タグ別アーカイブ: 待合

松原/脳神経外科「うえだクリニック」‐7‐クリニックに血管が通う

 現場に向かう際、前の車が香川ナンバーでした。

 大阪に帰省中なのでしょうか。

 母の郷が香川で、夏休みは祖母のもとで過ごしたものです。

 台風は四国、広島を通過したようで、大きな被害とならなければ良いのですが。

 現場も台風対策で、養生シートの上部がめくられています。

 そのお陰といって良いのか、2階部分にある、3つのへこみが見てとれました。

 左右はサービスバルコニーで、中央にはルーバーが入ります。その後ろに、大きなFIX窓が少し見えます。

 フェンスの切れ目から建物内に入ると左が待合。

 足場、材料で一杯になっていますが、かなり大きな吹抜け空間です。

 2階部は、バックヤードにある階段からのみのアプローチ。

 これが、外から見ると中央にあるFIX窓。

 右手には、吹抜けを見下ろすキャットウォークのような部分があります。

 FIX窓前の外部。

 キャットウォーク、そして外部と繋がります。

 このプラスアルファの空間が、外からも、内からも、このクリニックの印象を決定づけてくれるはずです。

 吹抜けは気持ちが良いのですが、工事は正直大変です。

 足場の上で石膏ボードを張っているところでした。

 こちらは診察室。

 石膏ボードを張る前に、配線、配管は済ませる必要があります。

 クリニックのネットワークを繋ぐLAN配線は、CD管と言われる保護管の中を通っています。

 それが一箇所に集められるのですが、まさにここは心臓部。

 建物中を血管や神経が巡っているからこそ、クリニックとして機能する訳です。

 現場には、監督をはじめ10人以上の職人がいたでしょうか。

 お盆期間にも関わらず、かつ蒸し風呂のような暑さのなか、工事はまさに佳境に入っています。

 最も工事が進んでいるのがMRI室。

 この部屋内は大手医療メーカーの担当で、流石に工程通りに進んでいます。

 仕事は、画家でもない限り基本コラボレーションです。

 皆がそれぞれの能力を十分発揮してくれた時、単価以上の仕事になるはずです。

 人間ですから、世間が休みなら、心情的には休みたいでしょう。

 人は最も充実していた時間は?と聞かれると、多くの人は、一番大変だった時と答えるそうです。

 暑い中、本当にご苦労様です。

 しかし今、最も充実した時間を過ごしているとも言えます。

 大変→充実→幸せ

 この三段論法には、一点の隙もないのです。

文責:守谷 昌紀

■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』7月721(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
■■■『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
■『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました
大阪ガス『住まう』11月22日発行に「中庭のある無垢な珪藻土の家」掲載
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

松原/脳神経外科「うえだクリニック」‐2‐小さなトップライト2つ

 暑い、熱い4月後半になりました。

 現場では、型枠大工が3名。

 汗を流しながら基礎の立ち上がり部を組み上げています。

 親方は50歳中頃でしょうか。

 若者2人を含めて3名のチームですが、1人はもしかすると10代かもしれません。

 若者の現場離れが進む中、1人でも居てくれると嬉しいですし、一声掛けたくなります。

 「是非またウチの現場にきてよ」と伝えました。

 当然ですが、建物は地面に近いところからでき上がって行きます。

 スポーツでも足腰が大切なように、基礎がしっかりしていなければ、地震に耐えられるはずもありません。

 整理整頓がされた現場に、悪い仕事があることはないのです。

 基礎を見れば、敷地一杯だということと、細かい間仕切壁が沢山あることが分かります。

 クリニックという性格上、多くの機能=部屋が必要になってくるのです。

 その中でも、中枢部であり、かつ司令塔となるのが診察室です。

 経験上ですが、院長は自らの診察に適した空間の大きさをよく把握しています。

 かなりの時間をこの空間で働くので、少し大きめの、ゆったりとした空間を提案するのですが、ジャストサイズを指示して貰うことが殆ど。

 人気のクリニックなら、ナースがテキパキと動いている姿を思い浮かべることが出来ると思います。

 無用に大きい空間では、動きに無駄がでてしまい、診察の質が落ちてしまいかねないのです。

 その空間を少しでも快適にしたいと思い、ある提案をしてみました。

 反対に、待合室はゆったりと大きく確保しています。

 南面のもっともよいエリアを贅沢に使い、吹抜けとしました。

 高い位置にある正面のルーバー越しに、かつ側面から、柔らかい光を取り込むことに注力しています。

 2つある診察室には、小さなトップライトを提案しました。

 模型を俯瞰した写真が分かりやすいでしょうか。

 様々な患者さんが来院するので、明るすぎるのも問題となりえます。

 よって、その光を止めれるような機能を持たせ、望遠鏡のような長いストロークをとりました。

 これによって、より間接光に近いものとなるのです。

 地域の皆さんに長く愛される医院を目指します。

 その為にはここで働く皆さんに、この建物、この空間を好きになって貰わなければなりません。

 そんな大それたことが出来るのかは分かりません。

 それでも目指さなければ、現実となることはないはずです。

 この小さなトップライト2つに、創り手としての気持ちを込めたつもりなのです。

文責:守谷 昌紀

■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』4月7日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
■■■『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました
大阪ガス『住まう』11月22日発行に「中庭のある無垢な珪藻土の家」掲載
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記