カテゴリー別アーカイブ: C30 「サンルームと吹抜のある家」

「サンルームと吹抜のある家」-3-湿式柱状改良

 住宅瑕疵保険、加入の義務付けは一昨年の10月のこと。

 それに伴い、構造計算が必要な建物は、地盤調査が必須となりました。

 この計画も、3階建にはやや耐力が足らず、地盤改良が必要となったのです。

 しかし、地中4.5mに固い地盤があることも分かり、湿式の柱状改良を実施することになったのです。

 地盤改良の方法は色々あります。

 湿式の柱状改良は住宅の場合最も一般的な工法と言えます。

 今回は基礎下に60cmの直径で4.5m、29本箇所です。

 まずは注入するセメントミルク分の土を取り除きます。

 それから設計深さ4.5mまで掘り進み、セメントミルクを注入。それを土と撹拌するのです。
 

 セメントが硬化すると、直径60cmのコンクリートの杭が29本、4.5mまで埋まっている格好になるのです。

 これは既成のコンクリート杭や鉄杭を打ち込むのと比べると、騒音、重機の大きさ、などにメリットがあります。

 保険の義務付け後、地盤改良会社の競争も当然激しくなりました。

 健全な競争の下、適正な金額を提示できる会社だけが、リーズナブルな利益を積み重ね、存続できるのは、どんなジャンルでも同じ。

 地盤改良は本当に安くなりました。
 
 言うは簡単ですが、各企業のたゆまぬ創意工夫が、これらを実現したと言えるのです。

文責:守谷 昌紀

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「サンルームと吹抜のある家」-2-地鎮祭

 地鎮祭も色々な催し方があります。

 今回は、神主さんに来て頂きました。

 私が着いた時には、すでに立派な祭壇が出来上がっていました。

 四方払い。

 続いて私の仕事。

 「エイ、エイエイ」の掛け声で、刈り初めの儀。

 穿初(うがちぞめ)の儀は、クライアントが鋤(すき)を入れ。

 施工者が鍬(くわ)を入れます。

 式典は滞りなく終わりました。

 クライアントは小学生の頃、すぐ近所に住んでいました。

 一学年下でしたが、ソフトボールではバッテリーを組んでいたこともあります。

 お兄さんは私の一つ上の学年で、今でもあだ名で呼ばれます。

 必然的に、参列者も顔を知っている人の比率が高く……

 乾杯の発声が回ってくることがあるので、どんな話しをしようか考えていたのです。

 しかし、神主さんが流れの中で進めてくれました。

 いらぬ心配だったのです。

文責:守谷 昌紀

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「サンルームと吹抜のある家」-1-プロローグ

 大阪市東住吉区は、大阪を北に貫く上町台地の付け根にあたる。

 すぐ近くには古墳跡もあり、この敷地も文化財包蔵地域に指定されていた。

 大阪平野の中でも、早くから人が暮らしていたことが想像できる。

 近所には、なかなかの賑わいを見せる商店街がある。

 この商店街受難の時代に、頼もしい限りだ。

 ケーキ屋、魚屋、肉屋と安くて美味しいという評判の店も多い。

 暮らす便利さと賑わいを併せ持つ、大変魅力的な街だと分かるのである。

 敷地は、市内としてはかなり大きめ。奥行きもある。

 その形状を利用し、サンルームと吹抜けを中心に構成した。もうひとつ、大きな特徴がある。これが玄関。

 これはまた追って書いて行きたいと思う。

 いつもそうだが、今回も新たなチャレンジがある。

 今までの作品にない愛しい住宅になるはずだ。

 竣工は11月中旬。

 週末の地鎮祭後、本格的に工事はスタートする。

文責:守谷 昌紀

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