一級建築士事務所アトリエm 守谷 昌紀 のすべての投稿

大阪市平野区、設計事務所。建築家 守谷昌紀

「8.8坪の家」-6-建方

 11月6日(火)は早朝の雨も上がり、いよいよ建方。

 15時過ぎに現場に着くと、ほぼ形が出来上がっていました。

 残りの木材も各階に上げていきます。

 船の舳先も立体的になってきました。

 次は屋根と外壁に金属板を張る工事です。

 クレーン車が回転しようとすると、少し出っ張っていた仮支えに引っかかりました。

 木材をカットし、無事撤収です。

 梁は、場所によって形が違います。

 工場で加工出来ない部分は、現場加工です。

 屋根は45度に近い勾配。

 建築基準法上、斜線制限目一杯の為、複雑な形になりました。

 細かな部分は、今でも職人の仕事に頼ります。

文責:田辺 幸香

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「8.8坪の家」-5-1階打上り

 建方の前日、1階部分の仕上がりを見に行って来ました。

 角地に建つ場合、隅切りがあります。

 道の行き来をスムーズにするため、交差点の角部分には家を建てられないのです。

 丁度コーンが並んでいるあたり。

 この部分に駐車場入口を持って来ました。

 巾3m以下のこの土地に、車を入れるならここしかないのです。

 見返すとこんな感じ。

 1階には、駐車場の反対に1部屋あるだけ。

 4畳くらいの打ち放しの部屋はなかなか迫力があります。

 2階、3階はスキップフロアになっています。

 その土台敷きが進んでいるところでした。

 「写真、入って貰っていいですか」と大工2人に声を掛けました。

 「モデル代貰えるんやったら」と言うので、フレーム外へ出て貰いました。

 冗談はさておき、船の舳先がいよいよ現実の形になってきました。

文責:守谷 昌紀

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「8.8坪の家」-4-コンクリート打設

 遅くなってしまいましたが、10月17日にコンクリート打設を終えています。

103 - コピー

 ミキサー車は細い道をバックで進入してきました。

 長屋から切離された南面は、型枠を外すスペースがありません。上から引上げれるよう、金物を工夫しました。

133 - コピー

 型枠の間隔を保つ為、セパレーターという部材を使います。打ち上がると、この部分が打放しの表情となるのです。

111 - コピー

 RC部分は1階のみ、2階、3階は木造のスキップフロアーです。

 ポンプ車がゆっくりとクレーンを動かし、コンクリートを流し始めました。

131 - コピー

 流れを良くする為、職人は木槌で叩きます。

 強度が出れば型枠を解体。

 およそ2週間の予定です。

文責:田辺 幸香

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「山の手の家」-2-解体調査

 先週の前半、概ね解体が終わったと、監督から連絡がありました。

 木曜日の午前中はクライアントと打合せをして、昼から現場に行くことに。打合せの際、奥さんから「一番高い所に『福の神』のようなのが飾られていました」と聞いていました。

 確かにありました。増築側の新しい棟のところに。

 この地域の風習なのでしょうか。

 クライアントも家族で見に来たとの事で、何とも幸せな気分になりました。

 これは残しておくことにしたのです。

 閑静な住宅街にある一戸建てにつき、解体作業も慎重です。

 私はずっと現場に居る訳ではありませんが、片付けの、職人の身のこなしを見ていれば、大方の仕事は想像できます。

 丁寧に解体されていました。

 古い棟の屋根下地がバラ板だった他は、想像以上ダメージを受けているところは無く、一安心しました。

 改修の仕事は構造体の躯体調査が全てなのです。

 1階のLDKは、その広さと、南の庭に面する環境が素晴らしいのです。
 
 午前中の打合せで、キッチンの仕様も確定しました。

 大きなアイランドキッチンに立ち、ダイニング、リビングを見渡すその景色は。

 きっと素晴らしいものになるはず。

文責:守谷 昌紀

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ビフォーアフター「住之江の元長屋」-1-エピローグ

 先週になりますが、「住之江の元長屋」4ヵ月点検に行ってきました。

 『大改造!!劇的ビフォーアフター』から依頼を受けた改修の仕事です。点検は1ヵ月後あたりが多いのですが、撮影の関係で終盤バタバタしたこともあり、少し先目にしていたのです。

 現場公開が無かったので「現場日記」の1回目がエピローグという稀なケースになりました。

 番組内でも紹介されましたが、クライアントは2人の姉妹でした。

 8人の兄弟が両親と共に暮らしたこの家を、何とか守りたいというのが、番組へ申し込んだ一番の動機だったのです。

 築74年の家は元6軒長屋の中央部で、両隣は切り取られて5階建てのマンションが建っていました。

 当然のごとく日当たりはかなり悪く、家族が増えるたびに増改築されていた家は「天井から雨が降る家」の通り、雨漏りというレベルを超え、相当な量の水が屋内に流れ落ちていました。

