カテゴリー別アーカイブ: C29 「Shabby House」

「Shabby House」-20-引越し前

17日の月曜日に引越しを控える「Shabby House」。

いよいよ大詰めですが、まだ現場はバタバタしています。

酒部屋の畳もはいり、もう一息なのですが。

ダイニング横のアンティーク家具。

何とか収まりました。

本日は日取りが良いということで、お米やお札をひとまずこの地位に。

ご両親が氏神様へ、お参りに行き、頂いてきたものです。

ナンテンは「難」を「転」じるで、鬼門に置かれることになります。

ダイニング横の手洗いは、モザイクタイルで貼られています。

階段の手摺もディティールにこだわりました。

これは鉄工所でまげてもらいまいした。

何事も、たら、れば、は無です。

もう少し、全てを前倒しにできたら……

施工会社と私たちの課題です。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm
守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

「Shabby House」-19-施主支給

成人の日は快晴。若者達にはこれ以上ない門出になりました。

朝からクライアントと打合せでしたが、放射冷却で現場は本当に寒いのです。

webが一般的になり、施主支給の可能性が無限に広がりました。

その中でも、今回の主役級が登場しました。

元は南仏で実際に使われていた、木製のアンティークドア。

奥さんが直接、静岡のショップまで見に行っての購入品です。

玄関扉として使うのですが、深い緑色は存在感十分。

細かな細工も、手が掛かっています。

本物は本物を邪魔しません。

まだ付いていませんが……

特注のポストも届きました。

これがとても重い。いい色です。

施主支給ではありませんが、アプローチのレンガが敷き詰められました。

深目地に土をいれ、将来的には下草をイメージしています。

前回も取り上げた酒部屋の躙り口。

お気に入りの酒蔵を回るのを楽しみにしているクライアントが、静かにお酒をたしなむ部屋。

それが酒部屋なのです。

大工さんと「躙り具合」を検討しました。

和室は大工さんの力量が存分に発揮さてる場所なのです。

寒い中、家族皆さんで、現場に来て貰いました。

実は引っ越しまであと1週間。最後の最後まで工事は続くかもしれません。

帰り際、監督にはっぱを掛けてきました。

「監督が必ず何とかすると思っていたら、必ず何とかなるから」

必ず何とかなると思っています。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm
守谷昌紀のゲツモク日記
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「Shabby House」-18-仕事始め

年が明け、現場では年始の挨拶もそこそこに、工事が始まっています。

現場の仕事始めは1月5日でしたが、翌日にクライアントと訪れました。

この日の大阪は寒いのなんの。

打合せは朝からでしたが、昼が近づいても気温は上がらず、帰る頃にはつま先の感覚が無くなるほど。

しかし現場のほうは大工さんも増え、いよいよ追い込みの活気が出てきました。

衛生機器も据え付けられだし、家としての顔が見えてきます。

洗面のカランは真ちゅう製で、とても良い感じ。

酒部屋の躙り口は高さ80cm。ここに入る人は、みな頭を垂れます。

その姿を美しいと感じれる感性こそが、日本が世界に誇るべきものなのかもしれません。

中では大工さんが床組の下地を作っていましたが、入るときにはみな謙虚になるのです。

深い茶色のレンガに、白いスチールの上げ下げ窓。

外観のイメージが出来た時には、ワクワクしたものです。いよいよ現実となりました。

愛おしい建物になると、確信しています。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm
守谷昌紀のゲツモク日記
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「Shabby House」-17-レンガ三様

 「Shabby House」は色々な素材が使われています。

 レンガやタイルも多く使われていますが、最も特徴的なのは外壁です。

 外部足場がようやく外れました。

 リビングの飾り棚の上部は、大判のタイル。

 エントランスを入ってすぐの飾り壁は、古レンガを使っています。 

 レンガやタイルは職人が、一枚一枚手作業で仕上げるもの。
 
 やはり手の跡が残り、味わいがあります。

 一般的なクロス貼りと比べると、10倍くらいの費用が掛かります。

 それに値するよう、どこに、どのくらいの面積を貼るのか、慎重に考える必要があります。

 子供部屋の腰壁は杉板にペンキ塗りです。

 コンセプトにあるのは、パリのアパルトメントですが、この部屋はイギリスっぽい感じになったかもしれません。

 予定を大きく遅れ、竣工を年明けに持ち越してしまいました。

 本当に申し訳なく思いますが、それを払拭するには、良い建物にする以外にありません。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「Shabby House」-16-家具の順番

新築の場合、どうしても優先順位が後ろになるのが家具。

建物と一体でなないテーブルや椅子などは、真っ先に減額対象となってしまいます。もちろん予算は決まっているので、竣工時から納得できるものにそろえるのは至難の業と言えます。

3階の子供部屋は、お子さんがまだ小さいこともあり、机は将来に持越しとなりました。

しかし床は、最もこだわった材です。

2階のLDKには、こだわりの家具が3点あります。

前回書いた、ダイニング横の飾り棚。

隣り合うリビングにも、名古屋のこだわりの家具屋さんから届いたものが1つ。

取手も感じが出ています。

もう1つこだわりの家具がダイニングのテーブル。

引出しのついたもので、この家の中心にくるものなのです。

竣工した瞬間からから、洗練された空間になると思います。

では何故これらが実現できたか。

常に全体の金額を把握する、クライアントの綿密な予算計画につきます。

その為に、土地探しの段階からコンサルタントと契約、サポートを受けていたのです。

加えて、とても単純ですが、その優先順位が高かったからに他なりません。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「Shabby House」-15-階段

