既存建物は大阪の南部にある。
2011年3月11日の震災が記憶に新しいが、この家は阪神淡路大震災の翌年に完成している。
元々建っていた木造住宅は大きく揺れ、その不安を払拭する為に建ったのがこの家である。
鉄骨4階建ての建物だが、家族の成長と共に子供を送り出し、ひとまずの役割を終えた。子供だった彼らは留学を終え、社会人となる。
そして結婚と共に新たな家族を伴い、この家に暮らすことになったのである。
「ゲストルームのある家」としたのだが、4階にあるこの部屋は、ほぼ手が加えられない。
それでもこの名にしたのは、この部屋の使われ方が興味深かったからだ。
当面は、ホームパーティーや、バルコニーを使って屋外で食事を楽しんだりという空間になる。しかし、将来的には海外の友人、ホームステイなども受け入れたいという考えを夫妻は持っている。これは留学をした経験から来るものである。
ホストファミリーになろうと言う考えは、私には浮かびもしない発想だ。
自らが良かったと思う経験を、誰かにもして貰いたい。良心のスパイラルとでも言えば良いだろうか。それを後押しできるような改修となればと思う。
結婚とともに新たな生活は始まるので、竣工は必ず5月下旬までに。
文責:守谷 昌紀