 それまで修理し続けてくれた大工さんも高齢となり、屋根屋さんも「もう手におえない」と言い、相談するところが無くなり、番組へ応募したのです。

 バルコニーからの雨漏りを少しでも減らす為、沢山のタライ並べる姿は、コミカルにさえ見えましたが、もちろん真剣に考えた末の行動なのです。

 会った時はいつも笑顔でしたが「以前は大雨が降った時には泣いていたんです」と聞きました。雨が漏らない、頑丈だという事が、家にとってどれ程大切な事かが分ります。

 それらは全て改善する。更に、何とかそこに、小さくても良いから自然を届けたい、というのがこの改修のメインコンセプトになりました。

 多くの友人が見せて欲しいと訪れたそうですが「皆ここで記念写真を撮って帰るんです」と。私達も撮ってみました。

 求め、求められる関係の中で仕事を出来た時、この設計事務所は存在して良いのだと思えます。それこそが、最高の報酬だと分るのです。全く制約が無かった訳ではありませんが、改めて引き受けて良かったと思います。

 放送後、多かった質問に「あれが改修なの」というものがありました。

 柱、梁などの主要構造部の1/2以上を利用しているので、法的根拠もある紛れもない改修です。

文責:守谷 昌紀

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「山の手の家」-1-プロローグ

 昨年のクリスマスイブ。相談メールが届きました。

 早速事務所で会い、年末にバタバタと調査を始めたのです。

 それから9ヶ月。随分時間が掛かってしまったのですが、ようやくここまでたどり着きました。

 阪神間で山の手と言えば景色の良いところです。土地の区画も大きく、建物もかなりの面積があります。

 1階は和室を中心に4部屋あります。

 全ての部屋がゆったりと大き目で、以前の住まい手の豊かさが感じられます。


 
 キッチンは壁付けですが、長さはかなりのもの。

 設置された当時は、かなりの値段だったと思います。

 ただ、残念ながら場所がもう一つなのです。

 2階は主に家族の個室だたったようです。

 子供部屋だったのか、扉にRがついていたりして可愛い感じ。 

 階段も絨毯敷きで、非常に豪華な感じ。

 廊下などの床はワインレッドで、こだわりが感じられます。

 何と言っても特徴は「山の手」。

 2階から遠くに望む大阪湾は、近くで見るのとは全く違う美しさを見せるのです。

 何と言っても、見せ場は1階のLDK。33畳あります。

 さらに南面する庭が大きく、芝敷きになれば見違えるはずです。

 工事は10月初めからスタートします。

文責:守谷 昌紀

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「私の家」-4-スケッチ、スケッチ

 前回の記事から、随分時間が開いてしまった「私の家」。

 私の家だけに、企画の提案などが続くと、つい後ろ回しになってしまいます。

 オファーを貰っているという事は、嬉しいことです。

 しかし家族は違います。特に子供は。いつ出来るんだ、と。

 時々、この家の絵を描いては、食卓に置いてあるのです。

 娘の希望は、つるつるの壁。

 築37年になる我が家は、内部が砂壁です。

 色砂を左官で仕上げてあるのですが、手で触るとその砂が落ちてきます。
これがイヤだと。

 確かに彼女の生活の中では、この仕上げは我が家だけです。

 ただ、かろうじてザラザラ壁で過ごした事に、価値があると言えなくもありません。

 長男から、バシバシとスケッチも上がってきます。

 徐々に、その精度も上がって来ました。

 それらが、いつも断面なのが面白い所です。

 他の仕事と同じく、本気で取組んでいますが、1点決断に時間が掛かっていたところがありました。

 大きな理由は昨夏、今夏のゲリラ豪雨です。

 写真は、この夏滋賀県で見た雨雲。かなり狭いエリアで激しい雨が降っていました。

 また、お盆の豪雨で私が設計させて貰った店舗でも浸水がありました。

 この2年間、大阪は未だかつてない、ゲリラ豪雨に襲われたと言えます。

 各県の平均が36回のところ、大阪は130回と発表されたのです。

 この計画では、当初半地下を作るイメージで進めていました。ボートを置いたり、車を置いたり、おもには趣味のスペースです。

 今まで、地下を積極的に取り入れた事はありません。過去に地下を作って良かったと聞いた例はほんの僅か。やはり湿気の問題が一番でしょうか。それなら自邸でチャレンジしてみようという気持ちがあったのです。

 建物を地中に埋めるのがベターであるなら、そもそも建築などないのが理想と言えます。むしろ建築がその業のようなものを背負ってこそ、存在できるのではないか。そんな思いも、地下を積極的に取り入れてこなかった理由です。

 また、屋上緑化についても、似た気持ちがあります。

 緑化するというのは、素晴らしい事ばかりです。しかし、フラットルーフ(平坦な屋根)は、雨水を建物から早く遠ざけるという意味においては、非常に不利なものです。

 防水技術の進化によって、それらは克服されて来たのですが、どんなものにも永遠はありません。

 もし将来雨漏りが起こった時、全部屋上緑化を取ってしまうのが問題なければ良いのですが、このあたりの事は慎重に考えるべきことだと思っているのです。

 勿論、全ての方法を否定している訳ではありません。ただ、建築とは時間軸の長いものだと言う事は、熟考されるべき事だと思うのです。

 無限ではないエネルギー消費をどう抑えるかは、大きな課題です。自邸ならではの提案をしたいと思っています。

 あっと言う間に秋。

 本腰を入れて図面を描いています。子供の設計で建ってしまわないうちに。

【ここまで掛かった費用】-単位は円-
【A】<土地その他諸費用小計(税込)> 28,768,797
【B】<建築工事費>
【C】<施主支給>

□□□以下は明細□□□
【A】-1 <土地> 27,500,000
【A】-2 <土地関係の諸費用> 1,268,797
———————————————————————
小計 【A】28,768,797

