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永住したい打ち放しのマンション「R Grey」‐1‐プロローグ

 当社の隣に、弟がマンションを建てると書いたのが、2016年の9月

 あれから半年。いつもながら難航した金額調整を経て、ようやく着工することになった。

 計画開始時点では、父が昭和56年に建てたガラス屋の倉庫が残っていた。

 昨年の10月初旬から、まずは解体をスタート。

 3週間かけて完了。

 更地になったあとの4ヵ月は、甥っ子たちの遊び場だ。

 そして先月下旬から、地盤改良工事をスタートした。

 プランは1LDKで、空間に拘りのあるシングル、もしくは若い夫婦に住んで貰えればと思っている。

 オーナーとなる弟は、木造3階建ても考えていたが、最終的には鉄筋コンクリート(以下RC)造を選択した。

 コンセプトは「長く住みたい」「永住したい」アパートメントハウス。

 共同住宅である以上「頑丈」「燃えない」「プライバシー」は最優先となる。

 RC造の壁式構造は、阪神淡路大震災でも一棟も倒壊していないといわれている。

 室内のフローリング以外、ほとんどの材が燃えない、燃えにくい材で構成している。

 遮音性能も含めて、3点全てにおいてRC造が他の構造を勝っている。

 しかし、木造、鉄骨造より躯体のコストがかかるのは明らかだ。

 それでも、RC造にできたのには理由がある。

 はっきり書くが、敷地は父の持ち物で、非常に安い賃料で弟が借りているからだ。

 共同住宅は収益のために建てられる。土地へのコストが圧倒的に安いので、家賃と比べて建物の質は間違いなく高いと言える。

 まだ最終的な家賃は決まっていないが、決定すればここでも公開しようと思う。

 全部で6住戸。1住戸はすでに予約をもらっている。

 この計画は、兄である私に設計を頼むのが前提となっていなかった。

 私としても、共同住宅に関しては非常に複雑な思いがあった。

 街に愛着がなければ、ゴミのポイ捨て、路上駐輪など周辺住人にとっては、プラスの要素はない。

 自分達が暮らす空間、建物、そして、街へと順に愛着を持って貰えるような建物でなければ、設計をしたいと思えなかったのだ。

 家賃のコストパフォーマンスが高い理由は先に書いた。

 この建物を好きになって貰えるかは、私達設計者、また施工者の能力にかかっている。

 竣工予定は今年の9月。

 春に次ぐ転勤シーズンに、沢山のオファーを貰うイメージをもって、計画は本格的にスタートする。

文責:守谷 昌紀

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