「中庭のある無垢な珪藻土の家」‐8‐「リスク」か「 可能性」か

月末の引っ越しまで10日をきりました。

現場は、壁仕上げに入っています。

この計画はタイトルにあるとおり、壁は珪藻土塗。

これらは全て左官職人の手で塗りあげられます。

くるっとコテの上にネタを乗せる動きは、やはり職人技。

まずは大きなコテで塗り付けます。

そして、場所にあったコテに持ち替え、仕上げていくのです。


これは、壁と壁が90度でぶつかってくる入隅(いりすみ)を塗るコテ。

出隅(ですみ)なら逆形状のコテを使います。

昔は「ペンキ塗り立て」などの看板をよくみました。

しかし最近では、人の手が出来を左右する仕上げは減る一方なのです。

タイル工事もその部類に入るでしょうか。

洗面台もいい感じに仕上がってきました。

これはマグネットが付く塗料で塗られた子供部屋の壁。

塗料に砂鉄が含まれています。

これらは左官工事と似ていますが、タイル工事、塗装工事と、全て別の業種なのです。

ご夫妻と内部を回りますが、壁をみるだけでも楽しそうです。

自然素材の中で暮らしたいという強い思いが、無垢の床、珪藻土の壁を実現するに至りました。

建物に入った時、いわゆる新築の家の匂いはしません。土の匂いというか、非常に優しいのです。

左官工事、タイル工事、塗装工事と人の手が出来を左右すると書きました。

建築家との家創りも全く同じです。自由がゆえ、互いの考え方がその成否に大きく影響を与えます。

それらをリスクと呼ぶのか、可能性と呼ぶのか。

「可能性」と思った人とだけ仕事をすることになるので、クライアントは皆ポジティブな人ばかり。

課題、問題ももちろん噴出してきますが、基本、現場打合せは楽しいものです。

それは可能性に満ちているからに他ならないのです。

文責:守谷 昌紀

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