【A】-2 <土地関係の諸費用>の明細
固定資産税精算 80,347
土地仲介手数料 929,250
司法書士 事務手数料 105,000
不動産売買契約書印紙代 15,000
登記費用(土地移転) 244,200

文責:守谷 昌紀

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「8.8坪の家」-3-基礎工事

 お盆前に地盤改良工事を終え、9月5日(水)は基礎のコンクリート打設でした。

 敷地は盛土で造成された浅い谷に区分されます。

 最大4m程の自沈層があった為、柱状改良をすることになりました。

 「細工谷遺跡」という埋蔵文化財の区域でもあり、杭の本数や基礎の深さは、役所と協議済みです。

 掘方の後、型枠工事、配筋工事と進みます。

 この後、審査機関による基礎の中間検査が行われました。

 構造図を見ながら、鉄筋の径や本数、ピッチを確認します。

 検査は無事に終わり、中間検査済証を頂きました。

 この部分はこの建物の特徴となる形の1つです。

 2、3階が木造、1階はRC造。

 敷地は2面の道路に接する角地ですが、両方が4m以下で、車1台通るのがやっとです。

 この道路の関係で、今回はポンプ車を使わず、ミキサー車から直接コンクリートを打設しました。

 次回は1階RC部の型枠、配筋工事です。 

文責:田辺 幸香

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「8.8坪の家」-2-遣り方

 7月31日(火)は現場でクライアントと待ち合わせ。

 建物の位置を決める遣り方です。 

 JRの桃谷の駅から歩いて10分程。

 密集した住宅街から、一際高い建物がのぞきます。

 まずは敷地の境界線を出します。その上で建物の位置、高さを確認。

 壁の中央ラインが通り芯ですが、続いてそれらも確認して貰います。

 最後に、土地を清めて回りました。
 
 お酒、洗い米、塩を持て来て貰い四隅にまきます。神主はいませんが、こういうったものは気持ちが大切です。
 
 この数日、遠方の方からの問い合せがいくつかありました。その中に、かなりのローコスト住宅がありました。

 当事務所webサイトに、夢は必ず実現する、というメッセージを見ての連絡でした。

 この言葉に偽りはありません。但し、クライアントも同じ目標に全力で走って貰う事が条件です。

 過去最低予算。

 何度も書くとこちらのクライアントに怒られますが、非常に高い緊張感をもって、望みます。 

文責:守谷 昌紀

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「8.8坪の家」-1-プロローグ

 6千年前、大阪は生駒山の麓までが海でした。
 
 その海の中に、事務所のある平野から、大阪城辺りを頂点とする半島がせり出していました。これが上町台地です。

 徐々に陸地は広がり、現在の地形に近づいて行きます。

 海辺にあった土地にはその名残があります。西の海岸線にあたるのが「粉浜」。天王寺の東にある「桑津」。津と言う文字は船着き場を指します。

 今回の計画地も、上町台地の東海岸線にあり、波の浸食もあって出来た地形ではないかと思います。谷と付く通り、起伏が激しいのです。

 計画地は元長屋で、端の住戸部分を取り壊し、新たに家を建てることになりました。

 東西13m、南北3mで、敷地面積は約12坪。しかも隅切りに2㎡(0.6坪)とられます。

 建ぺい率は70%に緩和されますが、容積率は160%。いわゆる狭小住宅と言えます。

 更に元長屋の為、敷地境界線に壁があります。よって施工可能なラインまで後退せざる得ません。

 2方の道路からも、道路斜線によって厳しく高さが制限されます。

 これは天空率の比較によって、高さの限界値を探りました。

 非常に厳しかった高さ関係を解決すべく、駐車場の天井高は1.95mまで抑えました。

 それを利用してスキップフロアとしたのです。

 また、間口3m側から車を入れなければ、車が道にはみ出してしまいます。

 これらの条件を満たすプランを探りました。

 結果、1階をRC造の壁式構造にするしかかないという結論に至ったのです。

 当初から聞いている予算も、過去最高の厳しさ。その中で、木造とRC造の混構造という選択をしました。

 クライアントにも我慢できるところは、本当に限界まで我慢して貰いました。
 
 始めてクライアントが来所したのが、2011年の8月。1年掛かって、何とか着工までこぎつけたのです。

 現在は、海辺の街を想像させるものはありません。

 全ての条件を受け入れると、自然に黒船のような建物が立ち上がってきました。

 年内完成を目指し、新年はクライアント家族の新しい船出を迎える予定です。

文責:守谷 昌紀

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