タグ別アーカイブ: コンクリート

永住したい打ち放しのマンション「R GREY」‐10‐自分の顔に責任を

 足場の解体が始まりました。

 シートを外し、1日がかりで撤去します。

 今日、ようやく全ての足場がなくなりました。

 「R Grey」の名の通り、全てがグレー。

 階段ホールもグレー一色です。

 余談ですが、2、3階のガラスは、コストダウンのため父に施工してもらいました。

 コンクリート打ち放しは、いわば1点ものです。

 均一こそが現代技術とするなら、反対項にあると言えるかもしれません。

 建物の正面をフランス語で「ファサード」といいます。これは英語のフェイスと語源をともにするそうです。

 人を見掛けだけで判断してはなりませんが、髪も切らず、顔も洗わない人を好きな人はいません。

 また、リンカーンが「40歳を過ぎれば自分の顔に責任をもて」といった通り、大人にとっては言い訳無用なのです。

 住まい手が帰宅したとき、日々わずかでも「ここでよかった」と思ってもらえるような、秩序ある清潔なファサードを目指しました。

 この建物が好きな人が、ここで暮らしてくれたら……

 創り手にとって、これほど嬉しいことはありません。

 現在、3階は埋まったようです。引き続き、多くの人が見にきてくれればと思うのです。

101号室 LDK北向き
101号室 ダイニング 101号室 リビング
101号室 キッチン
101号室 寝室
101号室 洗面
101号室 浴室
101号室 玄関

文責:守谷 昌紀

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永住したい打ち放しのマンション「R Grey」‐5‐コンクリート打ち放しの本当の魅力

 「平野西アパートメントハウス」は、全てのコンクリート打設が終わりました。

 強度が十分にでているということで、概ね型枠が取り払われました。

 1階から順に、内装工事がスタートしています。

 2階、3階と階を登っていくイメージ。

 各住戸の壁は、断熱材が吹き付けられるので、残念ながらコンクリートは見えません。

 しかし、天井面は全てコンクリート打ち放しのまま。

 また、外観、階段ホールは全てコンクリート打ち放しです。

 では、なぜコンクリート打ち放しに拘るのか。

 先日「高台の家」へ、内観の撮影にいったのですが、ほぼ一日滞在させてもらいました。

 変な話ですが、トイレを借りた際、「やっぱり打ち放しはいいな」と思ったのです。

 実写映画の背景を意識することは少なくても、アニメの背景を意識することは結構あります。

 例えて言うなら、それが打ち放しの魅力でしょうか。

 工業製品でなく、手作りの壁や天井は見ていて飽きないのです。

 「高台の家」のご主人は、学生時代を沖縄で過ごしましたが、その際のマンションがコンクリート打ち放しでした。

 壁に光が当たるさまをみて、その美しさを知ったといいます。

 寝室でうとうとと眠りにつこうとするとき、天井に目がいきます。

 そんな時に打ち放しの魅力が最も伝わるはず……

 9月からの入居開始ですが、ご希望の方はお知らせ下さい。

文責:守谷 昌紀

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永住したい打ち放しのマンション「R Grey」‐4‐コンクリート打ちは祭り

 ここのところ天気も安定しています。

 「平野西アパートメントハウス」も、順調に工事が進んでいます。

 現場が会社の隣にも拘わらず、1階の打設には立ち会えませんでした。

 2階の打設は何とか立ち会うことができました。

 これは足場からの景色ですが、まずはミキサー車がポンプ車に横づけします。

 ミキサー車がポンプ車にコンクリートを供給。

 そして階上までポンプアップし、各階の床やその下にある壁に打設していきます。

 これだけの人数でおこなうチーム作業なのです。

 打設するさい、隙間ができないようにバブレーターをその中に突っ込み、振動を与えます。

 そしてならす。

 さら押さえる。

 それを2時頃まで繰り返すのです。

 生コンの品質もその場でサンプルをとり、検査します。

 プリンが横に広がり過ぎたら、柔らかすぎるということでNG。

 もちろんクリアです。

 ある監督が、「コンクリート打設は祭りみたいなもんですわ」と言っていました。

 省エネルギーよろしく、省人件費の時代。

 これだけ人が集まるのは、祭りかコンクリート打ちの日くらいかもしれません。

文責:守谷 昌紀

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永住したい打ち放しのマンション「R Grey」‐2‐型枠講座

 基礎が打設され、壁の型枠工事が始まりました。

 鉄筋コンクリートの建物は、硬いプリンをつくるようなものです。

 型枠とはプリンを入れるカップのようなものと考えると分かりやすいでしょうか。

 躯体が出来あがっていく流れを簡単に説明してみます。

 鉄筋コンクリートは、文字通り中に鉄筋が入っているので、内側の型枠でカップを塞いでしまう前に鉄筋を組み上げていきます。

 難易度が高いのが、窓や庇などの部分。

 特に庇は、カップに穴があいているような状態になっています。

 プリンの原液を流し込むと、当然その穴から噴き出してきます。

 コンクリートが時間とともに硬化する性質を利用して、噴き出してくるコンクリートをコテで押さえ付けるのです。

 いかに手作りなプリンかが分かってもらえるでしょうか。

 また、コンクリートはプリント違って、かなりの重さがあります。

 その側圧に耐えるため、型枠は鋼管で支えられています。

 正しい壁の厚みを保持するため、プリンの中ではセパレーターという鉄の棒によって、内外の型枠が固定されるのです。

 横60cm、建て45cmで、このセパレーターをレイアウトしています。

 完全に硬化が終わったあと、型枠を外した段階では、セパレーターの先端の白い樹脂部分が、コンクリートに埋まった状態で残っています。

 この部分をPコーン(通称ピーコン)といいます。

 樹脂性になっているのは、後でコンクリート内から取り出しやすいからです。 

 外部においては、このPコン跡のくぼみは雨漏りの原因になるので、モルタルで埋めてしまいます。

 外壁から5mmの面落ちで仕上げますが、パネルの継ぎ目とこのわずかな陰影が、コンクリート打ち放しの表情を決定付けるのです。

 建築設計と料理は本当に似ていると思います。

 コンクリトー打放しは、手作りプリンとかなり近しいのです。

文責:守谷 昌紀

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