「あちこちでお茶できる家」-6-山並みのように

 12月に入りました。この計画も竣工まで残すところあと2ヶ月。

 計画名の通り、家の中が楽しい空間になるように設計したのですが、もちろん外観にもこだわっています。

 屋根勾配は左右で違い、更に棟(屋根の一番高い部分)の高さが、正面より裏側の方が低いのです。

 屋根のラインが、山並みのように柔らかで、見る方向によって、違う勾配を持たせたかったのです。

 加えて、1階の平面も南へ開く、「へ」の字型のプランとなっています。

 では、それによって構造体にどんな事が起こっているか。

 全ての柱の長さが変わり、直交しない梁が多く出てくるのです。

 これらの加工は、工場では出来ず、現場で大工の手加工によって、納められました。

 屋根の高低差を活かし、ロフトも設けています。

 手刻みの出来る大工が減っているという声を、良く現場でも耳にします。

 出来るだけ工場で加工しておけば、工期も短縮でき、ミスも減るのですが、やはり出るだけ人の手が加わって欲しいと思うのです。

 それでこそ、職人という仕事に皆が敬意を持ち、物づくりの楽しさ、やりがいを伝える事が出来ると思うのです。

 現場では、審査機関の中間検査も終了しました。

 これからは仕上げ、納り等の詳細を詰めて行きます。

 出来上がった時、柔らかな稜線のような形となっているか。楽しみにしています。

文責:守谷 昌紀

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