築80年、住吉の長屋を「碧の家 」に〈リノベーション〉‐10‐エンジンは常に2馬力

 昨年末に完成した「碧の家 」ですが、4ヵ月点検に行ってきました。

 正面には小さな花壇があります。

 左の青い花はブルーデイジー。碧はこの計画のテーマカラーでもあります。

 花弁の形で分かるように、他の花もキク科の種でコーディネートされています。

 クライアントと監督が、花屋さんでセレクトし植えてくれたもの。近所の園に通う園児が「かわいい花壇」と言ってくれるそうです。

 一通りの点検を終え、コーヒーを煎れてもらいました。

 キッチン奥にある窓には、面格子がついています。

 設計者とは、間違いのない選択をしたくなる生き物です。

 とても主張の強いデザインなので、私がこの面格子を勧めることはありません。

 しかし、この空間にとても合っています。

 レンジ、炊飯器、トースターに加えて、ネスカフェバリスタまで、全てワインレッドで統一されています。

 また、それらを置くこのフロアキャビネットは造り付け。

 向かいのキッチン前も同じタイルで合せました。

 このケトル、2006年公開の映画「かもめ食堂」で使われたものだそうです。

 こういったサイドストーリーが、空間の味をより濃厚なものにしてくれます。

 「かもめ食堂」は、フィンランドのヘルシンキに実在する日本人経営の食堂で、そこが映画の舞台となっています。

 2016年のフィンランド行きの最終日に寄ってみたのですが残念ながら定休日でした。

 リビングの隣にあるお母様の寝室からは、通り庭がみえます。

 もとはモルタル塗りの予定でした。

 工事中に私が「通り庭」と言ったのを機に、タイル貼りにしたいという要望がありました。

 変更、トラブルは大歓迎。

 沢山のタイルサンプルを取り寄せ、チョコレートと白の組み合わせを選んで貰いました。

 2階のロフトにはチェアが届いていました。

 アルネ・ヤコブセンデザインのドロップ。

 ベルギーから届くのに2ヵ月掛かったそうです。青い壁にそのフォルムが引き立っています。

 この計画のテーマには、「碧」や「北欧」がありますが、これらは私が提案するものではありません。

 クライアントとよく話し、好きの中心にあるものを純化し、結晶化させていくような作業だと思っています。

 クライアントは多くのお金、時間を掛けて家を建てるので常に本気です。

 これまでの人生で、経験した空間、素材、景色をこの機に一気に思い出し、語ってくれます。

 その中で、幹になる部分を見つけ出せれば、もう計画は成功したのと同じだと思っています。

 また、私が「これ大丈夫かなあ」と迷う部分が少しくらいあったほうが、住まい手の個性が醸し出されるものなのです。

 あくまで一般論ですが、創り手は自分のしたい事をさせてくれるクライアントを求めている傾向があります。

 そういった方も大歓迎ですが、むしろ自分の価値観や主義主張を持っている人と仕事をしたほうが、面白いとも思っています。

 その時に心掛けているのはぶつかり合うのでなく、同じ方向を向くこと。

 そうすれば、エンジンは常に2馬力。仕事をさせて貰いながら応援までしてもらえるのです。

 「碧の家 」劇場はひとまずここで一区切り。

 4月初めに撮影する予定ですが、これが私たちにとって答え合わせのようなもの。

 正解だったと信じていますが。

文責:守谷 昌紀

■■■毎日放送『住人十色』4月14日 「羽曳野の家」放映

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『ESSE』11月7日発売に「松虫の長屋」掲載
『建築家カタログ2016』8月29日発売に「遠里小野の家」掲載

『homify』1月2日「切妻と中庭の家」掲載
『homify』(インドネシア語)1月1日「白馬の山小屋」掲載『homify』(スペイン語)9月26日に「松虫の長屋」掲載
『homify』7月21日「白馬の山小屋」掲載

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