終盤になってくると、塗装部は色を決定しなければなりません。

意外と難しいのが軒天の色。

軒天とは、外部にある天井部分を言います。

外部で直接光の当たらない天井部は、明るめの色が無難です。

しかし玄関先の軒天は、外壁を追いかけることにしました。

2階にはキッチン、造り付けの家具が据え付けられ、ダイニングらしくなってきました。

名古屋の家具屋さんで造られ、送られて来た造り付けの家具。

エイジング加工がなされています。

出来上がった日から、年代物の風合いを持っているのです。

たったの一つも、こだわりのないものなどありませんが、床材も精査に精査を重ねまた。

階段が取り付くと、上下の動きが出てきます。

それだけに、階段というのはとても重要で、繊細な部分です。

公共建築のように、広さの制限がなければ違うかもしれませんが、市内に建つ住宅に、無駄に出来るスペースなどありません

しかも快適に美しく。

例えば階段の壁に付く照明。

昇り降りの邪魔にならず、電球を替えられなければなりません。

その2つの候補が右手と左手。

とても原始的な方法ですが、これが一番確実です。

事務所内で基準値は持っていますが、クライアントの身長、誰が交換するかによって、微妙に変化します。

高い位置のときは、ご主人の仕事になったのかもしれません。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「Shabby House」-14-内からと外から

 現場は事務所から4km弱のところにあります。自転車で向かえば25分くらい。

 今日は10:00amから打合せでしたが、ひとつ準備に手間取ったものがあり、事務所を出たのが9:45am。

 全速力で迎えば何とかなると思ったのですが、4分遅れてしまいました。

 現場に着くとクライアントとスタッフで打合せはスタートしていました。

 遅刻は絶対駄目で恥ずべきこと。まずはお詫びからです。

 もうひとつ加えるなら、あれだけ急いでも(ほぼ全て立ちこぎ)6分しか短縮できないのだと分りました。

 何でも早めの行動が必須です。

 いくつか課題はありましたが、ひとつはルーバーのデザイン。

 シートを剥がし、監督に模型を持ってもらい、外部からの目隠し機能を確認です。

 これはOK。

 続いて内部から。

 明るい方を見ると随分印象が変わります。

 目隠し機能を確保しつつ、内から欲しいのは採光。

 模型はダンボールなので、厚みが5mm。

 実際は15mmなので、それも加味して寸法、角度を決定しました。

 少し行くと大きな池があります。

 外周がウォーキングコースになっていて、今は紅葉の中を歩く感じ。

 晴れた日は、横を通るだけでも得をした気分になれます。

 日々の仕事、日々の暮らしの中に、どれだけ楽しみを見つけられるか。

 それがとても大切だと思うのです。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「Shabby House」-13-素焼きレンガ

 外壁のレンガ貼りが進んでいます。

 最上部、コーナー部から貼り進めて行きます。

 面が構成されると、随分迫力が出てきました。

 振動を与えながら圧着しますが、全てを貼り終えると、今度は目地を埋めます。

 このレンガは厚みがあるので、目地底が深くなるようリクエストしました。

 そのほうが、より質感が伝わるのです。

 リビング・ダイニングのある2階は、奥がキッチン。

 部材が届き、ごった返していますが、追い込みの感じがでてきました。

 近くにある路面電車の駅は、撮影にも使われるようです。

 静かな街に、よく似合います。

 街この家があると、どんな風景になるのか。

 それを思いながらここまで計画を進めて来ました。

文責:守谷 昌紀
建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「Shabby House」-12-スチールサッシ取付け

11月も後半に入り、現場はかなり寒くなってきました。クライアントと現場で打合せでしたが、ご主人はいつも薄着なのです。

ある人に、厚着しすぎると人本来の強さを損ない、基礎体温が下がってしまうと聞きました。

これは納得できるので、私はちょっと反省しています。

レンガの下地に続いて、スチールサッシが付き始めました。

木造用サッシは柱、間柱、マグサなどに付けますが、スチールサッシは丸鋼に溶接します。

レーザーの水平機で、垂直を調整しながらの作業。

建築現場では垂直のことを「立ち」、垂直を「矩手(かねて)」と言います。

屋上をのぞくと、まさに夕日が沈むところ。

寒く、暑く、埃っぽかったりしますが、やはり現場には何かがあります。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「Shabby House」-11-設備位置と家具

スイッチやコンセントの位置確認が終わった「Shabby House」。

アルミ製サッシの枠もつき、空間の大枠が出来上がって来ました。

設備関係の位置決めは、現場で型紙を貼るのにこだわっています。

壁が出来上がったあとに、決定出来ればよいのですが、設備の配線は壁を閉じる前に済ませる必要があります。

それで、どうしてもこのタイミングになるのです。

この方法を取り入れてからか、完璧とは言えないまでも、かなり精度が上がったと思います。

それでも出来上がってみないと分からないのが空間で、そこが面白くもあり、難しいところ。

正面はは素焼きのレンガ貼りで、下地の準備が進んでいます。

このレンガも粗面にこだわりました。先日このメーカーに寄ってきました。

大阪市役所のすぐ北、大江橋の北にある大江ビルというレトロな建物に入居しているのです。

社長とは初めて会ったのですが、商品と人物がかぶるほど、素朴な人で立ち寄って良かったと思えたのです。

現場は、内部仕上げから家具工事へと移って行きますが、家具は数点が名古屋の家具会社が制作したものを建築工事で取り付けます。

その家具は、非常に造りこまれており、クライアントが大変に気に入っているのです。その出来上がりは流石のものでした。

高価な一点ものなので、取り付けの失敗は許されません。正直言えば出来れば避けたいところかもしれません。

しかし、それを超えて行くことで私達、施工会社の存在価値があると思うのです。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm