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四代住み継ぐ「薪ストーブのある入母屋の家〈リノベーション〉」‐3‐思い出にとらわれず、ベストのプランを模索する

【本計画は、完成後の現場日記公開です。今回は2021年2月16日時点の記事です。】

冬の快晴。

空気が冷たく、ピリッと身が引き締まる思いがするものです。

こちらの計画はかなり大規模なフルリノベーションで、大工チームも常時3、4人が仕事をしています。

リノベーションは、古い構造体と新たな構造体で奏でる、新たなシンフォニー。

面白くないはずがありません。

ここは元キッチンがあったところ。

ここは元浴室だったところ。

それらの痕跡や思い出にとらわれず、ベストのプランを模索するのが私の仕事です。

この複雑な梁組は、匠の技があってこそ。

ドリルが柱に深く刺さった状態で一旦休憩です。

再トライは気合十分。

技だけでなく、力も必要でした。

横で見ているだけで力が入るのです。

現場とアトリエの往復が私の日常ですが、リノベーションは出だしから見せ場満載です。

ながい航海のプランを建てるのが私の仕事ですが、ゴールの景色が描けていなければそこに至ることあはありません。

私のキャリアの中でも、戸建てとしては最大規模のこの計画。

そのの景色が、像となってくっきりと浮かび上がってくるのです。


文責:守谷 昌紀

■■■「コンクリート打放し H型プランの平屋」 ■■■
9月20日(祝・月) 11:00~15:00 オープンハウス開催

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【News】

■■■ 『建築家・守谷昌紀TV』を開設しました ■■■

■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載

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四代住み継ぐ「薪ストーブのある入母屋の家〈リノベーション〉」‐2‐進化と雰囲気、どちらが大事

【本計画は、完成後の現場日記公開です。今回は2021年1月12日時点の記事です。】

工事はスタートしたのですが、庭の解体撤去、工事の許可などに時間が掛かってしまいました。

特に大きな石垣の撤去はかなりの難工事に。あっという間に2021年がスタートしました。

年始初の現場は、瓦屋根に雪が少し残っていました。

内部解体はどんどん進んでいます。

基本は手ばらし。

寒い中、汗をかいてくれる職人が居てくれるので、リノベーションが成り立つのです。

10日後にくると、ほぼ解体が完了していました。

景色がダイナミックに変化していくのは、フルリノベーションならでは。

およそ60年前の痕跡が次々にみえてきます。

土壁もしっかりしたもの。

地面も乾燥していて、環境は非常に良好といえます。

この時代の屋根下地は、バラ板であることが殆どです。

木のスライスを何層も貼り付けて平板状にしたものが構造用合板です。

建築材料の進化によって生まれた構造用合板は、強度も強く工事の精度も高いのです。


しかし、バラ板から漏れる光はさながら木漏れ日のよう。

進化と雰囲気。

どちらも大切ですが、明確に説明できないからこそ大切なものもあると思うのです。

文責:守谷 昌紀

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■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』を「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞■■■  

■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀(著)

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四代住み継ぐ「薪ストーブのある入母屋の家〈リノベーション〉」‐1‐プロローグ

【本計画は、完成後の現場日記公開です。今回は2020年9月15日時点の記事です。】

区画のゆったりした閑静な住宅街。

昭和37年頃に開発された地域で、建物もその時期に新築された。

南にある庭もよく手入れされ、住まい手の愛着が伝わってくる。

各部屋は、建物中央に伸びる廊下の南北に配置されていた。

南の部屋で、最も玄関に近いのが応接間。

この年代の家なら、応接間がもっとも環境の良い位置にあることが殆どだ。

応接間の西に並ぶ和室も、同じく南面しており条件がよい。

最近までは主だった住人が居らずで、親族が集まった際の子供の遊び場となっていたそうだ。

和室の北に繋がるのがダイニング。

屋根の北面にトップライトがある。

当時としてはかなり思い切った試みだったと思う。

家族で暮らしていたクライアントは、「あまり暗いと感じたことはありません」とのことだった。

祖母、両親、そして本人が暮らした、築58年の日本家屋を撤去して建て直すという選択と、フルリノベーションという選択があった。

結果として、フルリノベーションとなった理由は色々あるが、「愛着」が一番大きかったのだと思う。

形状はそのままに、まずエントランス位置を反転させた。

それに伴って動線が大きく変わるが、それが劇的に景色を変えてくれるはずだ。

主だった部屋は全て南の庭に開き、かつ動線にも光を落とすことを考えた。

リビングの一角には薪ストーブがある。

高性能の機種で、炎がゆらぐ風景と共に暖房器具としての期待も高い。

これまで何度もトライしたのだが、ようやく実現できることに私がワクワクしている。

活躍の時期はもちろん冬。その時期までの完成は少し難しいだろうか……

既存ストックの活用が叫ばれるが、現実的にはそこまで加速している感はない。

理由は非常に簡単。

既存建物を解体し、新築するほうがビジネスとしてリスクが少ないからだ。

そこは物創りに一生を捧げた50歳の建築家と、63歳の監督の意地を見せたいと思う。

物と人を愛することが、物創りの原点のはずだから……

四代に渡って住み継がれる、住み継ぎたいと思って貰えるものにしたいと思う。

規模としてはかなり大きなリノベーションだが、桜が咲く頃までには完成させたいと思う。

文責:守谷 昌紀

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞 

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■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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