「四丁目の家」-15-子供部屋の平等

 10月30日(日)は1ヶ月振りの現場打合せに。

 東京行きの日は、何故か雨が多かった気がします。この日の朝も、大阪は雨。しかし東京に着くと晴れ空でした。

 しかし天気は西から。昼頃からはポツポツと降ってきました。

 外壁下地が出来ている予定でしたが、それは間に合わず。

 やや残念です。

 内部には建具枠が搬入されていました。

 枠など普段気にする事はないと思いますが、建物にとってはとても重要な部分です。

 動かない壁と、動く扉の境目にあると言えば、その重要性が伝わるかもしれません。

 どのような寸法で納められているかで、機能、美しさも、大きく変わるのです。

 特に重要視しているのが、引戸のレール。

 可動域が空間の邪魔をしない事と、微妙な位置でキープできるのが引戸の一番の長所でしょう。

 また、段差2mm以内のバリアフリーを目指し、M型のレールが床に埋め込まれます。

 これがステンレス製というのが大事です。随分キズが付きにくいのです。

 監督から、大工の棟梁が「苦労して取り付けたウンテイも、ボードを貼ってしまえば、何か当たり前に見えるのが残念」と言っていたと聞きました。

 気持ちは解ります。

 しかし、見せたいのをぐっと我慢し、目的に向って、真っ直ぐに進むのが本当のプロ。

 100kg近い大人が、ぶら下がっても良いように下地はスチールのプレートと一体になっています。

 登梁に直交するよう角材を取り付け、このウンテイ1つ1つを固定して行きます。

 よって、1つずつが専用の梁に付いているとようなもの。はやり気持ちは解ります。

 「子供部屋は出来る限り平等に」という要望は、思いのほか多くあるものです。

 この計画でも、すでに部屋の取り合いになっているとかいないとか。

 いつも元気な三姉妹も、この日は一人だけでした。

 お姉ちゃん2人は、いとこと東京タワーに行ったそうです。

 更に彼女も途中でお祖父ちゃんの家へ。

 お父さんお母さん、お祖父ちゃんお祖母ちゃんは、打合せに集中できて良いのですが、私は少し寂しい気も……

 今考えると、何時間にもわたる打合せに、三姉妹だから我慢できたのかもしれせん。時には、取っ組み合いの喧嘩もしていましたが。

 彼女たちとも間もなくお別れです。建ってからも本当の付き合が始まるとも言えますが、物理的に会う機会が減るのは間違いありません。

文責:守谷 昌紀

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