2019年の現場日記は「住吉区歯科医師会館」からスタートです。
昨日の14日は、成人の日を祝うかのような青空でした。
人気のない現場に入れるのは、設計者の特権かもしれません。
静かな現場を、ゆっくり回るのは楽しい時間です。
年末の建方工事を終え、床版となるデッキプレートの設置が終わっていました。
この館のプランを創り上げていった過程は、第1回目に触れました。
キーとなった空間は大会議室ですが、それらを法的にも可能としたのが、右奥にある3つのトップライトです。
階段は広めに設定していますが、2階はどちらかと言えばオフィス的な空間です。
それらの空間に対しても、光庭に対して窓を設けることで、採光を確保しています。
その床面にトップライトを設けているので、2倍の価値があると言えるのです。
デッキプレートの上にはワイヤーメッシュという鉄筋を敷設します。
これらはコンクリートの中に埋もれるのですが、デッキプレートと接してしまうとその性能を発揮できません。
よって、少し浮かした位置にセパレーターという部材で固定するのです。
屋上のワイヤーメッシュも敷設が終わっていました。
この2度美味しい光庭ですが、建物の中に外部があるとも言えるので、形状としてはかなり複雑です。
元は3階建てだったのですが、法規の改正で3階建てが不可能であることが分かりました。
「光と風」は私にとって変わらぬテーマですが、建築は人が使うものである以上、全ての設計者にとって永遠のテーマとも言えます。
側面からの開口で光と風が十分取り込めれば理想ですが、それが難しいとなったとき、何かしらの案を練らなければなりません。
そういう意味においては、光庭とトップライトは苦肉の策とも言えます。
どれだけ暗いと言っても、天空が塞がれることはありません。
太陽は誰のもとにも、平等に降り注ぐのです。
これは階段を固定している部分です。
大工でなければ出来ないような細工を、防火性能を満たすために鉄のプレートを溶接し固定します。
こんな詳細部の集合体が建築です。
よって、近代建築の三大巨匠、ミース・ファン・デル・ローエは「神は細部に宿る」と言ったのです。
神様が応援してくれるよう、細部にこそ手を抜かず、今年も1年物創りに励みたいと思います。
文責:守谷 昌紀
■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
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