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「ときめく紺色の家〈リノベーション〉」景色というびっくり玉手箱‐9‐

 5月も残すところ2日になりました。

 他府県への移動解禁が先か、梅雨入りが先か気をもんでいましたが何とか間に合ったようです。

 できれば来週末まで待って貰えると嬉しいのですが。

 昨日は雲一つない快晴で、生駒山へ伸びる道も気分爽快です。

 足場がとれ、建物の色や形が一層よく分かるようになりました。

 昼以降が良いのが、西を向く建物の特徴です。

 玄関前の庇は柱を無しとしました。

 これは現場で監督と棟梁から提案があり変更になったもの。

 その技と経験がいかんなく発揮されている所なのです。

 1階奥にある洋室は、隣の庭を借景としています。

 そして、奥さんが最後まで拘ったガラス棚があります。

 何を置くかは、もう少し先まで引っ張りたいと思います。

 2階へLDKを上げ、大空間を確保したのですが、空へ向かって開くハイサイドが特に良いのです。

 南隣の瓦屋根から反射した光が、天井に光を届けているのが伝わるでしょうか。

 ご夫妻、監督と「ここからの眺めはいいねえ」としばし佇んでいる、の構図です。

 景色の良さが、写真ではなかなか伝わらないのが私のジレンマですが。

 東面の窓は高さは通常とし、L字に視界が広がるように配置しました。

 柱があるので、完全なコーナーFIX窓ではありませんが「ほぼコーナーFIX窓」といったところでしょうか。

 遠くに生駒山地、二上山を望み、こちらの景色も素晴らしい。

 ある程度は計算していますが、結局は足場とシートが取れるまで分からない、びっくり玉手箱です。

 今回「も」、お宝がでてきました。

 良いことばかり書きましたが、ひとつやってしまったこともあります。

 キッチン横の階段へ光を落とす開口を、減額作業で無くしました。

 奥さんから「この時点で爆弾発言してもいいですか?」と前置きを貰ってから、「今から階段に窓なんか付けられないですよね」と。

 泣く泣く減額したとはいえ、もしかすると光が足りないかもと思っていたので、「外壁の窓は難しいですが、室内窓なら何とかできると思います」とお伝えしました。

 追加費用を最小とする方法を監督と考え、その金額も納得頂き、実現に至ったのです。

 20代の頃は現場が怖い時もありました。

 「何か言われたらどうしよう」ということですが、40歳手前くらからは面の皮が厚くなったのか、そう思わなってきました。

 何があったとしても、切腹まで求められることはありませんし、問題があったとしたら、良くなる方法を全力で考えるだけと腹をくくったこともあると思います。

 人の仕事に完璧はないとも言えます。しかし、家という驚く程高価なものを、「まあまあ」で納得してくれる人は居ません。

 少なくとも、私のクライアントには居ませんでした。

 ということは不可能とも言える完璧を目指すしかないのです。

 現場打合せでは、いつもトップギアに入れ替えます。

 ここはクライアントと監督と私達で創り上げる劇の舞台。そろそろ最終章に差し掛かってきました。

文責:守谷 昌紀

■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行
巻頭インタビューが掲載されました

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「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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