建物を建てるためには最低4m幅の道路に、2m以上接している必要と法が定めています。
これを接道義務と言います。
「The Longing House」の接道は東側。
Tの足先が、僅かに接しているという感じです。
北を見ると、この敷地が住宅地に囲まれていることが良く分かります。
Tの頭側。西側隣地が一段高くなっています。
ここにどういった対処をするかは、計画開始時からの課題でした。
どういった提案をし、どういった苦労があったか。
そして柱を建てる所ことになった経緯は、前々回に詳しく書きました。
外構計画の目玉。
ようやく柱の間にPC板が設置されました。
PC=プレキャスト・コンクリート
読んで字のごとく、工場で生産された鉄筋コンクリートです。
工場で作るため条件をコントロールしやすく、安定した品質が確保できるとされています。
言わば、工場生まれの打ち放しコンクリート板。
コンクリート素地の肌合いは滑らかで、何とも素敵なのです。
今回のPC板は1枚が約600kg。下部には少し隙間を開けています。
理由はまた書くのですが、現在は仮置きの状態で24cmあります。
最終的には、これをもう少し狭めるのです。
監督から「大きな木槌で、だるま落としみたいに抜きますか!」という冗談も出ました。
実際には3枚乗っているので1.8tonあるのでそれは無理。
じわじわと下げて行き、どこかで止めなければなりません。
その工法を聞いて、なるほどと思いました。
「初めての事ばかりなので、さぐりさぐりやってます」と言っていたのですが、そのストーリーがこの塀を、全く違う次元へと導いてくれるのです。
これは前回の帰り道。阪神高速池田線から見える、大阪湾に沈む夕日です。
昨日から環状線南行き10日間通行止めで、下道で会社まで戻りました。
普段よりも混んでいたのだと思いますが、普段なら30分の道程が2時間弱掛かりました。
当たり前にあるものが無くなった時、初めてその価値が分かるものです。
心しておかなければと思ったのです。
文責:守谷 昌紀
■■■9月11日発売『リフォームデザイン2020』に「回遊できる家」掲載
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【News】
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行に巻頭インタビュー掲載
■2月13日 『Best of Houzz』を「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞
■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました