枚方「さかたファミリー歯科クリニック」‐5‐庇にスポットライトを

 「さかたファミリー歯科クリニック」はようやく足場がとれました。

 できれば青空で見たかったところですが、梅雨入り後につきいたしかたありません。

 外観の特徴は、4段になって全体を覆う庇です。

 日本における木造建築は、軒と庇の建築と言っても過言ではありません。

 高温多湿の気候のなか、躯体である木をそれらが守ってきました。

 庇は主従の関係でいえば「従」にあたります。

 従の存在である庇を、「主」の存在にしてみたいと考えました。そこに強烈なスポットライトを当ててみたいと考えたのです。

 庇は外壁へ当たる直射を抑え、夏のエネルギー使用料を抑制してくれます。

 また、木造建築の深い軒のように、建物を守る役目も果たします。

 自生する木にとっての「葉」の役割と非常に似ています。このクリニックを一本の大木と見立てることができるのです。

 しかし内部の工事は遅れ気味。

 職人たちは、懸命に働いてくれてはいるのですが……

 7月のオープンに向けて最後の頑張りどころです。

 建築とはディティールの積み重ねです。

 間接照明が収まる部分も、美しく仕上がっています。

 この庇のディティールは、「平野西の家」、「あちこちでお茶できる家」と、積み重ねてきました。

 「あちこちでお茶できる家」の際は、先端をそろえるために少し「折れ」をつけました。

 しかし「さかたファミリー歯科クリニック」で、「折れ」は採用しませんでした。

 この庇は葉のような存在です。葉は折れていないし、少し動きがあっても構わないと考えたのです。

 建築とは夢や希望を形にしたものです。

 私たちの夢と希望が、街の人たちへ届くかどうか……

 内覧会を開催する予定なので、また告知したいと思います。

文責:守谷 昌紀

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