文責:守谷 昌紀