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「高台の家 RC打放しの家」‐6‐写りすぎ注意

 先週の木曜日、現場での打ち合わせでした。

 高台の家は、何故か雨の日が多いのです。

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 1階部分の強度が十分でたので、ポスト(支柱)がほとんど撤去されていました。


 雨につき、光量が少なかったのですが、そのほうが陰影がよく分ります。

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 1階ダイニングキッチンの南面は、全面が窓になっています。

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 その隣にあるのが子供部屋。

 躯体が1.2m張り出し、更に1.2mの庇があります。この部分のポストは、念の為残したまま。

 この部分は、駐車場となります。

 明るさ、暗さとも楽しめる。RC打放しとはそんな素材だと考えています。

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 その表情に影響を与えるのが、このセパ穴とかPコンと言われるものです。

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 雨の中、2階はまさに脱型中(型枠を外すこと)。

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 作業は大変ですが、雨ぬれたコンクリートも美しいもの。

 壁に穿たれたスリットは、大阪平野の夜景を楽しむ為の開口です。

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 この日はCANONの5D-MARKⅡで撮ったのですが、やはり小さなデジカメと比べると、質感が全く違います。

 前回の打設の風景を「ゲツモク日記」に上げたのですが「しっかり顔が写り過ぎて、恥ずかしいので……」とクライアントから。

 ちょっと調子に乗りすぎました。

 以後、写り過ぎには注意します。

文責:守谷 昌紀

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「高台の家 RC打放しの家」‐5‐型枠を木槌で叩く、叩く

 各地に被害をもたらした台風11号。

 「高台の家 RC打放しの家」もコンクリート打設予定日と重なり、気を揉んでいました。

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 通過が分り、昨日の夕方、工事をすると連絡がありました。

 朝9時から、打設が開始されました。

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 鮮度が命の生コン。

 プラントから打設までの猶予は90分です。

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 15人程のチームで打設は進みますが、常に時間との戦いなのです。

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 ベテランの監督が手にしているのは竹竿。

 これで、壁の角など、コンクリートがしっかり入っているかを確認します。

 コンクリート一筋35年。やはり経験がものを言うのです。

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 バイブレーターで、コンクリートに振動を与えます。

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 しかし、最後は人の手。

 叩く。

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 叩く。

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 叩く。

 型枠を木槌で叩き、密にコンクリートが入っているのか確認する為です。

 やり難い箇所が大切なのは、どんなジャンルでも同じでしょう。

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 建築は総合力で勝負するもの。

 しかし、現場ごとに集り、現場が終ると解散する、1回ごとのチームなのです。

文責:守谷 昌紀

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「高台の家 RC打放しの家」‐1‐プロローグ

 設計を始めたら、何が何でも、どんな手を使ってでも完成させなければならない。

 良い図面を描いただけで、喜んでくれるクライアントは居ないからだ。

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 この計画のスタートは2013年8月末。家族3人での来所だった。

 ご主人は学生時代を沖縄で過ごしたのだが、そのマンションがRC打放しだったそうだ。

 コンクリートに光の当たる様が美しく「いくら見ていても飽きなかった」という。 

 それから18年。家を建てるなら打放しの家をと探すうちに、「加美の家」にたどりついたとのことだった。

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 その時には、すでに土地も決まっていた。どんな街に住みたいかを考えるうちに「坂のある街」が良いとなったそうだ。

 人はどこに住むも自由。しかし、自分の積極的な意思でそれを決められる人は少ない。

 また、街、建築に対しての勉強熱心さは、凄いものがあった。

 ル・コルビジェ設計のサヴォア邸はパリに。ルイス・バラガンの自邸はメキシコシティ。いずれも現地を訪れている。ルイス・バラガンの自邸は、私達の目標、世界遺産でもある。

 その期待に応えるべく、満を持して出したファーストプランは、どんな減額案を使っても、希望金額に届かない。この事務所も20年目に入るのだが、実施設計のやり直しは初めてだった。

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 少しボリュームを抑えたセカンドプランの見積りスタートが、2014年の10月。

 見積り調整が長引く中、冬にかかるとコンクリート温度補正が必要になり、プラスのコストが発生する。この見積りも一旦ストップ。

 「この春以降で、施工時期は全て施工会社に任せる」という条件で、2015年2月から3度目の見積りがスタート。この4月、ようやく決着したのだ。

 20年間、クライアントの本気に鍛えて貰った。多少自力がついたと思っていた、その考えが甘かった。

 クライアントは、数千万円、数億円という金額を私達に託していると考えれば当然かもしれない。しかし、そんな真剣勝負の場に、居れることが何よりの幸せとも言える。

 工期はいつでも良いとは言え、そろそろ決めないといけない。

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 今年の11月、高台の家は完成する。

文責:守谷 昌紀

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